前回から、だいぶ間が開いてしまいました。
とにかく今回は、立体での主砲の形について。
なにしろ決定稿が単純な形状だったので、
↑前回、掲載し忘れた上面図。
肩の斜めの裁ち落としの線はない。
模型も玩具ものきなみそれに揃えていて、肩を斜めに面取りした例というのは、(ゲーム版ではなくアニメ版だと)DVD付属の新1/700だけではないのか。
↑電撃ホビーマガジンの桜井信之の作例。
砲身の根本は改造ずみだが、主砲の形状はキットのまま。
斜めの裁ち落としがシャープに美しく造形されている。
しかし、この2冊のバンダイプラモカタログに、
↑1/350発売に併せた、電撃ホビーマガジン再編版「宇宙戦艦ヤマト モデリングガイド」(左・メディアワークス)と、
「復活篇」公開に合わせて、劇場で販売された「ヤマト メカニック・メモリアル」(右・東宝)
気になる記述が!
ええっ、そうだったの?
単なる箱替え再販だとばっかり思ってた。
設定では「永遠に」(モデル2202)で、モデル2199の準備稿にデザインが戻り、肩が斜めに裁ち落とされたわけだが、
↑上から2199決定稿。
真ん中が2199準備稿で、肩が斜めに裁ち落とされている。
下が2202で、準備稿の裁ち落としが復活している。
ではバンダイの改修とは、具体的にはどの部分だったのか。
今回の記事の主眼としては、肩は斜めに裁ち落とされているのか。
もちろん、改修後の現物には事欠かない。
1/700なら、つい半年前にも、「復活篇」公開にあわせて、箱替え再版されたばかりだし。
↑開田裕治によるリニューアルパッケージ。
発売たちまち大人気で、市場からあっという間に姿を消した。
↑ランナー状態のキット。
斜めのカットは確認できない。
↑HJ誌の、2009年の高橋清二の作例。
(つまり使用キットはパッケージ「復活篇」リニューアル前)
キットのままのパーツは、左のような形。
しかし改修前の絶版モデルは、写真でも主砲形状が判別しにくい位置にあり、今では入手不可能。
そこで、1979年に発売されてから、小スケールということもあって一度も金型が改修されていない、メカコレクションで調べてみた。
とはいえ、今手元に現物がない。
そこであちこちから画像を探す。
↓おおっ、これこれ!
↓……しかし砲身で隠れて、上面がよく見えず。
↓後部俯瞰でようやくわかる。
どうやら上面中央に、大きな半球突起が一つだけあるらしい。
で、この真ん中に1個だけある丸いでっぱりは、おそらくゼンマイヤマトからの伝統らしい。
↓ご覧のように。(赤丸内)
この造形はけっこう影響力があって、(ゼンマイヤマトには存在しない)副砲脇のつまみと共に、「永遠に」以前のバンダイの歴代ヤマトプラモに踏襲されたのはもちろんのこと、
↑1/700の最初のキットは、ご覧のメカニックモデル。
たしかに突起の形も位置も、「永遠に」以降の改修モデルとは異なっている。
1/500のコズミックモデルもほぼ同様なので画像は省略。
同社のヤマト玩具や、他社の模型・玩具のヤマト造形にまで影響を与えている。
中でも一番の大物が、このブログでもしつこいぐらいに取り上げた、
イマイの木製模型1/350のプロトタイプ
↑この2枚のカラー画像は、「永遠に」ロマンアルバムに掲載されてると思ったら、実物を入手したら、ありませんでした。
ティム・エルドレッドに確認したら、これは独立したチラシだったとのこと。
たぶん模型店向けの販促チラシだったんでしょうね。
一応、「永遠に」バージョンとして製品化されたため、参戦章やイカリマークがついてはいるが、あくまでも造形は、本来のヤマトの姿をつきつめたもの。
だから、「永遠に」で唐突に登場した、肩の斜め裁ち落としなど全く再現する気配がない一方で、
なぜかアニメ設定にはどこにも描かれていない、上面中央の円形は、バンダイプラモ同様にしっかり造形されている。
主砲については、もう一つ書くことがあるが、それについては後編で。
そのため今回を、便宜的に「中編」ということに。
「蒼きヤマトへの憧憬」は、書くのにけっこう時間がかかるため、連日掲載とはいきませんが、長い目で見守ってくださいね。
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