今回の記事テーマは、
私が不案内の「仮面ライダー」なため、
【寄稿】でお世話になっている、
特殊美術工房BD7 SAITOU氏に原稿をチェックしていただき、
※つき赤字表示で反映させていますが、
膨大なチェック(=するどいツッコミとも言う)項目の全ては盛り込めず、
真のライダーマニアには、いささか食い足りない内容のままなので、
そこは大目に見て下さい。
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昔からフシギだったことに、
ようやく答が見つかったので、
忘れないうちに書いておく。
お題はまたしても「仮面ライダー」だが、
本ブログにはその項がないので、
関連事項とからめて、とりあえず、
「フィギュア・トイ」に分類しておく。
1970年代の子供は、
↓1966年以来の円谷「ウルトラ」派か、
↑1971年以来の、東映「仮面ライダー」派に別れたが、
律儀にウルトラ派を守り通した自分でも、
仮面ライダー派がうらやましいことがあった。
それは、先輩ライダーが新人ライダーの助っ人に再登場する際、
スタイルやイメージが損なわれなかったこと。
いや、厳密には完全再現とはいかずとも、
あくまでも新旧が並び立つバランスで、
絶妙にモデルチェンジしていくので、
ガッカリすることがない。
「仮面ライダー」から「ストロンガー」まで、
中断なく同じ製作体制が続いていたことも大きいだろうが、
かたや再登場のたびに原形をとどめず変わり果てていく、
いたましいライバルを見るにつけ、
「ライダー」への羨望と尊敬は増していった。
ヒーロー自体のスタイルだけでなく、
ライダーマシーン(バイク)のスタイルも維持し切ったのには、
しびれたね!
しかしそんな信頼と安心のブランド、
「仮面ライダー」にも、ガッカリする時が訪れた。
「ストロンガー」(1975・昭和50年4月5日〜12月27日)終了以来、
4年ぶりのシリーズ再開、
タイトルも原点回帰の
『仮面ライダー』(1979・昭和54年10月5日〜1980・昭和55年10月10日)
「新・仮面ライダー」「スカイライダー」と呼んで、元祖(1号・2号)と区別する。
通称スカイライダーにもお約束で、
4年ぶりに先輩ライダーが勢揃いしたのはいいのだが、
乗っているバイクをよくよく見れば、
かなり、
おかしなことになっている。
X(エックス)のクルーザーや、
ストロンガーのカブトローは、
水平パーツがダラ下がり気味の現役期(右)より、カッチリした作りで問題ないが、
それ以外は、どこか難あり。
一番ヘンなのは新サイクロンだが、
それは最後のお楽しみに。
手始めはライダーマンマシーン。
ベース車両はサイクロン号やハリケーン号(複数台あるうちの一部)の原型ともなったスズキ・ハスラーTS(250cc・4型)だが、他のライダーマシーンとは異なり無改造でベース車そのままが使われた。
↑オリジナルの燃タンは、ダークグリーン。
↓なぜか、赤くなりました。
私、バイクには、とんと疎(うと)いので、
新しい方の車種まではわかりません。
※同じ車種だとのことです。
次に顕著なのが、ジャングラー。
↓こちらは現役時代のオリジナル。
撮影用のベースマシンは明確になっておらず、『仮面ライダー画報』ではスズキのモトクロッサーTM250が有力としている。
↓やけに目が小さくなった。
「おわかりいただけただろうか」
バイク提供が、従来のスズキから他社に変更になったのかと勘ぐったが、
燃タン表示は全車種SUZUKI。
並べて見れば、違いが一目瞭然のハリケーンは、
さらっと流して、
次は改造サイクロン。
ライトとエンブレムの配置に難あり。
※エンブレムがプラ板(平板状)のため曲面になじまず、
妥協してこの位置に貼られたようです。
では、いよいよお待ちかね、
新サイクロン号です。
これのどこが、新サイクロンやねん!
↓初登場時の、ライトの窪(くぼ)みが白いバージョンを再現したつもりなのか?
↓ここは後に、ブルーに塗られるようになり(右)、
↓新2号も、えぐれた部分がブルーの新サイクロンに乗っていた。
※近年の撮影で、現役時の画像ではありません。
だが、窪みが白かった時点では、
新サイクロンは1台しかなく、
客演の新2号は、1号のお下がりの改造サイクロンでしのいでいた。
そもそも、新サイクロンが2台用意されたのは、
ショッカーライダーとのチェイスシーンがあったからで、
区別するために、ショッカーライダーが乗る方は黄色いストライプが配されていた。
※元来は後楽園ゆうえんちのライダーショー用だった2台目の新サイクロンを流用、
追加の黄色いラインはビニールテープだった。
↓V3がNG準備版の時点では、ストライプはそのままで、
1号も2号もグラブとブーツがシルバーという、
いかにも間に合わせで急ごしらえな状態。
↓さすがに劇中では、きちんと直った。
この画像では、1号と2号の仮面色が「ストロンガー」客演時と逆転しているが、
ので、
単なる撮影現場での、衣装の取り違えに過ぎないと思うが、
もしかしたら、
↓この時期を参考にした…のかも知れない。
考えすぎです。
はてさて、
新サイクロンの不細工さはどうしたことか。
世間では、このいびつな新サイクロンを、
ブサイクロンと呼んでいるそうな。
いったい何がどうなると、わざわざこんな、ヘンテコなカウルの形にできるのか?
