あのアドベンチャーゲーム制作メーカーは今。 | アドベンチャーゲーム研究処

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アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【概要】
90年代周辺に頑張ってたアドベンチャーゲームメーカーの現状を紹介。

※記事は「額面通り」に受け止めてください。ホントに。

【あのアドベンチャーゲーム制作メーカーは今。】

バリューセレクション MOTHER 1+2
パックスソフトニカ
活動期間 1983~2002年
遺作 GBA『とっとこハム太郎3 ラブラブ大冒険でちゅ』

『ふぁみこん昔話』で知られるパックスソフトニカは、2002年以降は活動停止。
停止の詳細は完全にブラックボックス化しているのでどの様な経営状況だったか不明だが、
代表取締役だった橋下友茂が業績不振の責任を取って退社したのが1999年末の話。
ADV以外では海外向けのゲームやスポーツゲームも製作していたが、
一般的には『MOTHER』と(頓挫した)『MOTHER2』の開発会社として知られている。
ついでに『MOTHER3』(2006年)の制作はブラウニーブラウン。

末期はGBC向けに『ファミコン文庫』を展開する予定もあったそうだが、
気付いたら携帯機向けADVは『とっとこハム太郎』の制作に移行。
そのハム太郎も、2002年発売の『とっとこハム太郎3』で消息不明となっており、
『4』からは『トマトアドベンチャー』のアルファドリームに開発会社が変更されているので、
この時期周辺でパックスソフトニカに“何かがあった”という想像ができる。
のだが、如何せんこの会社は公式的な情報が無いため、全ては憶測の域を出ないのが現実。
専属契約していた有限会社ソフトニカは存命中。

――― 関連事項 ―――

『とっとこハム太郎』→『1』『2』合算でミリオンセラー。時流って凄い。
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学校であった怖い話S
パンドラボックス
活動期間 1989~年1999年
遺作 PS『ONI零 ~復活~』

シナリオライターの飯島健男がフリーになったのが切っ掛けで設立された会社。
自社販売で廉価新作を展開した「パンドラMAX」シリーズの不採算が祟って、
1999年頃に自社展開が停止、2000年代初頭に公式サイトも自然消滅し、
『リストラの朝』や『闇の蛹』など、奇天烈なソフトが発売予定のまま姿を消す。
代表取締役だった飯島のインタビューによると製作意欲の問題もあったらしい。

代表作は『学校にあった怖い話』や『ONI』シリーズで、両方ともバンプレストが販売。
飯島が復帰した際もバンプレストから一作発売しており、会社仲はかなり良好だった。
ついでに末期はスタッフが独立してアシッドというエロゲー会社を立ち上げている…
のは、その筋には有名。あと、この会社の代表取締役は『晦』の真田役だったあの人。

――― 関連事項 ―――

シャノン→飯島が海外放浪とかゲーム専門学校の講師とかした後、
      業界復帰に際して設立される。家庭用で惨敗後、同人業界へ移行。
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恋愛ゲームセレクション EVER17
KID
活動期間 1988~2006年
遺作 『龍刻 RYU-KOKU』

「読む」ことに特化したKIDシステムで有名だった美少女メーカーKIDも、
2006年末に自己破産。権利はサイバーフロントへ譲渡したが、ブランドは継続の形となった。
このメーカーはinfinityシリーズやMemories Offシリーズで名を馳せたわけだが、
『水の旋律』の様な、いわゆる乙女ゲーにも手を出していた。

倒産理由は据え置き機の美少女ゲームを得意としたものの
携帯機向けゲームにメインストリームが変化したこともあって、
末期の売上げはヤバかった上に、主柱シリーズの発売が滞ったため…らしい。
実はそんなに詳しくない会社なんで、どうにもこうにも。

――― 関連事項 ―――

サイバーフロント→権利を譲渡。開発途中のinfinity新作の製作を継続したり。
5pb.→スタッフがかなり流入。『Memories Off』の版権も所持。専門の開発部門もあるらしい。
ガイズウェア→KIDのプロデューサー、亀谷恒治が末期に独立して出来た会社。
打越鋼太郎→KIDでは主柱だったライター。現在ではチュンソフト社員。
     『EVER17』後に次は『シックスセンス』っぽいの作ってと偉い人に言われた…らしい。
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トワイライトシンドローム探索編
HUMAN
活動期間 1983~1999年
遺作 『続・御神楽少女探偵団』

