いきなり結論ですが、
アッガイの決定稿は、
何人かが「宿題」を言い当ててくだっさったとおり、
安彦良和の画ですね。
そう言い切る根拠は?
*見ればわかる。
直線の積み重ねでなく、全体にふっくらと丸みを帯びた曲面構成のプロポーション。
メカなのに「柔らかい」印象で、
角(かど)の曲面を示すギザ線(赤丸内)まで含め、
スラスラと早描きで迷いがなく、いさぎよい。
また、背面図がMSで初めて、
上から見下ろした俯瞰(ふかん)構図で描かれていることにも注目したい。
これまでの大河原氏バージョンの設定画はことごとく、ほぼ水平目線(若干のあおり構図)で背面を描いていた。
安彦氏はドムの背面の設定画はついぞ描かずじまいで、
次のゴッグ背面では、これまでの大河原スタイルを踏襲している。
↑ズゴック(右)は、再び大河原氏の画。
そのパターンで行けば、アッガイの背面だって、
↓こんな風に描いたってよさそうなのに、
そうなっていないのは、アッガイの大河原氏による背面画稿が存在せず、安彦氏が一から描き起こしたことを示唆しているのでは?
この仮説を裏付けるように、うんと後年の『ジ オリジン』用の大河原デザイン画では、
↑アッガイの背面は、見下ろし構図では描かれていない。
ついでにいえば、ペン(=製図用のロットリング)描きのためもあるとは思うが、線も思い切り死んで(=生気に欠けて)いる。
*大河原版アッガイの準備稿が公開されていない。
……よね? たしか。
※お金(報酬)は払えましぇん。
MSデザイン途中経過のラフが公表されていない場合、
*そもそも一発で決定稿に行き着いたため、公表しようにも準備稿自体が存在しない。
あるいは
*公表するのは都合が悪い。
のどちらかだろう。
すでにドムとゴッグという前科(笑)があったため、
安彦氏が決定稿を手がけた場合、途中過程の大河原ラフはあっても、おそらく闇に葬られることになる。
しつこいが、安彦氏は一からデザインすることはなく、(例外はガンキャノンと、ガンダムのフェイスガードだけ)元デザインは、いわゆる富野メモ、富野ラフと呼ばれる、富野喜幸(当時)監督の手によるもの。
アッガイ(MSM-04)の派生型、アッグガイ(MSM-04N)の方だったら、
大河原バージョンのラフ稿が公開されており、
↑ボディこそアッガイのトレスだが、それでもこうして並べてみると、安彦氏と大河原氏の、タッチや形状把握の違いがよくわかる。
後年にMSV(モビルスーツバリエーション)として決定稿が描かれた際は、
↑線の堅さと、ギザ線表現の違いにも注目。
背面はアッガイに倣い、見下ろし構図で描かれていた。
↓………
↑………
*劇中とのギャップがほとんどない。
今でこそグッズ花盛りで、
女性にも大人気のアッガイだけど、
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そもそもは第30話「小さな防衛線」ただ一度きりしか登場しないゲストメカだった。
弱いし……。
ただしこの回の作画監督は安彦良和。
それもあって、劇中のアッガイと、
設定画のアッガイには、
ほとんどイメージギャップがない。
アッガイは安彦氏のお気に入りで、
映画『哀・戦士』にもしっかり登場。
SWにおけるボバ・フェットのように、作品から一人歩きした人気を獲得していくのである。
おまけ
こんなに強いの、アッガイじゃないやい!
次回はゾック?