嘔吐 新訳/J‐P・サルトル
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以前この新訳を借りてきて、挫折してしまった『嘔吐』。

新訳を出たことをきっかけに読もう、と思ったのですよね。


でも、難易度高いとかじゃなくて 単に読む時間があまり取れなくて

20ページくらいしか読めてなかったんじゃないかなぁ。


こういう小説って、最初から面白いわけないですものねヽ(;´Д`)ノ




まず、古典文学で最初から引き込まれるようなモノっていうもの自体が

凄く少ない・・・・・ですし。


先日、エドマンド・キーンを主人公とした戯曲『狂気と天才 キーン 』を読んで、

サルトル面白すぎる!!!と気付き、再び手に取った次第です。

やっぱりね、難しすぎますよね、『嘔吐』は。

『嘔吐』と言えば、木の根っこ。

主人公のアントワーヌ・ロカンタンが講演でマロニエの醜悪な木の根っこを見つめている時、突然激しい嘔吐に襲われ、存在の芯の姿を発見する・・・・・・・・というものです。



乳房とサルトル 関係者以外立ち読み禁止 (光文社知恵の森文庫)/鹿島 茂

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鹿島茂×サルトル (・・・・でもなんで乳房・・・??)に反応して、最近読んだこれ。


実際サルトルは1章(1話)のみのエッセイ集という感じでしたが

かなり面白かったため、個別にレビューが書けたらいいんだけど。かけるかな。

とまあ、この本に『嘔吐』についても載っていたわけです。



鹿島氏は、この有名な根っこのシーンを読んでも


「少なくとも、私の場合、感動もしなければ、震撼もせず、いわんや、存在の根底を揺すぶられるなどということもまったくなかったと告白せざるをえない。

なんで、マロニエの木の根っこを見ただけで、嘔吐するの?

それに、木の根っこを見て『存在』の『真の姿』を理解したなんて、アントワーヌ・ロカンタンって、どうかしてるんじゃない?

これが、私のような、どしようもなく健康な人間の偽らざる反応だったのである。」


と感じた、と述べています。

鹿島さんでもそうなんだ・・・・・・! と安心してしまいました(笑)



私の感想なんて

「あれ?このシーンって、最後に出てくるんじゃないんだ。」

というものでしたし・・・・・。



どうやら、サルトルは生涯で2度しか「嘔吐」していないらしいですね。

そのうちの1度が来日した際に生の魚を食べさせられた時だとか。

彼はとてつもなく「なまもの」嫌いの偏食で、甲殻類、牡蠣、貝類もだめ、さらには植物も嫌い。

野菜も果実も、花までも嫌いだったそうです。

とにかく生命を持っているものが気持ち悪く感じたそう。


じゃあ、逆に何を食べたのか、何が好きであったとかというと

タルトやケーキなど、人間が加工したものだったとか。



そういう背景を知って読んでみると、木の根っこを見て吐き気を催すというのも

分かる気がしてくる・・・・・?



『嘔吐』に戻りますと、訳は読みやすいですね♪

注釈も豊富です。


『嘔吐』は、ある刊行者がロカンタンの日記を見つけて、それを発表するというスタイルを取っているんだけれど

その「刊行者の言葉」にまで注がついているのが凄い。

『ロビンソン・クルーソー』が代表的なこういうスタイルを取っているんですが、そのパロディになっているんですね。

さすがにそれは読めば分かる気もするけど。


結局のテーマは、嘔吐というよりも

「存在」ですよね。


サルトルの有名な著書『存在と無』はまだ出版されていない時なんですが、

ここからそれが生まれていったのかな・・・・・と感じさせます。

『存在と無』って未読だから、タイトルから想像しただけですけど。


とにかくデカルト的な箇所が多い!

・・・・・のは、「存在」がテーマだと、必然的に出てくるか。




今、バイトに行く直前なんですが、頑張ってブログ書いています。

その理由は、行く途中でこの本を返しちゃいたいから(笑)

私が予約したときにもこの本は既に借りられていて (この新訳は1冊しか蔵書がなかった)

今もすでに、予約が2件入っているという。 (=早く返してあげないと~~)

そうか。サルトル読む人ってそんなにいるんだ。

世の中捨てたもんじゃないですね。


嘔吐/J‐P・サルトル
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ちなみに旧訳はこちら。

こっちはどうなのかな。