艦長室/蒼きヤマトへの憧憬〈7〉 | アディクトリポート

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宇宙戦艦ヤマトの細部デザインを調べていくと、原典を手がけた松本零士はともかく、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-tugi
そのデザインを引き継いで清書したスタジオぬえ(の加藤直之と宮武一貫)は、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kore
各部が分離して個別に飛行(航行)できるように設計していたような気がする。
(根拠はありません。私の勝手な憶測です)
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zumenn

それもあって、今回から宇宙戦艦ヤマトを、部分ごとに見ていきたい。
というわけで、最初は一番てっぺんにある艦長室と、その下のレーダーから。

この部分は有名なアニメ設定と、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-332
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kannchou2
↑有名な俯瞰設定には、艦長室の正面下に「顎のくびれ」がない。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-328
↑松本零士のマンガの1コマ。艦長室を横から捉えた貴重な画。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-156
↑後方あおり。レーダーは小ぶり。
最近はアルカディア号(デザインは同じ宮武一貫)なみに大型化したビジュアルが多くて不満。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-とぶ
↑正面あおり。顎のくびれがある。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-あおり
↑斜め下からのあおり画。左がアニメ設定で原図は松本零士。
右がひおあきらの自作コミック用代表図案。
やはり顎のくびれがある。


その前の初期版(つまり蒼きヤマト)の2パターンに大別される。

初期版の艦長室は、図面どおりのカプセルドーム状のもの。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-yokoyoko
↑おなじみ側面図(左)と、同じ図面の内部構造版(右)。
↓構造図の後半の縞(?=段状モールド)は、
バンダイのゼンマイヤマト↓にモールドで再現されていた。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-simasima
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ioio
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-do-mu2
↑正面図(上)と後面図(下)。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uedayo
↑上面図。
片面のみの大判図面(「さらば~」精密図解集)を全面図に修正。
中央フィンは当初より描かれておらず。
あくまでもドーム形状の参考に。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-housha
↑こちらがアニメ資料原図。後方に放射状のフィン表現が確認できる。


この図面に即した立体図は、以下のように。

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-だいひょう
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-fyture
↑宮武一貫作画の、代表パース図のアップ。

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ぅかい
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-かとう
↑加藤直之の内部図解のアップ。

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sennsinn2
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zukaiappu
↑その着彩版のアップ。

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-あかあお
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-156
↑あまり見かけない、もう一つの内部図解のアップ。
横長のレーダーが方形でなく、根本が長く、外側が短い台形。
(直上でもその傾向はかすかに確認できるが、こちらの方がより顕著)

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-fakuto
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-かんちゅしつ
↑そして今年2010年に、「宇宙戦艦ヤマト オフィシャル・ファクトファイル」創刊号に載ったカラーイラストは、この当時のイラストの雰囲気の再現だと思われます。

というわけで、ドーム状の艦長室は、一部を流用したパイロットフィルムからの流れもあり、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ぜんかお
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-あっぷ
↑パイロットフィルムのヤマトのこの角度の設定がないため、
↓急遽、原画マンがこの図を作成、艦長室は完全に半球ドーム状。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hukann
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-193
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-yamato
↓パイロットフィルムの艦長室は半球ドーム状、
レーダーはスリット状で背景が透けて見える。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-254

けっこう本編にも顔を出していた。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きういうyt
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-iyuy
↑オープニングで、艦長室から次第に全景へとカメラが後退していく伝説のショットでも、艦長室にピラー(支柱窓枠)がなく、初期設定風。

松本零士のマンガでも、ドーム状の艦長室が描かれていた。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-303
スリット状のレーダーなんぞ、頻繁でごくごく当たり前。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-raeiu

さて、前から見たドーム型艦長室の絵柄はけっこう見かけるが、後ろ姿はあまりみかけない。

これは司令塔の背部設定↓がしっかりできあがってから、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-usirei
ヤマトの「背中」を描く機会が増えた↓からと言うこと以外にも、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-569

