◆朱雀帝(すざくてい)◆
■朱雀帝(すざくてい)
『源氏物語』の2番目の帝として、24歳の時に即位します。
桐壺帝と弘徽殿女御との間に生まれた第一皇子で、光源氏が宮中で生活するようになってまもなく、春宮(皇太子)として立坊し、桐壺帝の譲位後、朱雀帝として立皇します。
春宮時代に、左大臣の娘である葵の上の入内を希望しましたが、光源氏の正妻にという意向で断られます。
その後、母弘徽殿の妹である朧月夜の入内が決まっていましたが、光源氏と朧月夜の密通が発覚し、入内は取りやめになってしまい、結局、有力な妃のない帝でした。
愛する女性をことごとく光源氏に奪われた形ですが、容姿・教養すべてに優れた弟光源氏に引け目を感じており、光源氏と朧月夜の密通を知っても、彼女を許し寵愛しました。
32歳で、異母弟である春宮(のちの冷泉帝)に位を譲り、退位後は、朱雀院に住まい、朧月夜と平穏な日々を過ごします。
母弘徽殿皇太后の崩御後、42歳で出家し、後ろ楯のない愛娘女三の宮を、光源氏に降嫁させます。
柔和な性格であり、母弘徽殿に頭のあがらなかった、影の薄い存在ですが、異母弟である光源氏や冷泉帝に、微力ながらも兄としての心をかける、情の深い人柄として描かれています。