前回は、21世紀の内山版ウルトラマンの意義を問うたが、
その理由は、擬人化されていない仮面キャラにリセットされてしまっているから。
シリーズ当初の、『帰ってきたウルトラマン』では、
もちろん、擬人化されているのは口や
全身像だけだった。
(ここまでの3点は、全て1971年・画)
内山版マン2世の頭身が低く(約6頭身)、全身の筋肉描写が顕著だったのは、
正体が高校生のタイツ地コスチュームヒーロー、
(左・1970年/右・1971年)
池上遼一のスパイダーマンを参考にしていたため。
次に擬人化のもう一例の、「ウルトラマンがしゃべること」について見てみよう。
変身後のウルトラマンは、当初は技の名前を口にしていただけだったのが、
次第に自分の考えをつぶやくようになり、
(この2点は、どちらも1971年・画)
その後の後継ウルトラマンは、
エースも、
(1972年・画)
ゾフィーも
タロウも、
母も、
(ここまでの3点は、全て1973年・画)
レオもアストラも、
キングまでもが、
(ここまでの2点は、どちらも1974年・画)
どんどん饒舌になっていく。
もちろんこれは、内山まもるの専売特許ではなく、
番組本編で、
変身する人間との対話や、
2人以上のウルトラマンの会話が、
下敷きになってはいる。
そして75年から79年までの断続的な『ザ・ウルトラマン』連作で確立された、
「ウルトラマンが主役で、地球人は脇役」と言う図式のウルトラマン群像劇(※発案者は小学館の八巻孝夫氏)は、
テレビシリーズでは「ウルトラマンメビウス」、
映画では『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
に、最も色濃く反映されている。
とにかく内山まもるのウルトラマンは、個性や人格の読み取れる、読者が感情移入しやすいウルトラマンになったため、鋭角的な造形のFRP製のマスクに、ウェットスーツ素材のボディタイツの全身像に、グラブとブーツというスタイルから訣別し、
あたかも素顔と肉体をさらしているように描かれていた。
(「小三」掲載。1975・1978・1979年のいずれか・画)
ああ、それなのに、
それなのに。
(この2点は1978年・画)
ティガからは、それがすっかり忘れ去られ、
試行錯誤の末にたどりついた、セブン系の口がマスク造形に準じているのならともかく、
(1975年・画)
卵型の目をしたマン系の口まで、四角く描かれただけでなく、
全身像まで、ウェットスーツに独特の、
くびれやうねりっぽい質感で描写されてしまっている。
↑腰のあたりの、微妙なヨレ線は、なんのため?
(ここまでの3点は1997年・画)
「メビウス」以降の復活は推して知るべし。
「てれびくん」復活マンガの第1弾は、まだよかったが、
(上記2点は2007年・画)
次第に過去の自作のスタイルは忘れ去られ、
(2008年・画)
「これのどこが、〈内山まもるのウルトラマン〉やねん?」
(2010年・画)
に、変貌を遂げてしまった。
(2010年・画)
ご本人が2011年12月1日にご逝去なさって、
これ以上、新作が生み出されないこともあり、
未刊行、未復刻の内山ウルトラ漫画は公式にまとめられることだろうが、
2006年以降の作品に関しては、最盛期との連続性に欠けるため、
あえて本ブログでの題材にするまでもないように思われる。
というわけで、
さらば(内山まもるの)ウルトラマン!
オマケ
各人のウルトラサイン(前半はこちら/後半はこちら)の最新版、
ウルトラマンサーガ
のサインがこれだ!
もはやウルトラマンのブログ記事で、やりのこしたことは、ありません。