LFL訴訟の行方(2)ギャラクティカ〈中編〉 | アディクトリポート

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さてさて、では正式に契約が交わされ、権利的にはとりたてて問題がなかったはずの『ギャラクティカ』が、なんで後になって盗作騒ぎになったのか。

それは、こんな事件があったため。
再びエドランドのコメント。

「ギャラクティカの製作中に、ユニバーサルの社員がILMに入ってきては、特製の光学(オプティカル)機器の写真を撮りまくり、装置の図面をコピーしまくっていた。
 全てSWのために開発したもので、たまたま特許を取るヒマがなかっただけで、かんたんに流出を許していいはずなんかなかったが、文句を言おうにも相手は一応クライアントだし、肝心のギャラクティカの撮影で手一杯だから、何も言えなかった。
 そしたらすぐ後になって、ユニバーサルはハートランドに自前の特撮工房を設立して、ILMの技術をまるまるいただいて、シリーズ後半の特撮をこなしたんだ。ハートランドには一度だけ行く機会があったけど、そこは完全にILMのクローン施設で、何から何までそっくり同じだった」

というわけで、これを知ったルーカスは、ILMをギャラクティカの特撮から撤退させ、ユニバーサルを訴えることにした。
だけど天下のルーカスフィルムが、うかつに施設をスパイされて、まんまとテクノロジーをパクられたのを公表すれば、「何やってるんですか、まったく」と笑いものは必至。
そこで、デザイン盗作という、なんとか裁判で勝てそうな件で訴えたわけ。

だけど前述通り、デザイナーが同じなら、デザインが似てるのも当たり前。
それにジョンストンはともかく、マクォーリーは自分のヴィジョンを映画各作に順繰りに割り当てていくタイプだし、加えて「ギャラクティカ」では、監督やプロデューサーからは何の具体的な指示もなく、したがってSWでやったこと、やり残したことをくり返すしかなかった。

結局「ギャラクティカ」はわき道の支流、「SWシリーズ」こそ本流に軌道修正されたこともあり、サイロン兵やエイリアン、ロボットはだから、『帝国の逆襲』にそのままデザインが引き継がれている。

↓〈左写真〉SW1作目準備中の造形師リズ・ムーアの工房には、できの悪いストームトルーパーの頭部案(右)もあり、この基本構造が別キャラのデザインに踏襲されていく/〈中写真〉「ギャラクティカ」のサイロン兵の頭部案/〈右写真〉ボバ・フェットの頭部デザイン案の一つ
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ヘルメット変遷

↓「ギャラクティカ」用のロボット案2つは、統合されて『帝国の逆襲』のバウンティ・ハンター、4-LOM(フォーロム)に受け継がれる。

オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-バウンティ

その他、マクォーリーが「ギャラクティカ」用に描いた設定イラストには、後年にそのエッセンスをSW用に復活させたものが多い。

↓街の情景の1枚(左)は、首都惑星コルサントのプラザ(右)に。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-都市景観

↓地下都市の1枚(上)は、ベイダーとルークが皇帝に謁見する道中の情景(下)に。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-地下都市

↓ピラミッドのある都市情景の線画(左)は、『ジェダイ』の準備イラストの首都惑星コルサントの情景(右)に。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ピラ

↓やはり都市情景の線画(左)は、90年代に描き下ろしたオルデラーンの都市最上層部の情景(右)に。

オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-オルデラニア

とにかく、ルーカスフィルムは、ユニバーサル社および「ギャラクティカ」でのデザイン盗用を証明できず、訴訟には負けてしまったが、このドサクサをすり抜けたものがある。

で、次回はその話。

お楽しみに~。