【空蝉26-2】平安女性の髪の長さは?
源氏物語イラスト訳のあいです
イラスト解釈では、イラスト訳で伝えられなかった文法事項や背景などを、随時お話ししています。
まだまだ拙いブログですが、少しでもお役に立てる記事にしていきたいと思います。
では今日も、一気に行ってみましょぉ~♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「3.空蝉(うつせみ)」の巻です。光源氏は、紀伊守邸での方違えの際、そこで寝泊まりしていた伊予介の若妻(空蝉)と強引に契りを結んでしまいます。中流階級で凜(りん)とした空蝉に心惹かれた光源氏は、弟の小君を手なずけ、再会を取りつけようとしますが、空蝉は応じません。再び紀伊守邸を訪れ、夜這いをかけようと思っても、空蝉は身を隠してしまいます。光源氏は、小君を通じて、空蝉と逢う機会を執拗に求め続けます。とうとう光源氏は、紀伊守のいない時を見計らい、屋敷に忍び込むことに成功し、空蝉が義娘の軒端荻(のきばのおぎ)と碁を打っている様子を垣間見ます。
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今回の源氏物語
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髪はいとふさやかにて、長くはあらねど、下り端、肩のほどきよげに、すべていとねぢけたるところなく、をかしげなる人と見えたり。
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☆ 平安時代の「髪」事情 ☆
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今回の源氏物語イラスト訳も、
前回に引き続き、光源氏の目を通して見た
軒端荻の姿かたちの描写です☆
今回は、この後者の文です。
「髪は」という主語で始まっています。
話題は、軒端荻の「髪の毛」ってことですね!
(o´・∀・`o)
「長くはあらねど(長くはないけれど)」
とあるので、
今の感覚でいうと、こんな感じ!?
(;゚;∀;゚;)
…現代は、「髪が長い=美人」というわけではありません。
逆に、上のイラストのように、
ベリーショートでも、顔やスタイルが良ければ「美人」ですよね!
ところが、平安時代は、
髪の毛の長さは、美人の重要な要素でもあったんです。
ヽ(*'0'*)ツ
平安当時、シャンプーなども今のようにできなかったでしょうに…
ショートやボブのほうが、機能面・衛生面でも良かったはず。
なのに、当時の「美人の条件」は、
「黒髪を長く垂らした超ロングヘア」だったのです。
『源氏物語』絵巻物に見られる女性は、
上のように、ストレート&超ロングの髪が印象的です。
平安時代、女性の長い髪はまさに美人の証であり、
その長さは長ければ長いほど美しいとされていたそうです。
(風俗博物館「平安の美髪」より)
だからこそ、平安女性たちは、必死に伸ばしたようですよ!
ヽ(*'0'*)ツ
もちろん、枝毛や切れ毛もあったろうし、
くせ毛の人もいたでしょうから、
そうした髪の欠点を誤魔化すために、
かつら(つけ毛)もあったそうです。
芥川龍之介の『羅生門』で、
女の死体から髪の毛を抜いて売る老婆の話もありましたよねー!
(*。◇。)ハッ!
こんなふうに、黒髪を売る商売もあったぐらいですから。
( ;゚─゚)
もちろん、死体だじゃなく、
庶民の男女も、生活の為に髪を売ったでしょうし、
抜けた毛なども、大事にとっておいたそうです。
…なんか…
そこまでして…って感じですよねー;;
(;・`ω・´)
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☆ なぜ平安時代はロングヘアが主流だったのか ☆
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平安時代の恋愛は、和歌のやりとりから始まり、
結婚初夜に至って初めて、お互いの顔を見ます。
(「平安時代の恋愛観」参照)
ですが、男心としては、やはり女性の姿を見たいもの。
なので、「垣間見(のぞき)」をするのですね。
でも垣間見は、基本的に遠くから眺めます。
たしかに…顔の良しあしよりも、
長い髪の方が、遠くからでもわかりやすいですよね。
σ(^_^;)
また、日本の平安時代だけでなく、
昔はどの国でも、髪には霊力が宿ると信じられていたようです。
長ければ、長いほどです。
私の好きな韓国ドラマで、「屋根部屋のプリンス」というのがあるのですが、
現代の韓国にタイムスリップしてきた4人の貴公子が、
現代になじむために、髪の毛を切るのを、
命が絶たれるほど思い悩むシーンがめちゃオモロ
生まれてから一度も切ったことがないらしいです><
日本でも、出家して仏門に入るとき、髪を剃りますよね。
平安女性も、「尼削ぎ」という形で髪を削いで出家します。
(「女性の出家と尼削ぎについて」参照)
霊力が宿った、命よりも大事な長い黒髪を捨て、
仏教に帰依するのです。
こうした価値観を知らないと、
平安時代の髪にまつわる叙述の面白さは
半減しますよ~
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☆ 「軒端荻」の髪 ☆
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では、軒端荻は、どんな髪だったんでしょう?
ふさふさとして豊かな髪――
黒いかどうかは書かれていませんが、
豊かな髪のボリュームのようです。
長くはないけれど――
あら~!
ちょっとここで、美人の条件が半減しています。
まあ、今夜は女だけのことですから、
かもじ(つけ毛)もせずにいたのでしょうね;;
切り上げた鬢そぎ、肩の辺りが整って美しく――
【名詞】
…髪の垂れ下がった端。女性の垂れ髪を肩の辺りで切り下げたものにいうことが多い
(「weblio古語辞典」より)
このあたりがきちんと整っているということは、
すっきりストレートなんでしょうね。
全体的に、曲がりくねったような所はなく――
…てコトで、やっぱり直毛なんですね!
「髪は…」が主語でしたので、
この「すべて」は、「髪全体」ととったほうがいいでしょう。
長くはないけど、
豊かなストレートヘア☆
光源氏の射程圏内に入っていそうですね!
(;゚;∀;゚;)
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