【桐壺37-②】解釈~重篤
おはようございます あいです。
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【原文】
来し方行く末思し召されず、よろづのことを泣く泣く契りのたまはすれど、御いらへもえ聞こえたまはず、
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今回は、桐壺更衣が重篤になってゆくお話です。
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【前回までのあらすじ】
いつの時代だったか、ある帝が正妻格ではない桐壺更衣というお妃を溺愛します。一の皇子を生んだ弘徽殿女御をはじめ、他の妃たちは、桐壺更衣を迫害し、だんだん心身ともに病んでいった更衣は、とうとう、宮中を退出することになるのでした。
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来し方行く末 思し召されず、
あとさきもお考えあそばされず、
前回の「御覧ずるに」から引き続き、「思し召されず」とあります。
「思ふ」→「思す」→「思ほす」→【思し召す】と、敬意が高まります。
「思し召されず」の「れ」は、助動詞「る」の未然形。
助動詞【る】の意味:
受身(~される)
尊敬(~なさる)
可能(できる)
自発(自然と~される)
「思し召す」はすでに最高敬語だし、
「思」という心中語があるので、
【る】は「自発」と考えられます。
訳出の方向から、「可能」にしてもいいと思います(*^_^*)
(※自発と可能の区別はつきにくいです;;)
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桐壺帝は、いったい何をお思いになれなかったのか???
【来し方行く末】の「し」は、
過去の助動詞「き」の連体形。
今まで来た方向、そして、これから行く先々…という意味ですね。
よろづのことを泣く泣く契り のたまはすれど、
すべてのことを泣きながらお約束 あそばされるが、
【のたまはす】は、「言ふ」の尊敬語。
「言ふ」→「のたまふ」→「のたまはす」
この順に、敬意が高まります。
帝が、
【よろづ(万)】のことを、
【契り(約束)】させるために、
いろいろおっしゃってるんですね。
御いらへもえ 聞こえたまはず、
お返事を申し上げることもおできになれず、
ここで、「聞こえたまはず」という敬語になります。
【聞こえ(聞こゆ)】は、「言ふ」の謙譲語。
【たまは(たまふ)】は、尊敬の補助動詞。
謙譲語が使われている段階で、もはや帝が主語ではなくなってますね。
桐壺帝がいろいろおっしゃったにもかかわらず、桐壺更衣は…
また帝と桐壺更衣との別れの場面に焦点を当てています^^;
こんなふうに、『源氏物語』では、時制が前後することもあるので、
注意が必要なんですよ(o^-')b
でもね。
文脈を見失っても、敬語で主語が見分けられるんですよ('-^*)/
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【原文】
来し方行く末 思し召されず、よろづのことを泣く泣く契り
のたまはすれど、御いらへもえ 聞こえたまはず、
【口語訳】
あとさきもお考えあそばされず、すべてのことを泣きながらお約束
あそばされるが、お返事を申し上げることもおできになれず、
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【今日の重要古語】
■ 【来し方行く末】
■ 【思し召す(おぼしめす)】
■ 【よろづ】
■ 【契り(ちぎり)】
■ 【のたまはす】
■ 【いらへ】
■ 【え~~ず(打消)】
■ 【聞こゆ】
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