「マフィア学」事始 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

大学の後期の授業が終わって、あとは期末試験での自分の出番がまわってくるまでのあいだ、自由時間が多いので、まとまった勉強をすることにして、目下「マフィア学」に取り組んでいます。

私はイタリアのことに関心があるといっても、あくまで本業外のことですから、あまり神経を疲れさすような話題は避けて通っていて、「マフィア問題」なんかは、これまでずっとスルーしてきたのです。

が、ほかならぬ趣味で読んでいたシルヴァーナ・ガンドルフィさんの文学の中に、マフィアをあつかった作品が登場するに及んで(『銃声の中のぼく』)、物語の背景をよりよく知るためにも、マフィアについて何がしかの勉強はしないと、と思うようになりました。

とりわけ、1992年にジョヴァンニ・ファルコーネ判事とパオロ・ボルセッリーノ判事が殺された後に、彼らが国家的に追悼・顕彰されているありさまは、ある意味で「対マフィア戦争」の「靖国」みたいな観を呈しているため、靖国神社の比較文化的位置づけを考えるうえでも、彼らが命を賭して戦った相手とは、いったいどういうものだったかを、よく知っておく必要があると、感じるようになりました。

ところが、この問題については、日本語ではあまり詳しい情報は手に入りません。そこで、昨年秋のイタリア学会のときにある先生から教えてもらったイタリア語の本を読むことにしました。John Dickieという人の書いた『Cosa Nostra: Storia della mafia siciliana』という本です。もとは英語で書かれたものですが、テーマがテーマであるだけに、ただちにイタリア語に翻訳され、Editori Laterzaという、歴史と現代社会事情の分野に強い出版社から出版されています。

英語版も取り寄せてはみましたが、内容が内容だけに、イタリア語訳のほうが読みやすい文章になっています。英語版は、イタリア語訳の意味がとりにくいときにかぎって参照するというかたちで、目下読書を進めています。といっても、500ページもある大作ですから、いまようやく300ページを過ぎて、1960年代の歴史まで差し掛かったところ。肝心のファルコーネ/ボルセッリーノ暗殺事件のところまで到達するには、あと数日かかるでしょう。