アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。


テーマ:
【概要】

「考えること」「考えないこと」を主軸にして、
アドベンチャーゲームというジャンルの変容を追う。
実質的には前回のトレンドを考える記事の続編。

【アドベンチャーゲーム変容の歴史】

創世記以前


ゲームブック…『火吹山の魔法使い』『ソーサリー』シリーズなど

テキストによってゲームを組み立てるという意味での
アドベンチャーゲームの母は間違いなくこの「ゲームブック」シリーズだろう。
ただし立ち上げ当初のゲームブックはテーブルトークRPGの代用品という域を脱せず
コインやサイコロなどでランダムで分岐したり戦闘するアドベンチャー形式のRPGであって、
設定もファンタジーが基本だったため、実は現在のアドベンチャーゲームと通ずる点はそれほどない。
実際その影響もあって国内で展開されるゲームブックは未だにファンタジー色が強く、
ミステリー系のゲームブックはむしろ少数派で、TVのアドベンチャーとは異なった道を進んでいる。

そのゲームブックを国内で一般的にしたのは、
80年代中盤に双葉社から発売された「ファミコン冒険ゲームブック」シリーズ。
ファミコンブーム時に発売されたゲームブックシリーズなのだが
『スーパーマリオ』『ファミリースタジアム』の様なゲームブックには無茶そうな作品や、
『ゼルダの伝説』『ドラゴンクエスト』『ファンタシースター』などの大作RPG、
アドベンチャーゲームでも『オホーツクに消ゆ』『探偵神宮寺三郎』『ファミコン探偵倶楽部』など
今となれば錚々たる面々が続々とゲームブック化を果たし、プチブームを巻き起こした。

しかしゲームよりも手軽に作れるゲームブックでは質的には問題のある作品が多かったらしく、
ブーム時にゲームブックをプレイした『弟切草』の原作者である長坂秀佳は、
インタビューで「ブームの時にプレイしたけどおもしろくなかった」という趣旨の発言をしている。
まあ、逆にその完成度の低さから入り込む余地があるとも思ったそうなので、
ここにサウンドノベル誕生のルーツがあるのは間違いないのだろうが。



その後、テレビゲームの表現が多様化・具体化したこともあって、
想像力を豊富に使うゲームブックはユーザーが離れて行き衰退するのだが、
児童書やキャラクターブックとして生き残りを図っていて
地味ながら90年代半ばまで細々と出版を続けていたりする。

特にポプラ社から発売された「にゃんたん」シリーズや「むちゃのねこ丸」シリーズは
「アドベンチャーブック」という看板で80~90年代中盤とそこそこ長い期間出版され、
今でも続刊中の「かいけつゾロリ」とあわせて90年代を代表する児童書として語られてたりしており、
一般的に思われているよりゲームブックというジャンルの知名度は未だ高い。と思う。

コマンド入力式のアドベンチャーゲームの誕生。


コマンド入力式ADV…『ミステリーハウス』シリーズ『鍵穴殺人事件』など

テレビジョンに表示するテキストを表示する“ゲーム”という意味での
アドベンチャーというジャンルが生まれたのは70年代中盤で、
学生が「アドベンチャー」という作品を作ったことから始まる。

この時期のゲームは今の様に家庭用ゲームは一般的ではなく、
パソコン以外ではゲームをプレイできる媒体がなかった。
そのためアドベンチャーと言うジャンルもパソコンの仕様に特化し
キーボードというデバイスを利用した、行動をそのままタイピングする
今では完璧に絶滅したコマンド入力型のアドベンチャーゲームが本流だった。