一応、元ネタらしきものに、行き当たらなかったわけでもない。
カルビースナック仮面ライダー
(カルビーの仮面ライダースナック)
考えすぎです。
新サイクロンのデザインは、
平面イラストでは固まらなかったらしく、
「よくここから、
あんなカッコイイバイクに仕上げたな」と感心するが、
ブサイクロン号は、そんなこちらの敬意をぶちこわす暴挙と言える。
※この新サイクロンは、この時点で調達できる既製品のバイクの風防(透明な窓パーツ)の最大幅と形状に合わせてカウル部分を新造したので、オリジナルとはかけ離れざるを得なかった。
さてここ数日、
スカイライダー客演時の先輩ライダーのバイクはポピー製
というツイートを見かけ、
そこからたどって、
以下の記事にたどりついた。
(引用・適宜編集)
スカイライダーに1号と2号が登場したとき、バイクちょっと違いましたよね?
hontonokyuukyokutaiさん
2012/6/2621:21:27
スカイライダーに1号と2号が登場したとき、バイクちょっと違いましたよね?
1号は新サイクロンのはずなのに、改造サイクロンだったし(ただ、普通の改造サイクロンとも若干違った)、
2号は新サイクロンに似たバイクでしたがこれも若干デザインが違いました。
なぜでしょうか?
カテゴリマスター
tamamirkoさん
2012/6/2702:03:37
歴代ライダーのマシーンは、全て新調されています。
既に「仮面ライダーストロンガー」最終話の時点で、エンジンのかかりが悪くなっていたマシーンがあった程で、「スカイ」撮影時には、オリジナルマシーンは事実上使用不能でした。
同番組に使用されたマシーンは、
ポピー(親会社バンダイと合併し、現在ではボーイズトイ事業部)のセット売り玩具
「スーパーライダーセット」の
CM撮影用に新調されたもので、
※「ポピー製」と言っても、あくまでも出資が同社だっただけで、バイクの製造工程は通常の番組制作スタッフによる。
この映像は『8人ライダーVS銀河王』の予告フィルムにも転用されています。
玩具にはライダーマンマシーンは入っておらず、
そのため『8人ライダーVS銀河王』の予告フィルムにも、
ライダーマンマシーンは登場していません。
※ポピニカのテントロー+電波人間タックルの売れ行き不振から、ただの(非改造)人間ライダーマンの乗る、普通のバイクの商品価値はないと判断された。
↓本編には登場しています(左から2番目)。
題名が「8人ライダー」なんだから、当然だが。
1号を改造サイクロン搭乗にしたのは、
玩具のバラエティさを出すためと思われます。
製作費が逼迫(ひっぱく)している特撮番組では、CM用として制作したプロップや衣装を、逆に本編撮影に使用することは珍しくないそうです。
全マシーン共、改修でも流用でもなく、全て造り直しましたが、この当時は現在と異なり、あまり旧造型物に忠実に似せて新調するという意識は希薄で、ベースマシンも異なっているため、各部の形状が著しく異なっているのは、当時から指摘されていました。
それでも全マシーンがほぼ同条件で撮影されているので、
東映のデザイナーがやたらこのスチールを一時期多用していました。
(中略)
ちなみにこのセットは、翌年アマゾンとストロンガーを外して、スーパー1のブルーバージョン、Vジェットを加え、「スーパーマシーンセット」として発売されています。
というわけで、
テレビCMの予算で、スカイターボとライダーマンマシーン以外の
バイク6台をいっぺんに新調するなんて、
ずいぶんと羽振りの良い時代だったんですね。
なにしろ
「スーパーライダーセット」や「スーパーマシーンセット」自体は、
既製の廉価玩具シリーズから、
塩ビのライダーフィギュア(大=100円売りサイズ)を流用したので、
CM製作予算の方が、
玩具の製造コストをはるかに上回っていたのでは?
※チープトイの「ライダーセット」だけでなく、主力のポピニカの再販もあったため、ポピーは広告予算をふんだんにつぎこんだ。
ひるがえって現代。
メカコレクション 仮面ライダーシリーズ 新サイクロン号も、7月8日に発売されたので、
ブサイクロンに改造するのも、
正しい夏休みの過ごし方かもよ。
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