『クロックタワー』『トワイライトシンドローム』『デコトラ』など、
(地味な)人気シリーズを幾つか発売し、マニアな人気を誇った会社。
日本初のゲーム専門学校を設立したことでも有名。
そのこともあって挑戦的な新規作が継続して発売されたのだが、
末期はマニアに攻めすぎたためなのか、評価は高いが売り上げは伴わないという
例のアレなパターンに入り込み、アーケードゲーム事業の失敗もあって事業撤退。

優良タイトルの幾つかは他社に引き継がれることとなったのだが…
『クロックタワー』が明らかに内容が別物になって発売されたかと思えば、
『トワイライトシンドローム』のテイストが大幅に変化してきたり、
更には『御神楽少女探偵団』がまさかのアダルトゲーム化やら
版権をハムスターに二重売りされていた事実が最近判明するやら。
その個性的過ぎるゲームで一定数の熱心なファンがいるからこそ、
続編タイトルに泣かされることの多い会社ではある。(現在進行形)

――― 関連事項 ―――

スパイク→権利とスタッフの多くを引き継ぐ。HUMAN系のVAILという会社を設立、そして吸収。
グラスホッパーマニファクチュア→末期に須田51などが独立して出来た会社。
ヌードメーカー→『クロックタワー』『御神楽少女探偵団』の河野一二三が中心の会社。
サンドロット→『リモートコントロールダンディ』制作スタッフが、2001年に設立。
team YURA→『トワイライトシンドローム』系スタッフの立ち上げた会社。
      スパイクと『夕闇通り探検隊』を制作、07年にhaneと名称変更。
5pb.→代表取締役の志倉千代丸は元HUMAN社員。
HUNEX→HUMAN×NEC÷2=HUNEX。今ではD3パブリッシャーと親密。
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凄く…関連会社が多いです…。自由奔放な会社だったんですね。はい。

メタルマックス
Data East Corporation
活動期間 1976~1999年
遺作 『探偵 神宮寺三郎 灯火が消えぬ間に』

しいたけの栽培に失敗し、倒産。…というのは冗談。
「変なゲームは任せとけ!」のキャッチコピーで有名なデータイーストは、
自由奔放な販売方針と、しいたけ栽培などでファンには有名なサイドビジネスが祟って、
アーケード事業を撤退直後の1999年に自己破産と言う形でゲーム事業も撤退、
経営の建て直しを図る(マイナスイオン発生装置で。)も、04年に倒産した。

『メタルマックス』『ヘラクレスの栄光』『探偵 神宮寺三郎』など、
既存のステレオタイプにはまらない設定やゲーム性のシリーズを多く輩出し、
固定ファンが多かったこともあってHUMANと同じく破産後も続編が展開されたが、
『メタルマックス』の信用の切り売りを筆頭にHUMAN以上にろくな目にあってない気がする。
あと、現在でも何故か愛称だったDECOのロゴを使ったグッズが作れられてたりもする。

――― 関連事項 ―――

旧作の版権の大半→G-mode(ケータイアプリの最大手。『ヘラクレスの栄光3』もリメイク。)
『メタルマックス』シリーズ→版権が散り散りになりすぎて、もはや判別不能。
『神宮寺三郎』シリーズ→ワークジャム(唯一の現役選手。)
『ヘラクレスの栄光』→パオン(他にも『カルノフ』『チェルノブ』の版権を保有。)
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Solitude Psychic Detective Series Final~上巻~
Data West Corporation
活動期間 1986~1998年
遺作 不明

イシイジロウが学生時代に在籍していたPC系ゲームメーカー。
家庭用ADVはサイキックデティクティブのVol.3とVol4が発売された
(しかもMEGA-CDとPCエンジン)のみなので、一般的な知名度は限りなく低い。
サイキック~以外にも「第4のユニット」などADVのシリーズを幾つか保持していた。
会社自体は現存しているが、ゲーム事業は1998年辺りで撤退している。

刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~
リバーヒルソフト
活動時期 1982~2004年
遺作 『クレイマン ガンホッケー』(ローカライズ 制作だと『ワールド・ネバーランド2』)

