采配のゆくえ | アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【紹介】

 2008年10月23日に発売となった、KOEIの逆転裁判っぽい印象を画面構成から感じさせる歴史AVG。天下分け目の合戦となった関が原の西軍を、石田光成となって采配を振るうというゲームとしては変り種なストーリー展開となっており、ゲーム内容自体は逆転裁判とは大きく異なっている。今となっては珍しい歴史AVGという題材なので、是非シリーズ化してもらいたいものだ。総プレイボリュームは10~11時間程度。




【システム】

 戦略パートと合戦パートを交互に行うことでゲームが進行する。戦略パートは、既存のAVGと殆ど同じで、特に前述した逆転裁判とそっくりなものの、逆転裁判の様な猥雑さは無くこちらは聞き込みを少し行えばすぐに次の展開に行ける。しかし、それによってボリュームは減少しているので、もうすこし足止め要素が必要だっただろう。


 売りとなる合戦パートは、「聞き込み」となる「報告」でまず聞くことが必須となり、「報告」で受けた状況を把握して、指示を出すこととなる。マップ上に布陣された状況を、将棋のように動かした先のことを考えるというゲームの方向性はSLGの様な印象となるが、ゲーム進行と同時に獲得するワードを投げかけて相手を説得する説得パートなどSLG的には終わらずキチンとAVG的に仕上げている。ついでに使用できるセーブは三つあり、バックログがみれない。


【ゲームテンポ】

 「合戦パート」はまず「報告」を受けることが前提となっているため、少しゲームテンポを落としている。とはいえ、殆ど足かせとなる部分が存在しないため中盤まではすこし退屈な印象を受ける。もっと粘りのある二転三転する展開を合戦パートに入れていれば、もっとゲームが楽しくなったと思われるだけに残念。テンションの高いアニメーションはゲームの邪魔にならない程度に入っており、ゲームテンポの妨げにならない程度の演出となっている。


【ストーリー】

 天下分け目の関が原の合戦を題材としているが、歴史的な知識が無くても解らないようなことはほとんど無く良心的なシナリオとなっている。とはいえ、中盤まではどうも説明臭く盛り上がりに欠けており、ゲーム的にも中盤までは殆ど初歩的な采配が多く、もっと難しい采配や急転直下な展開が欲しかった。


 特に説得パートは、どうも納得に至るまでが短くもっと二転三転させるべきではないだろうか。戦争という、命を賭けたやり取りだからこそ命令に聞かなかったり、徹底的に討論するような「粘り」が必要だったと思う。


【ここが○!】

・中盤以降の展開が面白い。

・アニメーション数が多い。

【ここが×…】

・難易度が低い。

・報告を全部受けないといけないのが面倒。


【総評】

 残念な箇所も多いが、買うべき部分も多い素材型のゲーム。ゲーム性としては元ネタの逆転裁判とは大きく異なっているので、逆転裁判的なものを求めると肩透かしを食らうのは必至なので注意。得点としては中盤までは5点で後半は7点、間を取って6点ということで。


 再放送的なレビューで申し訳ないが、正式なレビューの書き時と判断して今回執筆。ネタが無いからとか、新しく書き起こしたくないとかそういうのではない…と思います。


 


【得点】

6/10