エースにまつわるエトセトラ | アディクトリポート

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唐突な話題ですが、音声ファイルがそろっている今のうちに。

「ウルトラマンA(エース)」の歌は、テレビオープニングと、公式盤レコードでは歌詞が一部異なります。
これがテレビサイズ。

「いざ行け いざ行け」が聴けるのは、テレビサイズだけです。
レコードでは、曲の構成が一部異なり、

「戦え 戦え」が、都合3回くり返されます。

ウルトラマンA ミュージックファイル
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※ブログで紹介した曲が、収録されていることを保証するものではありません。

前に中途半端に自分のブログでも触れましたが、「ウルトラマンA(エース)」は、本来「ウルトラA(エース)」の題名のはずが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-459
↑「小三」72年4月号。画はおそらく梶田達二。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-エース
↑72年4月号の「小二」での予告ページには、内山まもるの画で、かなり実物に近いエースが描かれている。
↓連載第1話では改題が間に合わず、「ウルトラA」だった。

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-e-su
ソフビ怪獣メーカーのマルサン(ソフビ怪獣の隆盛についてはこちらで)が、既存のウルトラ「Q」をのぞく、ウルトラ「A」~ウルトラ「Z」を先に商標登録していた(※先に商品化されていたわけではない点に注意)ため、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-467
ウルトラエースで、主題歌だって完成していたのに、

「いざ行け いざ行け 戦え 戦え」は、テレビ版「ウルトラマンエース」の曲構成と同じ。
急遽タイトルを「ウルトラマンA」に変更。

結局マルサンの「怪傑透明ウルトラA(エース)」というソフビ商品は、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-だつりょく
脱力ユルユル造形の「怪傑透明ウルトラエース」(左・初版、マント欠け/右・再版成形色替え)
↓横顔にはどことなく共通性がある。

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-hikki
単に商標登録しただけではないという言い訳のためか、「ウルトラマンA」放送後に、後追いするように、一部の造形を意図的に似せて商品化された。


さて、円谷はともかくマルサンは、ウルトラ「A」だったら別に「エース」でなくたって、ウルトラ「アップル」でもウルトラ「アバター」でもいいはずなのに、なんで「A」といえば「エース」とバッティングしたのか?

今回、画像検索ついでに、この証言に行き当たる

――マルサンさんが『怪傑透明ウルトラエース』の商標を守るために、円谷プロに『ウルトラエース』という番組タイトルを使わせないようにした、というわけではないんですね。

「円谷さんとしては、安全策をとられたのでしょう。むろん、もめたということではありません。実際、昭和47年には弊社で『ウルトラマンA(エース)』のミニソフビやミニプラモを発売させていただいたりもしていますし」

――それにしても、「ウルトラエース」というフレーズを当時のマルサンさんの方は、どこから思いつかれたんでしょう?

「『ウルトラQ』放映時に発売されたレコードの収録曲『ウルトラマーチ』の中に出てくるフレーズからヒントを得て、思いついたんじゃないかと思いますね」

――「ウルトラマーチ」というと、作詞は、東京一こと円谷一さんですよね。

「そうです。その曲です」



「ウルトラQ」の劇中では一度も流れず、当時のレコードだけで聴くことができた、「ウルトラマーチ」。

↓真ん中のセリフが入る前のバージョン。


↓1:40からの、万城目と由利子のセリフが入るレコードバージョン。


「ウルトラQ」ミュージックファイル~円谷プロBGMコレクション/宮内国郎
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※ブログで紹介した曲が、収録されていることを保証するものではありません。

この曲、セリフの前後で歌詞が分断されていて、
前半は怪獣賛歌「火を吐き壊し、ぶっ飛ばせ」なのに、
後半は怪獣と戦う側の、「大地を蹴って、今日も行く、我らがウルトラエース」賛歌となっている。
この時点でのウルトラエースは、万城目、一平、由利子のトリオのつもりだったのか?
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ふぃるむ
しかし3人が「大地を蹴って、今日も行く」姿は思い浮かばず、明らかにウルトラマン的なヒーローの存在を暗示しているのが、かなり謎。

思えば円谷一の頭の中には、怪獣と対決するヒーロー構想は、この歌を作詞した時点で、すでにできあがっていたのでは?

「エース」をヒーローの名として掲げるのは、

『宇宙エース』(初放映は1965年5月8日~1966年4月28日)の影響か?

歌詞の分断に話を戻すと、有名な「ウルトラマンの歌」(作詞はまたしても東京一=円谷一)だって、


ウルトラマンミュージックファイル
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※ブログで紹介した曲が、収録されていることを保証するものではありません。

前半の「自慢のジェットで敵を討つ(撃つ?)」までは、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-びーとる
科学特捜隊賛歌なのに、
「光の国から」以降、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-mannmann
いきなりウルトラマン賛歌に切り替わるという、かなり分裂症気味な内容ですね。
2番は完全にウルトラマン(と、その変身前のハヤタ)賛歌ですが、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-べーた
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-へんしん
3番で再び、前半が科特隊についてで、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-あきこ
後半がウルトラマンについてという、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-おいおいう
分断状況に戻ってしまいます。

まさに、
ぼくは、きのう、おかあさんといっしょに、おかいものにいきました。
ポチは、あげたごはんを、ぜんぶたべました。

という、子供の作文レベル!

しかし当時は、頭に次から次へと浮かぶ発想を、ランダムに並び立てる自由闊達さが、さらなる自由なぶっ飛び発想に結びついて行ったわけで、このやり方で正解だったんだろう。

初代ウルトラマンは「ウルトラエース」という名前になりかねなかったわけで、もしそうなっていて「ウルトラセブン」が後に続けば、「ウルトラマン」という名のヒーローは、世に出ることはなかっただろう。

意図しようがしまいが、物事は落ち着くべきところに、自ずと落ち着くものなんですね。