司令塔(後編)/蒼きヤマトへの憧憬〈10〉 | アディクトリポート

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第10回は前回の準備稿(初期設定)に続き、司令塔の
〈決定稿・劇中登場版〉
について。

水平翼
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-yamato11
↑きちんと本編でも前縁の刻み目が描かれてます。
以上。
……と思ったが、ああ、書くことがありましたね。
それはDVDキットについている、下側に折れ角がついた翼(スタビライザー)
のことです。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-209
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-123
「お手上げポーズ」みたいでカッコ悪いこれ(通常の水平型と差し替え式)は、なんでわざわざついてるのか?

これは、複雑な形状のヤマトを描き慣れていない松本零士やアニメ作画スタッフが、時折ヘンな形や角度に描いてしまったものを、そのままパーツ化したもの。

とはいえ、アニメ本編では、こういう不格好なヤマトは、あまり見かけた記憶がない。
かろうじて、↓石黒昇が描いた設定資料ぐらい。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-193
↑第26話よりデスラー艦と衝突の図。
艦全体のプロポーションはいいんだけどねえ。


しかし松本センセイのマンガの方なら、「お手上げヤマト」はたくさん出てくる。
↓こんなのや、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-242
↓あんなのや、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-356
↑しかしここまで来ると、もはや安定翼だけの問題ではない感じ。
反射衛星砲の威力をテストするための、ニセモノだったから?

はたまた、こんなのや、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-311
↑くしくもこれも、デスラー艦衝突場面ですね。
とにかく今なら「オレの方がまともに描けるぜ!」って人が多いんじゃ……
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-279
↑下の画像は、「お手上げ」で検索して、勝手にパクリました。
ついでに「お手上げ」じゃないけど、
↓こんなヤマトまで!
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-213
……パチモン?


$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kubi
↑結局、こういう形に落ち着きました。
↓松本零士のマンガの首の部分。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kubibi
↓加藤直之のイラストでは、相当に彫りが深い。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kubi

第二艦橋
松本零士が描いた↓この大司令塔の設定画に、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-164
着彩したセル画は、赤線から下が加筆なためにいいかげんだが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-180
↓どちらも第二艦橋の肩に、方形の凹みがある。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-187
↑バッタアンテナは、ほぼ直線状。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-279
↑加藤直之の決定版イラストには、肩の凹みが見あたらない。
バッタアンテナには反り角がついている。

ここはプレステ用ヤマトと、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-かんきょう
↑ゲーム版設定をもとにした大貫健一のマンガ。
方形モールドだけだが、設定では円形のモールドが加わる。

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-299
それを元にしたバンダイ1/350プラモ↓には、円形のモールドがあるのだが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-233
ことアニメ設定的には、これは間違いと言うことになる。

なぜなら第一艦橋の丸窓は、内部の丸窓と直結しているのに対し、
第二艦橋には両肩のあたりに、外部に通じる丸い窓が見あたらないからだ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-496
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-483
↑前方
↓後方
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-483

で、前回も、第二艦橋の正面顔のところ(上辺の方が幅広で、下辺の方が狭い)で少しかすったが、加藤直之はいいとして、宮武一貫が、「ヤマトを知っていたら(=自分でデザインしたのなら)、絶対やらないはずのこと」を、けっこうしょっちゅうやらかすのはなぜか?

それはつまり、こと1作目のテレビシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」(1974)に関しては、加藤直之がヤマトのデザイナーであり、宮武は補佐にすぎなかったからである。

これが「さらば」(1978)になると、加藤直之は画家として歩み始めて不参加となり、宮武のみが松本零士と二人三脚で、アンドロメダに代表される地球防衛軍の戦艦群とか、白色彗星帝国のメカをデザインするようになる。

PS用にデザインリニューアルとなっても、1998~2000年あたりになると、それを手がけられるのは、宮武一貫しかいなくなってしまった。
もちろん、権利関係のゴタゴタで、「オリジナルのヤマトとは意図的に変えざるをえない」こともあったわけだが、「こんなの、ヤマトじゃねえよ」の頻発には、こういう事情もあったわけ。


第二艦橋に話を戻すと、角の中腹にある、半球状のカバーがつかないむき出しの機銃の形は、明確なものが設定では見あたらず、一番はっきり描かれたのは、「アニメージュ」創刊号の表紙に、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-276
田中愛望が描いたヤマトだと思われる。
↓周囲の文字を取り去って、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-しゅうい
↓機銃周辺だけ見てみると(小さくてすみません)
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きじゅう
なかなか説得力ある機銃の形がおがめる。
それにしても、なぜここだけ?

バッタアンテナは、設定でも描き込まれていたりいなかったりだったので、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-160
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-250
本編になると、出番は数えるほどで、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-115
↑LPジャケットのヤマト。
艦体色は本編とは異なり、この絵がそのまま劇中に出てきたわけではなく、あくまで代表ビジュアル。

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-246
「さらば」↓以降は、完全に姿を消してしまう。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-nasi
↑アンテナも、さらば!

さて、第二艦橋正面の、逆台形+カーブを描く微妙な顔は、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1227
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きじゅう
設定早々、放棄されたはずだったのに、山ほどたまった設定画の中から、原画マンがきちっと拾って、劇中に反映させたものもある。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-135
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-258
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-176
↑半球ドーム型の艦長室、第一艦橋の4つ窓、下にすぼまる第二艦橋正面形(赤線で表示)、さらにはパルスレーザー底辺の斜め線(黄線で表示)まで、加藤直之の初期設定を忠実に拾った原画。
で、このすぐれた作画は誰かというと、泉口薫なのだと教えてもらった。
それを知ってから調べてみると、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-238
ええええええええっ、それはスゴイ!

↑34秒からの10秒間。


↑7秒からの11秒間。

さて、時は過ぎ、2008年2月22日。
DVD付属ヤマトは、公式ヤマト立体商品で史上初めて、この下すぼまりの第二艦橋正面フェイスを、きちんと再現する快挙を成し遂げた!
↓以下はT1(製品直前のテストショット)だが、この部分は製品でも同じ。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-28
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-25
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-24
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-23
ここに気がついて、立体で再現する人がいるなんて……。

司令塔背面
前回、初期設定の司令塔背面を復元した、ひおあきらの件にふれたが、そこでは劇中版との違いがよくわからなかった人のために。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-こうほう

司令塔側面
前回紹介した、パルスレーザー下の斜め線(黄色で表示のC部分)、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-180
その立体化に果敢に挑戦した製品は、私の知る限り、2つだけ。

一つは三枝徹が原型担当の、リバティプラネット(閉店)の1メートルヤマト(絶版)。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-111
↓側面図の斜め線の①と②に目をつけて、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-106
菱形状の土手を設けていた。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-かくど
↑パルスレーザーが一つ土台から外れてますけど、無視してください。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-かくど
この立体表現は、後にも先にもこの一品だけ。

もう一例は、またしてものDVDヤマト。
ただし斜め線の下に、土台がある。(黄線で表示
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-22
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-20
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-16
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-29
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-28

土台をつけなきゃよかったのに、おしい……って気もしますが、これはゆえなきことでもなさそうです。

というのも、設定側面図↓には記されてませんが、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-164

内部図解↓には、この土台が書き記されているからです。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-184

世の中には、研究熱心な方々がいらっしゃいますね。

というわけで、今回はいかがでしたか?

また次回をおたのしみに~!

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