【帚木257-2】謙譲語「まかる」☆
こんばんはあいです。
イラスト解釈では、古文目線を養うための古典常識を中心にお話ししています。
お役に立てたら幸いですっ♪
(*^m^*)
↓今回の源氏物語↓
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「…思ひ出でしままにまかりたりしかば、例のうらもなきものから、いと物思ひ顔にて、…」
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭の女性体験談を受け、頭中将も、自分の体験談を話ります。ひそかに関係を持っていた内気な女は、頭中将の妻の嫉妬に思い悩み、頭中将の訪れのない中、心細く過ごしており、撫子の歌を贈ってきました。
今日は、謙譲語「まかる」☆
ではいってみよ~~っ♪
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【まかる(罷る)】
①(尊ぶべき所から)退出する
②(行くの謙譲語 尊ぶべき所から他の場所へ)行く
③(行くの丁寧語)参ります
④(他の動詞の上について)謙譲や丁寧の意を表す
(※『全訳古語例解辞典』小学館 より)
④の意味は、「まかり歩く」「まかり出づ」など、
源氏物語のなかでも何度か出て来ていますので、
このブログでもたびたび触れています。
今回は、「まかる」という本動詞の形ででてきていますね!
(^O^)
【まかる(罷る)】
①(尊ぶべき所から)退出する
②(行くの謙譲語 尊ぶべき所から他の場所へ)行く
③(行くの丁寧語)参ります
高貴な所から「退出する」、
あるいは、
「(退出して)別の場所に行く」
また、
会話文中で使われる時には、
「出ます、行きます」などの、「丁寧」の意味に訳出したほうがいい場合もあります。
ここでは、
頭中将の会話が続いていますので、
「まかる」は
③(行くの丁寧語)参ります
の意味ととらえます。
(◎´エ`◎)
丁寧表現ではありますが、
ここで押さえておくべきことは、
頭中将が出かけていく先の女性宅は、
それほど高い身分のお宅ではない、ということ☆
常夏の女(=夕顔)の身分は、
彼女自身の、自分を「山がつ」と卑下する和歌以外には出てきていません。
「山がつ(=きこり)」とまでは、言い過ぎですが、
そんなに身分が高くなかったであろうということは、
頭中将の正妻の嫉妬の深さからもうかがえます。
( ゚ ▽ ゚ ;)
ダンナは頻繁に訪ねて来てはくれるものの、
心ここにあらずって感じで、
「あっこれは、他に愛人ができたな!」
(`・ω・´)
ピンときた妻は、人を使って調べたんでしょうね!
当時は、愛人ができるなんてことは、日常茶飯事です。
いちいち嫉妬してたら、身が持ちませんよね^^;
しかし、どんな女だろう?
…と、気になることは確かです><
そして、
たまに通う、この女の住まいを見つけます。
えっ…?
(@ ̄Д ̄@;)
こんな家?
こんな所に住む女が、わが夫の愛人なの?
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
男性の身分が極めて高い場合、
女性は、愛人といっても、それ相応の身分であるべき。
もし、身分の高くない女性を愛してしまった場合は、
「召人」として男性の家に引き取られることもあるそうです。
(山口仲美の言葉&古典文学の探検 より)
…なのに、こんな女が…
ダンナの心を揺さぶる愛人…?
な~んて(;゚;∀;゚;)
この「まかる」という謙譲表現の強い単語からも、
常夏の女と頭中将、そしてその正妻の三角関係を、
想像しちゃったりするわけです(-c_,-。)
もちろん極論ですが…ね^^;
でも、当時の女性問題を理解する、ひとつのきっかけに役立ててもらえればと存じます☆
では次回の講釈もおたのしみに☆
(o^-')b
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あいでした