サルトル全集〈第14巻〉狂気と天才 (1956年)/著者不明
¥価格不明
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ダッチさんがだいぶ前に読まれていて、すっごく気になっていた1冊です。



まず、あのサルトルが戯曲を書いていたとは。

小説は知られていても、戯曲を書いているということを知っている方ってあんまりいない気がします。



アレクサンドル・デュマ・ペールの原作をサルトルが大胆に現代化した戯曲・・・・・・なんだそうです。

さらに、一世を風靡した、なんて陳腐な表現で表すことなど出来ないほど

かの有名なシェイクスピア俳優 エドマンド・キーン が主人公・・・・・とのことで

私が食いつかないわけがないよね!kirakria*



最近、大学図書館で本を返して、借りて、帰り道に市立図書館で本を返して、借りて・・・・

となんだか常に20冊を持ったまま大学往復している気がする私にとっては

本の重さって大事!!!!

(専門書って重い。つらい。20冊って下手したら本だけで10キロ近くになるから女一人で持てる量じゃない)



サルトル全集・・・・ということで、さぞや重いだろう・・・・と大学図書館を覗いたら!



軽いんです、これ。全集なのに、薄いんです。

135ページしかないしね♪



私は勝手に『狂気と天才』という戯曲が1つあって、もう一つ『キーン』という戯曲が収録されているんだと勘違いしていましたが、同じものでした(笑)




さてさて。本題に。

エドマンド・キーン。シェイクスピアの専門書・・・・いや、入門書にも出てくるかな、というくらいの有名すぎる18~19世紀のシェイクスピア俳優です。



もっとも有名なシェイクスピア俳優と言ったら、キーンで間違いないでしょう。

もちろん映像があるわけじゃないので、実際にどれ程凄い俳優なのかは分かりませんが・・・・

文句なしに面白かった!


あらすじ。



英国演劇界のスター、エドマンド・キーンは、その天才的な演技とともに狂気ともいうべき破滅的な私生活を送る男としても有名だ。恋の浮き名を流した女性は千人に及び、酒は毎日浴びるほど飲む。諍い事が絶えず、金遣いの荒さから借金も天文学的な数字になっている

今もキーンはデンマーク大使夫人のエレナとの恋の駆け引きに夢中。人の恋路が気になってばかりいるプリンス・オブ・ウェールズは、特にキーンに対してはライバル意識をむき出しにして、エレナの気を引こうと必死だ。


 そんなキーンのもとに突然、アンナという女優志願の娘が飛び込んできた。エレナのことで頭がいっぱいのキーンは、アンナを邪険に扱うが、無垢で率直なアンナはキーンの恋の相手は自分しかいないと告げる。


 やがてキーンは、昔身を寄せていた大道劇団の救済のために急遽当たり役の「オセロー」を上演することになった。

 しかし、突然のことゆえ、相手役が不在で、目の前にいた素人のアンナにオセローの妻・デスデモーナ役をさせることになってしまう。大混乱の末「オセロー」の幕は開くのだが、舞台は予期せぬ方向へと転がり始める―。

http://www.nntt.jac.go.jp/season/s63/s63.html  より)



当然、戯曲中にシェイクスピアの台詞が散りばめられています。


特に面白いのは、キーンとアンナの気の利いた台詞。


アンナは魅力的な女性で、キーンのことを良く分かっている。

キーン自身、自分自身のことを全然分かっていない人だから

アンナのほうが理解できているのでは。

キーンは有名すぎる俳優だからか高慢の固まり。

欲望と嫉妬に渦巻く世界。


『オセロー』の話をした後、酒のせいで頭痛に苦しむキーンのために

アンナは洗面器にタオルを浸しに行って、キーンの頭に巻いてやる。

その後、彼は「さっぱりする!」と言うんですよね。


ここからももう、結末が一体どうなるのかを察することが出来るようになっています。



役を演じながら言う台詞と

本来の自分自身の心情の台詞とが交じり合っている。


どこまで演じているのか。


私は、キーンは最終幕までは演じているのでは、と思ってしまいます。

いや、人間なんて常に演じているだけなのかもしれません。

演じずに生きている人なんていないでしょう。


この世はすべて舞台、男も女もみな役者だ。


さらに、もっと言えば、これは戯曲なのだからまた俳優に演じられるのであって―――・・・・


この戯曲、なんと宝塚でも上演されていたらしいですね!

一体、どういう演出をするんだろう。。。


嘔吐 新訳/J‐P・サルトル
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サルトルの『嘔吐』はこの新訳が出てすぐに読もうとしたのですが・・・・・

途中で挫折しています。


嘔吐っていう象徴性が『セールスマンの死』の何を売っているか分からないセールスマン・・・・と何だか似通った気がして(って、『嘔吐』はあらすじ読んだだけの知識ですが)

いいなぁ! と思ったのに、挫折。。。


でも、サルトルって結構面白い!?


と気付いたため、こちらも是非読んでみたい!


それにしても最近フランス文学やら、その関係書、フランスワインの本・・・・など
フランスがやたら多い!