- すらすら読めるドストエフスキー/桃井 富範
- ¥1,365
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『カラマーゾフの兄弟』、『罪と罰』、『悪霊』、『白痴』、『未成年』――
ドストエフスキー五大長篇小説読解の友。
ドストエフスキーを知らない人はいないだろう。
ロシア文学の中で今、もっとも読まれているのは『カラマーゾフの兄弟』な気がします。
前にも書きましたが、私、これに何度も挫折を経験しております・・・・。
ドストエフスキーって読みにくいです。
個人的にはジェイムズ・ジョイスの作品とか、ホメロスの叙事詩よりはマシなんですが・・・
その次くらいにランクインしております。
トルストイも読みにくいですけれど、私こちらは好きなんだよなぁ・・・。
(いや、トルストイのほうが読みにくいって!って方、いらっしゃいます)
実際ドストエフスキーの与えた影響は計り知れず、
彼の作品を読んで作家の道を諦めた人も多かったそうです。
もう最近は4~6冊同時に読んでるんですが
ドストエフスキーを読むときは1冊に絞らないととても無理なのも
辛いところ
著者も指摘していますけれど、
ちょっとでも読む感覚を空けてしまうと・・・・それまでどんなストーリーだったのかが分からなくなってしまう。
人物構成はものすごく複雑。
それだけでもわけ分からないのに、
そう、日本にはロシアの文化が全然知れ渡っていない――
そこでこの本の出番です!
なんか、セールスみたいになってるのは気のせい?(笑)
まず、ロシア語ってニックネームが多すぎてものすごく混乱。
え?これ、誰???ってよくなります。
名前の構造も詳しく解説してくれているし、登場人物相関図が分かりやすい。
何より素晴らしいと思ったのが
ドストエフスキー作品に出てくる品物、食べ物を写真つきで載せているということ。
どの作品にも注釈はついているけど、写真つきってありませんし。
こんなのだったんだー!!と新たな発見があります。
必見ですよ。
カツレツって、日本で言うコロッケみたいなものなんですって。
また、意外にこういう本に載っていない
「どの翻訳書」が良いか、というもの。
きちんと翻訳者に敬意を払っている様子が非常に好感を持てます。
五大長篇小説にはあらすじは勿論のこと、登場人物についても詳しい解説付き。
「つまづきやすいポイント」、「豆知識」まで収録されています。
また、初心者だけでなく、上級者??のためにか
ドストエフスキー全作品紹介をお勧め度付きで載っているのも凄い。
ドストエフスキー関連書って、ほかと比べてかなり専門性の高いものが多い気がします。
どうしてこういう本がなかったんでしょう。
トルストイも欲しいよ。出ないかな。
この本を読んで『カラマーゾフの兄弟』よりも『白痴』を読みたくなりました。
あと『死の家の記録』です。
ちょっと気になるのですが、ドストエフスキーって・・・
どれもこれも
どうして文庫が厚いの?
他の作家より断然厚いのです。
上中下巻で分厚いなら全5巻にするとかさぁ・・・。
『死の家の記録』も、新潮文庫で567ページ。同じく新潮文庫で『白痴』だと、なんと上巻だけで731ページ。
文庫じゃないだろうぅぅ!??
と言いたくなります。
持ち歩くのしんどいので、文庫本は350ページまででお願いしたいのです・・・。
ドストエフスキーがお好きな方、読んでみたいなと思っている方、自分には手が出ない、と思っている方、相当読みこなしている方にもお勧めします。
これは図書館で借りるより、買うのをお勧めします。
ただ、私ドストエフスキー本人は嫌いです。
モームの世界の十大小説 を読んで驚きました。
下巻に『カラマーゾフの兄弟』についてとドストエフスキーの言及があります。
小説の中ではあんなに複雑な女心を理解して、描いているのに
実際の結婚生活では・・・・・という例って多いですね。
なんか、寂しい。