2012年３月10日。享年73歳。
メビウスはペンネーム。
本名のフルネームは、ジャン・アンリ・ガストン・ジロー。
映画には、
『エイリアン』（1979／初期コンセプトおよびノストロモ号の宇宙服デザイン）
『時の支配者』（1982／美術デザイン）
『トロン』（1982／舞台およびコスチュームデザイン）
『マスターズ/超空の覇者』 （1987／舞台およびキャラクターデザイン）
『ウィロー』（1988／クリーチャーデザインおよびストーリーボード）
『アビス』（1989）
『リトル・ニモ』（1989／脚本）
『フィフス・エレメント』（1997／デザイン）
非クレジットながら、
『ブレードランナー』（1982）にも参加している。
洋の東西を問わず、メビウスの影響を受けたアーティストは多い。
緻密な描き込みが通じる大友克洋や、
異世界構築の名手、宮崎駿も同様で、
宮崎とメビウスは仲が良かったそうだ。
ところで今回のテーマは、「映画」でも「アニメ」でもなく、
「スター・ウォーズ」
というわけで、ノンクレジットながら、ＳＷにはメビウスの影響が顕著。
↑（上）メビウスがデザインした『トロン』のソーラーセイル。
（下）ダグ・チャンがデザインした『クローンの攻撃』（2002）のソーラーセイラー（笑）。
こいつ（ダグ・チャン）の場合は、
常習犯だから
今さらだけど、
確信犯や、元ネタをかたわらに置いてではなく、
深層心理で、メビウス調をまねてる場合も多いと思われる。
↑『クローンの攻撃』（2002）のジオノーシスの敵アジト（右）は、別にパクッたわけではないだろうけど、メビウスの表紙絵（左）に印象が似ている。
実は旧三部作の時から、メビウスの影響は あちこちに見られた。
共通項でまとめると、
１．山高帽とダブダブ服の意匠
↑（右）１作目『スター・ウォーズ』のジャバの取り巻き、ボーロ（ボエロ？ Boelo）は、1997年の〈特別篇〉で、ようやく顔を見せた。
↑（左）いまだに名前がつけられていない、『ジェダイ』（1983）の皇帝の顧問／相談役／自称占い師（笑）。
↑（左）こちらは名前がある、『ジェダイ』の皇帝づきの神官、ジェイナス・グリジェイナス（Janus Greejatus）。
２．自然の地形と共存する都市と乗物
↑（下）『ジェダイ』のセイル・バージ（左）と、随行するスキッフ（右）。
↑（下）『ファントム・メナス』のポッドレースアリーナ。
↑（下）『ファントム・メナス』のポッドレースのコース。
（上）不採用に終わった、マクォーリーの『ジェダイ』用都市デザインの１点。
（中）メビウスのマンガのコマ。
（下）ジョンストンの『ジェダイ』用都市デザインの１点。
↓最終的には、『シスの復讐』のウータパウの縦穴断崖壁面都市に結実した。
３．有翼飛行獣
ラルフ・マクォーリーは、『帝国の逆襲』（1980）の頃から、
空飛ぶ乗用クジラのコンセプトをいくたびも提案したが、
これもメビウスが頻繁に描く、乗用大型鳥がイメージソースだろう。
乗用飛行獣のコンセプトは、
『ジェダイ』でも提案されながら、
↑（上）ニーロ・ロディス＝ハメロ（Nilo Rodis-Jamero）のアイディアを、マクォーリーが描き起こしたもの。
（下）ジョー・ジョンストンの画稿。
またしても不採用。
『ファントム・メナス』でも討ち死に。
ようやく『クローンの攻撃』のエイウァー（Aiwha）で実現した。
イマジネーションにあふれ、他人にパクられてもまるで頓着しない余裕しゃくしゃくのメビウスは、
盗作で訴えるどころか、ＳＷサイドの要請に応じて、イラストまで寄稿している。
↓トップス社の『ギャラクシー』シリーズや、
↓『エピソードⅠ』を題材とした、“STAR WARS VISION”もある。
実を言うと、プロボットの元ネタもメビウス。
ここにある、
↓このマンガが元ネタです。
えっ、わからない？
↓ここ（赤い四角枠内）ですよ。
おわかりだろうか？
ついで……ではありませんが、
山口美江さんも急逝されましたね。
気さくで全く飾らないお人柄でしただけに、残念です。