福岡にあった老舗PCゲームメーカー。
玄人受けしそうな設定で慣らしたPC系の老舗ではあるのだが
家庭用事業に積極的になった90年代末にメインの製作陣が立て続けに独立した結果、
末期は『クレイマン・クレイマン』(クレイアニメの洋クリックADV)や
『リフレインラブ』(ギャルゲー)など、かつての姿は影も形もなかった。
その後は2000年に家庭用を撤退、2004年に破産し、権利をalthiに譲渡している。

ADVの代表作は『J.B.ハロルド』と『藤堂龍之介』なわけなのだが…
リバーヒルにおける『J.B.ハロルド』は家庭用での展開は意外と少なく
『マーダークラブ』(1作目)と『ブルー・シカゴ・ブルース』(5作目)のみ。
『藤堂龍之介』にいたっては家庭用ではDSに入るまで未展開
(『謎のマスカレード』?内容違いすぎなんでノーカウントで。)な上に、
実はリバーヒルからは、『琥珀色の遺言』と『黄金の羅針盤』しか発売していない。
つまり、どっちも家庭用では知名度は低いシリーズだったわけなので、
昨今の認知度が上昇したのは、権利譲渡されたalthiがアプリやDSで展開した賜物だろう。

――― 関連事項 ―――

Level5→日野晃博が率いる『OverBlood』チームがSCEに支援してもらい独立。
     『ドラゴンクエスト』の製作、『レイトン教授』で一身大出世したのは言わずもがな。
CING→ADV系のスタッフが独立。スマッシュヒットを放ったが2010年3月に破産申告。
althi→権利譲渡し、ケータイアプリで過去作のリメイクやミステリーものを展開中。
    なぜかシンキングラビットの『カサブランカに愛を』のリメイクもしている。
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つまり、福岡におけるゲーム事業の母ということですね。解ります。

最終電車
VISIT
活動期間 ???~2002年
遺作 PS2版『最終電車』

初期は行頭に「。」や「、」が出てくるという、
初歩的なことをやらかしていたハイパーノベルシリーズで知られたVISITは、
2002年に人気作の『最終電車』をPS2移植して以降、自然消滅。
昔は「ホームページビルダーで一応作ってみました!」的なHPもあったが、
気付いたら閉鎖しており、活動の詳細もわからないという状況にあり、
もしかしたらゴースト系として奮闘している可能性もあれば、倒産している可能性もある。
ただ、もうハイパーノベルというシリーズが展開不能であるのは間違いないだろう。
『稲川淳二』?『ゲームセンター嵐』?記憶に無いです。

風来のシレン 20th スペシャルコレクション
CHUNSOFT
活動期間 1984~
代表作 『かまいたちの夜』『風来のシレン』

言わずもがなで現役。
一作入魂で名を轟かせていたメーカーなのだが、
05年にドワンゴの子会社化してからは多産体制へ移行し、
サウンドノベル、不思議のダンジョン両シリーズの新作が毎年発売されている。
替わりに質の面ではムラが大きくなったというのがファンの総意(多分)。

また、ドワンゴはネットワーク事業が中心の会社と言うこともあって、
PC向けネットワークゲーム『アミーゴ・アミーガ』のリリース(開発はドワンゴ)や、
過去のサウンドノベルはほぼ全てケータイアプリに移植するなど、ネットコンテンツに近しい。
しかしPS2『3年B組金八先生』のアプリ移植は、権利関係で金八先生の存在が抹消され
B組は2組になるという偉業を達成。麻雀ゲームまで配信されてたりもする。

――― 関連事項 ―――

アクアマリン→『かまいたちの夜』『風来のシレン 月影村の怪物』を製作。現在は消息不明。
サンテック→サウンドノベルの移植事業を中心に関わる。こっちも消息不明。
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やるドラシリーズ ~雪割の花 PlayStation the Best
SUGER & ROCEKTS
活動期間 1997~2000年
代表作 『やるドラ』シリーズ

元はSCEの製作部門だったが、1997年に100%出資子会社という形で法人化。
開発会社ではなくプロデュース業が専門で、手がけた作品のジャンルも多彩。
『やるドラ』のプロデュースで有名だが、あれも制作はプロダクションIGである。
2000年にSCEへ戻り、現在も恐らくプロデュース活動していると想像される。

