世間と小学館の圧倒的な支持とは裏腹に、内山まもる本人は、真剣に脱ウルトラマンを模索しており、一つの解答が、「リトル巨人くん」だった。
1976年に連載開始された「リトル巨人くん」に加え、79年からは「少年サンデー」で「番外甲子園」（原作・やまさき十三）も描き始めている。
なので内山は、1979年のアニメ「ザ☆ウルトラマン」の
コミカライズはもちろん、
1980年の「ウルトラマン80」もノータッチ。
そしたらテレビ第３ウルトラシリーズは、たった２年間で終わってしまった。
テレビは高くつく新作をつくらなくても、旧作の再放送でしのげても、
常にウルトラマンの記事が載っていて当たり前の、小学館の児童誌の方は、そうはいかない。
ただし1980年までには、学年誌同士がいがみあう図式は後退し、キャラクターものの漫画は「コロコロ」、グラフィックは「てれびくん」に主力が移行する。
で、「てれびくん」は雑誌展開のための新しいウルトラキャラが必要になって、マンガ家の居村眞二の原案、円谷プロの山口修がデザインで、アンドロメロスが誕生する。
さて、このアンメロ、起源が円谷プロではなく、
↑このマークは最近で、当時じゃないですけど。
小学館にある意味では、
↑通学路の道路標識みたいに古くさい絵柄。
「ザ・ウルトラマン」と似たようなもので、
ライバルの講談社に
↑講談社って、ロゴマークがないんですね。
掲載権はありえない。（一定期間をおいて解除される）
「ザ☆」の時は、円谷プロにごまかされてしまったが（逆に言うと、講談社の掲載権が復活したので、小学館が起源の内山「ザ・」そのままをテレビ番組化なんか、円谷プロとしては、できるわけがなかった）今回はそうならないように気をつけないと！
そう小学館は考えた。
そこで思い出したのが、
アンドロメロスの「メロス」という名前と、鎧兜に身をまとったウルトラマン、さらには人間が登場せず、ウルトラマンのみの集団劇や群像劇という方向性は、もともとは内山まもるの「ザ・ウルトラマン」こそがルーツだったこと。
ならばそれを示す意味でも、元祖の「小三」で、内山メロスで漫画を復活させないと！
でないと、また「ザ・」と「ザ☆」の二の舞になりかねない。
と小学館は考えたが、内山まもるは、もうウルトラマンに興味がないから、全く乗ってこない。
そこで、「小三」で「ウルトラマン80」を手がけた制野秀一に、
2005年に物故された制野氏の、近年流出した「80」生原稿。
続投させようかという話になる。
あるいは、内山センセイが首を縦に振るまで、制野センセイに代理をつとめてもらおうか、とか。
その証拠？がこれ。
「小三」81年４月号に掲載された次号予告は、どちらも制野秀一氏が描きながら、右側は明らかに内山氏の絵柄をまね、しかも画面中央のメロスはアンメロではなく、内山メロス。
題名も未確定で、本チャンの
「ウルトラ戦士 銀河大戦争」ではなく、
「ウルトラ戦士 銀河大決戦」
これは
＊アンメロのデザインが間に合わなかった
＊「制野センセイ、予告だけですんで、内山センセイのタッチでお願いします」と「小三」から依頼されて、「メロスってこれでしょ」と勘違いした
----のどちらかと推測される。
そして予告された当月の翌５月号には、内山まんがは間に合わず（……）、
かわりに、またしても制野秀一の予告漫画が、たっぷり16ページも収録され、
右肩に「しょうげきの予告へん」とあるが、本当に「衝撃」なのは、内山センセイを５月号でも起用できなかった、「小三」編集部だったのでは？
メロスはアンメロになったが、敵はジャッカルで、まだ「ザ・ウルトラマン」を引きずっている。
次号に、かろうじてつないだ。
ああ、ようやく次回は、「ウルトラ戦士 銀河大戦争」本編について。
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