しかしコマンドは英語入力(アドベンチャーゲームは海外発祥のジャンルなんですよ。)で、
一度詰まると、どの単語を入れても「NO」と突っぱねられ続けるという
あまりにも高い難易度だった(そして時間がかかり過ぎる)為、国内では定着しなかったらしい。
この頃のアドベンチャーゲームというジャンルは「考えること」を意識はしているのだが
その「考えること」が話の流れに沿うと言うよりも、当てはまる言葉を「考えること」なので、
現在のアドベンチャーゲームというジャンルとは根本的にやろうとしている事が異なり、
今プレイすると骨が死ぬほど折れるのでプレイは推奨しないし、できない。(体験者談)

その後は世界初のグラフィック付きアドベンチャーゲーム、
(それまでのアドベンチャーはテキストのみでゲーム進行する作品しかなかった)
『ミステリーハウス』シリーズの登場によって
国内でもアドベンチャーというジャンルの人気に火がつき、
国内メーカーもシンキングラビットやハドソンなどのメーカーが参入し
いくつかの名作が生まれ、着々と家庭用登場への基盤を築くこととなる。
実際、後に家庭用アドベンチャーゲームのバイブルとなる
『ポートピア連続殺人事件』も実はこの時代の作品だったりするのだが…
このゲーム性は、キーボードに入力することが前提条件だったので、
家庭用ゲーム機への移植へは高いハードルが存在していた。
その為、この基盤を家庭用で生かすことになるのはもう少し先の話になる。

ちなみに、この頃アスキーから発表された
『表参道アドベンチャー』や『南青山アドベンチャー』などの、
文字表記しかできなかった頃のクラシカルな日本産アドベンチャーゲームが
後にサウンドノベルシリーズの元ネタとなることとなり、
上の『ポートピア連続殺人事件』と合わせて考えれば
実はこの頃の作品がアドベンチャーゲームというジャンルの方向性に
最も影響を与えたのではと個人的には考えている。

コマンド“入力”からコマンド“選択”へ。


コマンド選択型の発祥…『オホーツクに消ゆ』

上で書いたとおりコマンド入力型のアドベンチャーゲームは、
難易度が高くパソコンでしかプレイできないためマニア向けのジャンルだった。
その解決策として現れたのが、コマンドの入力候補を一覧で表示し選択させるという、
現在のアドベンチャーのスタンダードであるコマンド選択のゲームデザイン。
一見すれば単なる簡略化なのだが、
当時のファミコンブームも手伝い国産アドベンチャーは後追いする作品が続出し
国内と海外のアドベンチャーゲームではシステムに違いが生まれ始めることとなる。
ゲームシステムとしての国内独自進化の第一歩だったとも言えるだろう。
(ファミコンは十字キーが操作デバイスなので家庭用移植を視野に入れればそうするしかなかった。)

アドベンチャーというジャンルのゲーム性が大幅に変わったのも“ここ”で、
基本的にこの当時のアドベンチャーは「言葉探し」がゲーム性だったのだが、
コマンドを選択するためその「言葉探し」の必要がなくなり
その替わりにストーリー性が重視されることになって行くので、
アドベンチャーと言うジャンルが「考える」ことから「演出を楽しむ」ことへ
ゲーム性が変化した一つの分岐点とみて間違いない。
実際、初めてこのシステムが採用された『オホーツクに消ゆ』は、
犯人を「考える」タイプのストーリーではなく、捜査を通した人間ドラマを描いた作品である。

またファミコンで発売された『ポートピア連続殺人事件』は
70万本を売り上げる大ヒットを記録したため、
これ以降に発売される作品は探偵や刑事が主人公の作品が多く発売され、
アドベンチャーゲーム=ミステリーゲームというイメージが定着することとなる。

難易度・ボリュームの低下と、映画的な演出の台頭。

アドベンチャーゲーム研究処-メタルスレイダーグローリー

その後のアドベンチャーゲームは、“演出”をゲーム性に選択したこともあって
アニメーションなどを活用し、ゲームプレイもほぼ詰まることなく進めれる様になり、
「その場にいるかのような臨場感」を追い求めることとなる。
しかし、時代は容量がMBにも届かないFC期。それは容量的にほぼ無理な注文だった。