赤川次郎ミステリー 月の光 -沈める鐘の殺人-
ビクターインタラクティブソフトウェア(現マーベラスエンターテイメント)
活動期間 1970~
代表作 『夜想曲』『月の光』

地味な仕事ぶりから地味に人気があったビクターは、
2003年に買収されたことでマーベラスインタラクティブへ社名変更。
そして2007年に事業吸収され、今の馴染み深いマーベラスエンターテイメントになる。

マーベラスに社名を変更した後もオリジナルアドベンチャーには積極的で、
DSでは珍しい声付きADV『LUX-PAIN』、豪華スタッフを集めた『サクラノート』などを発売。
しかし看板のはずの『赤川次郎サウンドノベル』シリーズは移植しかされず、
その上、作家のゲームが出たかと思ったら3DOの移植だったという意味不明な展開がなされる。
他にも不採算企画がどんどん出て来るという壮絶な状況にあり、最近は悪い噂しか聞かない。

――― 関連事項 ―――

BREAK→『逢魔が時』でやらかした『マリア』シリーズで有名な会社。今は消息不明。
teamCRAZE→金沢十三男が率いる『赤川』『fish eyes』シリーズの制作チーム。
      昔は公式ホームページもあり露出もそれなりにしていたが、現状は不明。
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【セガサターンのあのメーカーたちは今】

EVE burst error
姫屋ソフト
活動期間 1991~
代表作 『EVE burst error』『DESIRE』

姫屋ソフトって何?と言う人に解りやすく言えばC'sWareのこと。
C'sWareって何?という人には、解りやすく言えばエロゲー会社ということね。
(へりくだった結果、凄い遠まわしな紹介になってしまっている)

『DESIRE』『EVE burst error』の開発会社として知られている会社だが、
上述2作がヒットしたものの、菅野ひろゆき、梅本竜、田島直など主要メンバーは退社しており
EVEのシリーズ化を視野に制作し、C'sWare最高売り上げを達成した
『EVE the lost one』でファンが急激に離れ、その後は数作EVE冠の作品を制作したものの、
減少傾向に歯止めが利かず『EVE burst error Plus』発売以降、ゲーム事業は停止している。
ついでにPS2で出た『New Generation』はF&C(『狂った果実』のあそこ)が、
PSPの『EVE the 1st.』(『burst error』のリメイクのリメイク)はHOBIBOXが制作。

――― 関連事項 ―――

田島直→原画家。業界を引退してYahooオークションに直筆色紙を売っていた…
      のだが。のだがのだが、現在では出品停止。公式HPも閉鎖。もしや本当に引退?
山田桜丸→『the lost one』で叩かれてたあの人。今では直木賞作家。
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この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO
Elf
活動期間 1989~
代表作 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』

西のアリスに東のエルフ(だったっけ?)と謳われていた、アダルト界の老舗メーカー。
グラフィックの技術力が高かったためアダルト版スクウェアとも言われてた記憶が…
昔は『ファミ通』誌内で鈴木みそが取材したマンガが載っていた(良いのか?)り、
『ドラゴンナイトⅣ』や『同級生2』などスマッシュヒットを連発していたが、
美少女ゲーム市場そのものが感動系に舵を取った00年代以降は全く見かけなくなった。
とはいえ数年前にヌードメーカーと『御神楽少女探偵団』の
続編アダルトゲームを作っていたのは記憶に新しいところではある。
あまり業績は芳しくないらしく、最近では潰れる…かも?という話題しか聞くことが無い。

――― 関連事項 ―――

横田守→元原画家。現在はアニメ下請け会社やアダルトゲーム会社の代表取締役。
      出崎統を映画版『AIR』の監督に推したのも彼。そう、無茶振りである。
剣乃ひろゆき→自分のペンネームを商標登録されたことであーだこーだあって独立。うらぶれる。
蛭田昌人→Elfを代表するライター。アダルトテキストの礎を築いた…らしい。現在は引退。
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【コメント】
まだ取り上げたいメーカー多し。
知名度の低いところからカットしたので、追加版が書きたいかも。