人力飛行機世界記録 今度は日大が挑戦 | ogattiのフライトログ

人力飛行機世界記録 今度は日大が挑戦

突然のニュースが入ってきました。

日大理工学部航空宇宙学科が明日4日(8日までが予備日)、人力飛行機における直線飛行距離の世界記録更新に向けたトライを行うようです!

私が運営していますコチラのページには速報形式でニュースなどがまとめられているので合わせてご覧ください(このブログでは速報を行っておりません)

人力飛行で世界記録挑む 日大の研究室 (産経新聞)
日大の人力飛行機が世界最長飛行記録挑戦 (日刊スポーツ)
人力飛行で世界記録に挑戦 日大の研究室 (日本経済新聞)

日大理工航空研究会のブログ(9月24日のエントリー)

使用する機体は「Möwe(メーヴェ)2006」。主翼スパン33mの大型機のようです。

日大理工といえば、先週オンエアされた「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2010」において航空研究会現役チームとOBチームがそれぞれタイムトライアル部門とディスタンス部門に出場し、優秀な成績を収めましたが、今回はサークルというよりも純粋に研究室の卒業研究としての挑戦のようです。


マサチューセッツ工科大(MIT)が1988年にエーゲ海で樹立した人力飛行機の世界記録(直線距離115.11km)は未だ破られておらず、まさに「驚異的な記録」と言えます。

▼その際の動画



日大は以前よりこの記録を虎視眈々と狙っており、2005年には駿河湾で49.17kmの日本記録更新を達成しています。

▼その際の動画



それからは安定した気象条件を求めて、記録挑戦のフィールドを太平洋側の駿河湾から日本海側の富山湾に移して2008年と2009年にトライする計画があったようですが、2008年は試験飛行中に機体が破損したために断念、2009年はパイロットの負傷により翌年へ持ち越しとなっていました。

(当時のニュース・ブログ)
2008年
理工安部研究室 今秋、富山でフライト 前人未到の120キロを目指す (nu press)
理工 理工人力飛行機の記録挑戦延期 (nu press)

2009年
理工 人力飛行世界記録に挑戦 (nu press)
記録飛行について (参地下かもめ)



今回も私の作成している「鳥人間マップ」に線を引きました。離陸地点は富山県射水市の富山新港ということが判っていましたが、厳密な位置は北日本放送のニュース映像から、海王丸パーク対岸の岸壁(建設中の新港大橋の脇)と推測されます。
(ちなみに2008年は富山市岩瀬浜に仮設の板を敷いて離陸する予定だった模様)

予定飛行ルートはニュースの説明図を基に引いてあるので正確ではないと思いますが、大まかな距離感は掴んで頂けると思います。記録達成ならば県境を越えて新潟県上越市直江津沖にまで至り、恐らく佐渡が視界に入ってきます。


より大きな地図で Aircraft Makers 彦根鳥人間コンテストマップ を表示



人力飛行機の世界記録は、今年からヤマハ発動機の「チームエアロセプシー」も挑戦しており、今年の5月末から6月を挑戦期間と設定していましたが、十分な気象条件を得られなかったため来年の同期間に持ち越しとなっています。
6月30日のエントリーに詳しく紹介しています。

(当時のニュース)
ヤマハ発、人力飛行機でギネスに挑戦-到達距離120kmへ(日刊工業新聞)


まさに世界記録を狙って2チームが一騎打ちとなった形ですが、これまで長年にわたって人力飛行機を研究されてきた両チームだけあって、似ている点も多くあります。


まず、「機体の大きさ」ですが、主翼のスパン(端から端までの長さ)が日大理工で33m、エアロセプシーで35.6mとなり、両者とも人力飛行機では「大型機」と呼ばれる部類になっています。スピードを出すのには不利ですが、パイロット負荷が少ないため長時間パワーを出すのには有利です。

次に、「機体の重さ」ですが、これも日大理工が34kg、エアロセプシーが40kgと大型な機体としてはかなりの軽量化を実現していますが、日大理工の方がさらなる軽量化に成功しているようです。

そして、“エンジン”となるパイロットですが、日大理工ではOBであり現在はロードレーサー選手、エアロセプシーではMTB選手をされている方と、どちらも自転車のプロアスリートを採用しています。120km飛ぼうと思ったら4時間近くも漕ぎ続けるわけですから、強靭な肉体を持ち、自転車に精通したパイロットが必要になるのも頷けます。


これらに対して、大きな違いといえばパイロットの姿勢で、日大理工が仰向けに近い「リカンベント」、エアロセプシーが通常の自転車と同じ「アップライト」という形式であるという点です。
リカンベントの方が長時間ペダルを漕ぎ続けるには有利と言われていますが、自転車のプロが乗る以上、普段使用しているサドルなどを流用できて漕ぐ感覚も近いアップライトにもメリットがあります。



さて、日大は気象条件に恵まれ、120kmという世界新記録を樹立できるのでしょうか?
そして、もし日大が世界記録を更新した場合、エアロセプシーはどう出るのでしょうか?

鳥人間コンテストの次はギネス記録への挑戦に目が離せません!!