結果、快適性やビジュアルの強化に重きを置かれ全体的にボリュームが薄くなり、
ピークの頃には『JESUS』の様な2時間から3時間程度でクリアできる作品も登場。
ゲームの内容よりも、いかにアニメーションさせるか、グラフィックを小奇麗にするか、
という点に注力され、内容面は疎んじられてしまった感もあった。
今でもプレミア価格で取引され、“アニメーションの凄さ”について語られることの多い
『メタルスレイダー』なんかのはその典型だろう。

こうして値段と比べて薄いボリュームや解りやすいゲーム性の低下から、
アドベンチャーは“マニアなジャンル”化が進み、一時メインストリームから外れることとなる。
後に演出とボリュームを両立した作品が登場し、この路線は復調するのだが
この時点では、追い求める方向性とゲーム機の性能にギャップがありすぎと言う感は拭えない。
そういう意味ではボリュームもありドラマ性もありビジュアルもある
『スナッチャー』の様な作品は、時代を先取っていたとも言えるかもしれない。
まあ『スナッチャー』の場合、初登場のMSX発売時は未完の大作だったんだけどね。

エンディングの分岐とサウンドノベルの登場。


エンディングの分岐もの…『殺意の階層』『ブルー・シカゴ・ブルース』など
サウンドノベル…『弟切草』『かまいたちの夜』など

こうして映画的な進化を遂げたアドベンチャーゲームだが、
それは誰でもクリアできる慢性的なゲーム性が低さ、と言う問題点を抱えることも意味していた。
誰でも頑張ればクリアできるゲーム、それはそれで素晴らしいのだが、
アドベンチャーというゲームとしてはそれは違うんじゃないか、という流れも当然生まれ、
そこから発生したのがエンディングの分岐による新たなゲーム性だった。

その代表例はHAL研究所から発売された『殺意の階層』。
この作品はゲーム中に時間の制限を設け、プレイヤーの捜査方法によって
エンディングが分岐し、ゲーム側の設けた時間内に正しい行動をとらなければクリアできない、
つまり言えばストーリーの前後の流れから次の行動を「考えること」がゲーム性となり、
実質的にコマンド総当りの否定を意味するゲームデザインだった、という訳だ。

この流れは「演出を楽しむ」ことと「考えること」の融合ともいえるのだが、
分岐する部分を自分で見つけ出すことをゲーム性にしている関係上、
何度も繰り返しプレイすることが前提なゲームデザインなので、
難易度がライトユーザーにはついていけない高さになってしまうという
致命的とも言える欠点を新たに発生させてしまった。

この欠点を見事にクリアしたのが『かまいたちの夜』。
分岐する部分を、選択肢という明確化させることで難易度の調整を図り、
また全体のボリュームを抑えながら、文章描写量を多く使うことができる
サウンドノベルという手法を活用することで推理することに集中しながら
繰り返しプレイをしても、他の繰り返し前提の作品よりも
苦痛を少なくするボリュームに収めることに成功。
結果、この『かまいたちの夜』はライトユーザーを中心に“受け”、
SFC・PS・GBA合算で累計125万本を販売する大ヒットを記録した。のはあまりにも有名か。

逆に言えば「あみだくじ」で分岐する『弟切草』は
ゲーム的に見れば未完成品だった、というのが私の持論だったりする。…関係ないか。

再び一本道へ。


『EVE burst error』『POLICE NAUTS』など

この分岐ブームも、難易度調整の難しさからデキが極端になりがちなため
ユーザーから避けられ、サウンドノベルブームの終焉と共に前線から消えてゆくことと成る。
その次に台頭したのが、音声やアニメーションを使ったコマンド総当りアドベンチャーゲーム。
つまり言えば、「考えない」アドベンチャーゲームへ回帰したというわけだ。

