東日本大震災に寄せて
この度の東日本大震災、並びに福島第一原発事故により被災・避難された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
復興が進み、一日でも早く笑顔あふれる街が再び蘇ることをお祈り申し上げます。
当ブログでも義援金のサイトを幾つかご紹介することにしました。一人でも多くの皆様の暖かいお力添えをお願い致します。
◆社団法人・NGO団体◆
日本赤十字社
ジャパンプラットフォーム
中央共同募金会
あしなが育英会
◆銀行◆
ゆうちょ銀行
三菱東京UFJ銀行
三井住友銀行
◆放送局◆
NHK
日本テレビ 24時間テレビ
テレビ朝日 ドラえもん募金
ニッポン放送
TOKYO FM 系列局
◆貯めたポイントを募金◆
ANAマイレージクラブ
JALマイレージバンク
Tポイント
※募金と称した詐欺が発生しています。募金を予定している方は十分注意・ご確認の上で行ってください。
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人力飛行機世界記録 今度は日大が挑戦
突然のニュースが入ってきました。
日大理工学部航空宇宙学科が明日4日(8日までが予備日)、人力飛行機における直線飛行距離の世界記録更新に向けたトライを行うようです!
私が運営していますコチラのページには速報形式でニュースなどがまとめられているので合わせてご覧ください(このブログでは速報を行っておりません)
人力飛行で世界記録挑む 日大の研究室 (産経新聞)
日大の人力飛行機が世界最長飛行記録挑戦 (日刊スポーツ)
人力飛行で世界記録に挑戦 日大の研究室 (日本経済新聞)
日大理工航空研究会のブログ(9月24日のエントリー)
使用する機体は「Möwe(メーヴェ)2006」。主翼スパン33mの大型機のようです。
日大理工といえば、先週オンエアされた「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2010」において航空研究会現役チームとOBチームがそれぞれタイムトライアル部門とディスタンス部門に出場し、優秀な成績を収めましたが、今回はサークルというよりも純粋に研究室の卒業研究としての挑戦のようです。
マサチューセッツ工科大(MIT)が1988年にエーゲ海で樹立した人力飛行機の世界記録(直線距離115.11km)は未だ破られておらず、まさに「驚異的な記録」と言えます。
▼その際の動画
日大は以前よりこの記録を虎視眈々と狙っており、2005年には駿河湾で49.17kmの日本記録更新を達成しています。
▼その際の動画
それからは安定した気象条件を求めて、記録挑戦のフィールドを太平洋側の駿河湾から日本海側の富山湾に移して2008年と2009年にトライする計画があったようですが、2008年は試験飛行中に機体が破損したために断念、2009年はパイロットの負傷により翌年へ持ち越しとなっていました。
(当時のニュース・ブログ)
2008年
理工安部研究室 今秋、富山でフライト 前人未到の120キロを目指す (nu press)
理工 理工人力飛行機の記録挑戦延期 (nu press)
2009年
理工 人力飛行世界記録に挑戦 (nu press)
記録飛行について (参地下かもめ)
今回も私の作成している「鳥人間マップ」に線を引きました。離陸地点は富山県射水市の富山新港ということが判っていましたが、厳密な位置は北日本放送のニュース映像から、海王丸パーク対岸の岸壁(建設中の新港大橋の脇)と推測されます。
(ちなみに2008年は富山市岩瀬浜に仮設の板を敷いて離陸する予定だった模様)
予定飛行ルートはニュースの説明図を基に引いてあるので正確ではないと思いますが、大まかな距離感は掴んで頂けると思います。記録達成ならば県境を越えて新潟県上越市直江津沖にまで至り、恐らく佐渡が視界に入ってきます。
より大きな地図で Aircraft Makers 彦根鳥人間コンテストマップ を表示
人力飛行機の世界記録は、今年からヤマハ発動機の「チームエアロセプシー」も挑戦しており、今年の5月末から6月を挑戦期間と設定していましたが、十分な気象条件を得られなかったため来年の同期間に持ち越しとなっています。
→6月30日のエントリーに詳しく紹介しています。
(当時のニュース)
ヤマハ発、人力飛行機でギネスに挑戦-到達距離120kmへ(日刊工業新聞)
まさに世界記録を狙って2チームが一騎打ちとなった形ですが、これまで長年にわたって人力飛行機を研究されてきた両チームだけあって、似ている点も多くあります。
まず、「機体の大きさ」ですが、主翼のスパン(端から端までの長さ)が日大理工で33m、エアロセプシーで35.6mとなり、両者とも人力飛行機では「大型機」と呼ばれる部類になっています。スピードを出すのには不利ですが、パイロット負荷が少ないため長時間パワーを出すのには有利です。
次に、「機体の重さ」ですが、これも日大理工が34kg、エアロセプシーが40kgと大型な機体としてはかなりの軽量化を実現していますが、日大理工の方がさらなる軽量化に成功しているようです。
そして、“エンジン”となるパイロットですが、日大理工ではOBであり現在はロードレーサー選手、エアロセプシーではMTB選手をされている方と、どちらも自転車のプロアスリートを採用しています。120km飛ぼうと思ったら4時間近くも漕ぎ続けるわけですから、強靭な肉体を持ち、自転車に精通したパイロットが必要になるのも頷けます。
これらに対して、大きな違いといえばパイロットの姿勢で、日大理工が仰向けに近い「リカンベント」、エアロセプシーが通常の自転車と同じ「アップライト」という形式であるという点です。
リカンベントの方が長時間ペダルを漕ぎ続けるには有利と言われていますが、自転車のプロが乗る以上、普段使用しているサドルなどを流用できて漕ぐ感覚も近いアップライトにもメリットがあります。
さて、日大は気象条件に恵まれ、120kmという世界新記録を樹立できるのでしょうか?