きちんとした後部設定がずっと描かれなかったから、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ramann
↑加藤直之による準備稿。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-336
↑構想設定の決定稿でも、ラフな部分、未確定な部分、厳密でない部分が散見される。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-299
↑それでもこの後方図を、追加設定にも使いまわすしかなかった。

……ではないかと推察される。

だいたい、初期設定のドーム状に描かれていたところで、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-oioiuyut
アップにならないから、わからない。
↑パイロット版↓
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-307

松本零士のマンガでも、艦長室後方のアップはほとんどない。
↓後方姿勢制御ロケット用設定画を流用した、第1作のヤマト最終カット。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-545
↓1ページ全面を使った後方から、艦長室のアップ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-184
↑全編を通じて唯一、設定後方図に忠実に艦長室後部とレーダー基部が描かれていて、つまりは設定図面があてにならないことが、はからずも示されている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-usiro
↑1作目の松本版から、代表的な艦長室後方の姿。他の登場箇所も大同小異。


それでもしつこく、初期設定の艦長室後方を探していくと、ひおあきらのマンガ版に行き当たる。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-90
↑今回使用したのはこれ。
昨年末もコンビニコミックになったので、ひお版ヤマトの入手は比較的ラクチン!

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hatutoujou
↑見込んだとおり、初登場カットからなかなか頼もしい!
以下は、その抜粋。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-373
ほぼ登場順。
最初から形状が決まっていたわけではなく、次第に自分流のスタイルが確立されたことが読み取れる。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-びが
↓方形のはずのレーダーに角度がつき、フィンだった所はスリット(ダクト?)にと、次第に艦長室のキャラが変わっていく。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-373
↓最後の右下すみが、この方向から描かれた最終コマ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-すみすみ

というわけで、今回の書き始めに言及した、各部が分離して飛んでいきそうなヤマトの艦長室っぽい形は、ひおあきら版では完成していたわけである。

まあ、乗組員をさしおいて、自分が真っ先に脱出するのは、艦長じゃないけどね~。

さて、初期設定型の艦長室での商品化というと、上に挙げたバンダイのゼンマイヤマトくらいのもんだと思われがちだが、ニュアンスということだと、イマイの木製1/350もそうだった。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-mokusei
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-143
1980年発売。当時価格28000円。

この木製ヤマト、木のパーツはほとんど積み木細工レベルなのに、末端部品は金属製で、そこそこ(かなり)精密という、非常にアンバランスなキットで、満足に完成させた人に行き当たったことがない。

とにかくこの木製ヤマトの艦長室の金属パーツが、きちんとした成型品なんだけど、形がヘンチクリン!
画像はこちらよりお借りしました。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-78
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uuu
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uuu3

決定稿の形ではなく、かといって初期設定の流線形ドーム型とも、またちょいと違う。

で、これは何かと言えば、西崎Pが船舶設計会社(籾山船舶模型製作所)に、ヤマトが現代に実在すれば、という前提で設計させた図面(森 恒英/モリ アート デザイン)が元になっている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-201
1980年と言えば、すでにヤマトの模型はバンダイのプラモデル、という定評があったから、イマイから木製で発売となれば、バンダイ版と形を変える必要が生じ、急遽この図面が貸し出されたのだろう。

その証拠が、これ。
艦長室図面
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-483
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-948
木製ヤマトの艦長室の金属製部品と、形がそっくり!

測距塔図面
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$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-555
決定稿では直線構成で味気ない測距塔が、特に上から見たときに、けっこう味のある複雑な形になっているのがわかる。
この船舶模型会社の図面で、褒められるのは、ここぐらい。

司令塔側面
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司令塔上面
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-じょうえmん

これらの図面は、「宇宙戦艦ヤマト大事典」(ラポートデラックス)巻末に転載されていた。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-135

とまあ、こんな調子で、たかだか艦長室とその下の測距塔(レーダー支柱)だけで、えらく手間と時間を食ったんで、次(たぶん第一艦橋)がいつになるかはわかりません。

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