この頃はCD媒体に完全移行し、問題となった容量的な制約は殆どなくなっており、
FC時代から進み続けてきた映画的なアドベンチャーゲームの進化が一つの飽和点を向かえ、
完成度の高い一本道アドベンチャーゲームが多く発表されることとなった。
また90年代初頭に生まれた美少女ゲームというジャンルが
めぐりめぐってアドベンチャーゲームと言うジャンルと合流したのもこの時期で、
特にセガサターンでは美少女ゲームとアドベンチャーゲームの中間地点な作品が多く登場。
セールスも好調で、数十万本を販売したミステリーアドベンチャーが
この時期はかなりあり、現在でも名作と呼ばれる作品が多々ある。
ユーザーにとってもメーカーにとっても収穫期だったのだが、
上で述べたとおり、FC時代に理想としたものが全て実現されたため進化の飽和点を迎え、
ここからコマンド総当りアドベンチャーはゲームとして進歩していない。

しかし、この黄金期とも言うべき時期も、
発売された作品はストーリー性や作家性に頼りすぎる傾向が高かったため、
シナリオライターの衰えや離脱と共に歴史の渦へと消えてゆくこととなる。
後のアドベンチャーゲームというジャンルそのものの衰退を考えれば
間違いなく誤った方向に進んでいた時期だったと思うのだが、
私的にはこの頃に発売されたアドベンチャーゲームが一番好きだったりする。

頭を捻る一本道の登場。


『街』『THE推理』『逆転裁判』など

こうして映画の様なアドベンチャーゲームも頭打ちとなった後で
主流になってゆくのが、トレンドを考える記事でも取り上げた、
正解か不正解かが、選択後にすぐ出てくるパズルあるいはクイズ型のアドベンチャーゲーム。

分岐による難易度の調節ではなく、1本道のアドベンチャーに
所々話の前後の流れから頭を捻って正解を導く「考える」パートを登場させるという
本格的な「考えること」と「考えないこと」を合致させたゲームデザインであり、
難しくすると慢性的に発生した「面倒さ」を克服した正統進化だったと言えるだろう。
しかしその進化の反面、アドベンチャーゲームのライトゲーム化が進み、
その進化を活かした作品が少ないと言う事実は、少し寂しい。

現代のアドベンチャーゲームのスタンダードとも言える手法なのだが、
発展途上の手法なので、進化の方向性はまだまだハッキリしていない。
そのため、あまり解説すべき部分が見つけられないのが悩ましい。

New Waveの発生?


『スローンとマクヘールの謎の物語』

最新の傾向としては、「考える」部分を抜き取った作品が台頭しつつある。
最低限な状況だけを説明し、そこからその自体が発生した理由を推理するという
言うならばストーリークイズが今のトレンド、というわけだ。
この流れは、“演出”や“ストーリー”による楽しみという
コマンド選択型のアドベンチャーゲームの路線からは明らかに外れたもので、
コマンド入力式やゲームブックの様な純粋に頭を捻るアドベンチャーへの回帰とも言えるだろう。

この傾向がスタンダード化するかは定かではないが、
アドベンチャーと言うジャンルの定義は
まだまだ変容を続けているのは間違いないのではないだろうか。

【参考文献】

『ドラゴンクエストへの道』 出版社 エニックス
『弟切草 蘇生編 公式ガイドブック』 出版社 チュンソフト

【コメント】
今回はアドベンチャーゲームの歴史にするつもりで
ハードごとに解説する予定だったんだけども、収拾が付かなくなりそうになったので
「考えること」「考えないこと」を主軸にした「変容の歴史」に変更。
クリックアドベンチャーがないのは…忘れ(略)頭を捻る1本道の一つということで。

本当はハードによって特色が違うから、もっと細分化して紹介したかったんだけど…
そうなると幾つかの記事に別けないと成立しないボリュームになるので断念せざるを得なかった。
いずれかはやりたいんだけども、時間がかかるから毎日更新では難しい。時間をください。
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