そして、もし日大が世界記録を更新した場合、エアロセプシーはどう出るのでしょうか?
鳥人間コンテストの次はギネス記録への挑戦に目が離せません!!
日大理工学部航空宇宙学科が明日4日(8日までが予備日)、人力飛行機における直線飛行距離の世界記録更新に向けたトライを行うようです!
私が運営していますコチラのページには速報形式でニュースなどがまとめられているので合わせてご覧ください(このブログでは速報を行っておりません)
人力飛行で世界記録挑む 日大の研究室 (産経新聞)
日大の人力飛行機が世界最長飛行記録挑戦 (日刊スポーツ)
人力飛行で世界記録に挑戦 日大の研究室 (日本経済新聞)
日大理工航空研究会のブログ(9月24日のエントリー)
使用する機体は「Möwe(メーヴェ)2006」。主翼スパン33mの大型機のようです。
日大理工といえば、先週オンエアされた「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2010」において航空研究会現役チームとOBチームがそれぞれタイムトライアル部門とディスタンス部門に出場し、優秀な成績を収めましたが、今回はサークルというよりも純粋に研究室の卒業研究としての挑戦のようです。
マサチューセッツ工科大(MIT)が1988年にエーゲ海で樹立した人力飛行機の世界記録(直線距離115.11km)は未だ破られておらず、まさに「驚異的な記録」と言えます。
▼その際の動画
日大は以前よりこの記録を虎視眈々と狙っており、2005年には駿河湾で49.17kmの日本記録更新を達成しています。
▼その際の動画
それからは安定した気象条件を求めて、記録挑戦のフィールドを太平洋側の駿河湾から日本海側の富山湾に移して2008年と2009年にトライする計画があったようですが、2008年は試験飛行中に機体が破損したために断念、2009年はパイロットの負傷により翌年へ持ち越しとなっていました。
(当時のニュース・ブログ)
2008年
理工安部研究室 今秋、富山でフライト 前人未到の120キロを目指す (nu press)
理工 理工人力飛行機の記録挑戦延期 (nu press)
2009年
理工 人力飛行世界記録に挑戦 (nu press)
記録飛行について (参地下かもめ)
今回も私の作成している「鳥人間マップ」に線を引きました。離陸地点は富山県射水市の富山新港ということが判っていましたが、厳密な位置は北日本放送のニュース映像から、海王丸パーク対岸の岸壁(建設中の新港大橋の脇)と推測されます。
(ちなみに2008年は富山市岩瀬浜に仮設の板を敷いて離陸する予定だった模様)
予定飛行ルートはニュースの説明図を基に引いてあるので正確ではないと思いますが、大まかな距離感は掴んで頂けると思います。記録達成ならば県境を越えて新潟県上越市直江津沖にまで至り、恐らく佐渡が視界に入ってきます。
より大きな地図で Aircraft Makers 彦根鳥人間コンテストマップ を表示
人力飛行機の世界記録は、今年からヤマハ発動機の「チームエアロセプシー」も挑戦しており、今年の5月末から6月を挑戦期間と設定していましたが、十分な気象条件を得られなかったため来年の同期間に持ち越しとなっています。
→6月30日のエントリーに詳しく紹介しています。
(当時のニュース)
ヤマハ発、人力飛行機でギネスに挑戦-到達距離120kmへ(日刊工業新聞)
まさに世界記録を狙って2チームが一騎打ちとなった形ですが、これまで長年にわたって人力飛行機を研究されてきた両チームだけあって、似ている点も多くあります。
まず、「機体の大きさ」ですが、主翼のスパン(端から端までの長さ)が日大理工で33m、エアロセプシーで35.6mとなり、両者とも人力飛行機では「大型機」と呼ばれる部類になっています。スピードを出すのには不利ですが、パイロット負荷が少ないため長時間パワーを出すのには有利です。
次に、「機体の重さ」ですが、これも日大理工が34kg、エアロセプシーが40kgと大型な機体としてはかなりの軽量化を実現していますが、日大理工の方がさらなる軽量化に成功しているようです。
