イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)/トルストイ
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 本を読む時間は確実に減ってるのに、なぜか冊数は増えてます。


 レビューがまったく追いついていません~・・・・。

 今月はブログ更新がやたら多かったような。



 とあるブロガーさんの影響で、トルストイが・・・・きてます。

 トルストイって『アンナ・カレーニナ 』と『戦争と平和 』しか読んでないけど、好き。


 『復活』を読みたいなー・・・・と思っていたけれど長篇にしかなんとなくそそられなく、このあたりは全然読んでい  ません。

 短篇じゃなくって中篇小説だそう。この違いは何??

 えーーと、中編小説って小説名『』でいいの? 短篇なら「」になるけれど。


 この後は『クロイツェル・ソナタ』、『悪魔』と続く予定です。



 私は古典新訳文庫で読みました。訳のお陰か分かりませんが、ものすんっごく読みやすい!

 トルストイってとーーにかくよく語る人で、正直途中でうんざりしちゃうこともありますが・・・・

 短いからか、一切なかった。


 短いから、登場人物もえらく少ない。


 ・・・『戦争と平和』と書いた人と別人ですな・・・。


 トルストイ、ニガテなの!でも、読みたい!

 って方にはおススメします。



 舞台は、主人公 イワン・イリイチの死のニュースから始まります。

 (トルストイはやっぱり、始まり方が特に上手いと思うの!)

 

 彼は裕福なロシアの裁判官で、妻も、子もいました。


 彼は45年で病気によりこの世をさることになりますが、この直接的な原因がよくわからない。どの医者に見せても、皆違うことを言っていたんだそう。

 分かっていることは、臨終はとにかく苦しんだ・・・・ということ。


 奥さんは「(夫は)ひっきりなしに、うめいていましたわ。とても耐え切れないくらい。私、自分がどうしてあれに耐えられたのか、わからないくらいです。・・・・・ああ、とてもたまらなかった!!」


 とイワン・イリイチの親友ピョートル・ イワーノヴィッチに言います。



 彼は、奥さんは「悲しい振り」をしていると思っていて・・・・更に彼女から「国から手当てを貰うにはどうしたらよいか」という相談を受けます。


 読者から見ると、彼女はちょっと「嘘」をついているようには見えなかったんだけど・・・・

 ピョートルから見ると完全にそうにしか見えなかったみたい。


 そして、イワン・イリイチが生前、どんな人生を歩んできたのかが記されていきます・・・・。


 タイトルが示しているよう、彼の「死」で終わるのですが

 この「死」をどう捉えるか・・・・なんですよね。


 やはり色々解釈があるようですが、トルストイ自身も結論が出ていないんじゃないかと思います。

 

 

 普通・・・・ね、死ぬところまでいかなくとも、自分や家族が病気になったりすると

 「ああ、何もないことが本当に幸せだったんだ」


 って気付くもんだと思うんだけどなぁ・・・・。


 彼の場合、「あの日にかえりたい」とか幸せの具体的な像が思い出せない、ということに違和感を覚えました。

 それだけ”不幸せ”な人だってこと?


 彼の死後も、誰がこのポストへ就くんだろう、とかそんなことを考える者ばかり。

 生前で病に苦しんでいるときすら、支えになってくれた人はひとりだけ。

 それも、「支え」って言ってよいのだろうか・・・・。


 この本のポイントにもなっていますが、こういう事態を「他人事」と考えてしまうことの哀しさについても考えさせられます。

 こういう本を読んでいる分、私はある意味触れる頻度は普通の人より高いとは思うんだけど・・・


 でも、「死んだのは、病気になったのは自分でなくって、イワン・イリイチ」


 って思ってしまわない??


 肝に銘じておきたいし、こういう人物を知ってこそ、こうはなりたくない、と反面教師にして

 人生をより豊かなものに出来る・・・とも思えるんですけどね、

 難しい。



 ふとしたときに思い出しそうな小説です。



 

 まったく知らなかったのですが、黒澤明監督『生きる』はこれをベースにしているんだそう。

 私はまだ観ていませんが、是非!観てみたいと思っていた映画です。



 偏見かもしれませんが、ロシアの小説ってホント暗いよね?

 私はこれが好きなんですが・・・・・もっとはじけたのってないのかな。暗さの理由は何だろう。

 フランス文学とはまた対極的な、この暗さ。


 といっても、トルストイ、ドストエフスキー、チェーホフ、ゴーゴリくらいしか読んでないけど・・・・。


 ロシア文学研究って・・・・とってもしてみたいです。

 ただ、大学院で学ぶとなると、原文(ロシア語)で読めないとダメだし・・・

 

 この系統の学科が入学した院にあったら、お邪魔する予定です。

 


イワン・イリッチの死 (岩波文庫)/トルストイ
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