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フランスという国名が女性名詞であることもあって、
フランスの人々は、国の顔として、女性のイメージを使いたがる。
今の共和国体制の基礎を築いたのは、フランス革命だが、聖教分離政策の為に、
教会権力は否定され、聖母マリアに代わる、救国のヒロイン。
三色旗を掲げて戦う『マリアンヌ』というイメージキャラクターが無理矢理作られた。
マリアンヌは、現在まで、切手の顔であり各官庁のシンボルであり、
凱旋門の巨大レリーフや、村役場の胸像にまでなっている。
マリアンヌは『共和国』にとってのジャンヌ・ダルクであり、
ジャンヌが、元になっているのは、言うまでもない。
そして、架空のマリアンヌよりも歴史的な存在のジャンヌ・ダルクの方が
インパクトが大きいのは当然だ。
革命後、ナポレオンが登場し、彼は革命防衛戦争のはずの戦いが、
侵略戦争に変質していくのを、正当化し、
自分を神格化する為にジャンヌ•ダルクをよく利用した。
19世紀末、普仏戦争の敗北により、ナショナリズムが高まるが、それをまとめる
有効なシンボルが見つからない。
革命当初、ジャンヌはフランス王家を助けた、神がかりの無知の少女との
評価もあったが、教会の異端裁判により、殺されたという経歴から、
自由・共和主義の先駆けだとの再評価が高まり、共和国の新しいヒロインとして、
歴史の中に再登場してきた。
また、カトリック側も、政教分離によるイメージダウンに悩んでいたが、
この機会をとらえてジャンヌを教会としても、
正式に昇格しようと試み、彼女の人気に便乗しようとした。
そうして、ジャンヌ・ダルクは、全てのフランスの人々にとって、
真のヒロインとなっていた。
熊谷