そして、“エンジン”となるパイロットですが、日大理工ではOBであり現在はロードレーサー選手、エアロセプシーではMTB選手をされている方と、どちらも自転車のプロアスリートを採用しています。120km飛ぼうと思ったら4時間近くも漕ぎ続けるわけですから、強靭な肉体を持ち、自転車に精通したパイロットが必要になるのも頷けます。
これらに対して、大きな違いといえばパイロットの姿勢で、日大理工が仰向けに近い「リカンベント」、エアロセプシーが通常の自転車と同じ「アップライト」という形式であるという点です。
リカンベントの方が長時間ペダルを漕ぎ続けるには有利と言われていますが、自転車のプロが乗る以上、普段使用しているサドルなどを流用できて漕ぐ感覚も近いアップライトにもメリットがあります。
さて、日大は気象条件に恵まれ、120kmという世界新記録を樹立できるのでしょうか?
そして、もし日大が世界記録を更新した場合、エアロセプシーはどう出るのでしょうか?
鳥人間コンテストの次はギネス記録への挑戦に目が離せません!!
鳥コン2010総括とか
先週、「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2010」が放送されました。
まずは、特別協賛スポンサーである岩谷産業さんをはじめとしたスポンサーの皆様、今年も主催者として多大な尽力をされた読売テレビさん、各方面から大会をサポートをされた自治体や地元企業の皆様、大会を盛り上げて頂いた芸能人、アナウンサーの皆さん、そして何よりも感動を与えてくださった全国のバードマンの皆さんに心から感謝したいです。
私としては、2年ぶりということもあって本当にオンエアが楽しみで、最後まで夢中になって観てしまいました。
滑空機部門では今年も水面ギリギリでの攻防戦が繰り広げられ、チームハマハマの羽ばたき飛行には、本当にスタンディングオベーションをしたくなりました。
タイムトライアル部門では完走が続出する中、優勝したTeamFの文句のつけようのないスピードと旋回がやはり印象的でした。個人的には歴代のフライトの中で最も見応えのある、素晴らしいフライトだったと感じています。
そして、ディスタンス部門。今年は延長された折り返し地点までは到達しなかったですが、プラットホームが見えなくなるところまで飛んでしまう事実に驚嘆し、二宮翔会のユニークな機体やTBTのパイロットが本当に楽しそうに、メンバーに感謝しながら飛んでいるのが印象的でした。
この様に、大満足の内容だったのですが…
今週に入って視聴率の情報が流れると鳥人間チーム、鳥人間ファンには衝撃が走ったようです。
私はやや遅れて3日前に知ったのですが、確かに衝撃でした。
2年ぶりの開催なので、どんなに悪くても2008年を下回ることは無いと思っていたのですが…
まさか1ケタ台になっているとは…
確かに、鳥人間に一度でも関ったことのある人と、一般の視聴者では鳥人間コンテストに対する捉え方に大きな隔たりがあることは十二分に承知しています。
しかし、それを考慮したとしても、今回の鳥人間コンテストは2年のブランクを乗り越え、鳥人間を看板番組として復権させようという作り手の努力や工夫が十分に伝わってくるのが感じられました。
そのうち主要なものを挙げてみると
1.特別協賛スポンサー
岩谷産業さんが80周年記念事業として名乗りを挙げたわけですが、これにより鳥人間がメジャースポーツ中継のような形態(企業名を冠にして開催)になりうることを照明したと思います。また、会場ではエコカー試乗やミネラルウォーター試飲のコーナーが設けられ番組と企業の相乗効果も期待できます。
2.公式テーマソング
今まではイメージソングという位置付けでしたが、GIRL NEXT DOORさんが鳥人間のために曲を作るという試みが採用されました。当然、飛行機が曲の中に直接登場するわけではありませんが、湖上を駆ける人力飛行機の「疾走感」や若い人が何かに打ち込む「清々しさ」を見事に表現した曲だと思います。
3.海外チームの参戦
これは鳥人間が「国際的競技」になり得る可能性を提示し、今までは「自国の中で大会なりフライトなりを行う」という閉鎖的な人力飛行機の世界に一石を投じたと思います。
4.タイムトライアル部門の距離短縮
実はこの変更点が最も良かったと思うのですが、完走チームが増えて「競争」として本来の楽しみが生まれたと言っていいでしょう。チームによって大きく異なる旋回方法も、テレビとして非常に面白い題材だったと感じられ、まさに鳥人間がエンターテイメント性とスポーツ性を兼ね備えた競技になったと思いました。
5.メディアミックス
ytvが協力し、実在の鳥人間チームを取材して描かれたマンガがコミック誌に連載され、単行本も順次発売されています。コミック誌や単行本の帯には鳥人間コンテストの告知も書かれていて、ストーリー内での時期もややシンクロするなど、今までに無かったメディア展開が行われています。
私が本当に残念なのは、これほどの革新的な要素があったのに、視聴率が1ケタ台に落ちてしまったことです。
ここに、最近10年の視聴率の推移をまとめてみましたが
大会の内容によって上下を繰り返しながら長期的には緩やかに減少という感が否めません。
第1回から第32回までの鳥人間コンテストの視聴率が平均で関東15.5%、関西17.7%ということからも、1ケタ台がいかにマズいかが判ります。
番組制作サイドの方々がいかに鳥人間コンテストに情熱を傾けているかは、ここ数年で私もよく理解するに至りました。ytv社長も「鳥人間ファン」と公言されています。しかし、企業やテレビ番組が慈善事業ではないことは当然のことです。
2009年中止の際の説明会で、制作サイドの方が「2年の猶予がある以上、参加者にもそれを感じさせるものを出してほしい」という旨のことをおっしゃっていたと記憶しています。
確かに、今年は良い記録も、ユニークな機体も出ました。ダイダロス型の飛行機であっても、フェアリングのカラーリングが美しいものが多かったような気がします。
しかし、その効果は残念ながら数字には出ませんでした。
悲しいことに、テレビは数字ひとつで番組も出演者もリストラされてしまう世界です。
今後、どういう動きがあるのでしょうか?
もちろん、今はそれを知る由がありません。
しかし、誰であれ最初に襲ってくる不安は「来年開催」の可否でしょう。
今回、2年のブランクが空いてレベルの上がったチームや、じっくり飛行機と向き合えたチームもあるでしょう。ところが、その裏でメンバー数が大幅に減ってしまったチームもあるのが現状です。
それが、鳥人間界では憧れの存在ともいえる大阪府立大チームも例外ではなかったことはとても衝撃的でした。
テレビ局側も「堺・風車の会にまさかのアクシデント発生!」なんて番組内で言ってる場合ではないのです。この部員減少というアクシデントがどうして生じてしまったのか? もちろん、複合的な要因もあるかもしれませんが、真っ先に思い浮かぶのは2009年中止の余波です。
このような背景があるからこそ、毎年開催してほしい。
少なくとも、「学生が多い」「1年ごとに機体製作・技術継承」といった今の鳥人間チームの形態やプロジェクト構造が続く限りは、毎年開催のリズムが崩れた時に参加者側の規模も縮小、最悪の場合、教育機関等で研究目的も兼ねて制作しているチーム以外は消滅という事態も考えられます。
そうなれば「人力飛行機文化」そのものが危機を迎えてしまうでしょう。
まずは、特別協賛スポンサーである岩谷産業さんをはじめとしたスポンサーの皆様、今年も主催者として多大な尽力をされた読売テレビさん、各方面から大会をサポートをされた自治体や地元企業の皆様、大会を盛り上げて頂いた芸能人、アナウンサーの皆さん、そして何よりも感動を与えてくださった全国のバードマンの皆さんに心から感謝したいです。
私としては、2年ぶりということもあって本当にオンエアが楽しみで、最後まで夢中になって観てしまいました。
滑空機部門では今年も水面ギリギリでの攻防戦が繰り広げられ、チームハマハマの羽ばたき飛行には、本当にスタンディングオベーションをしたくなりました。
タイムトライアル部門では完走が続出する中、優勝したTeamFの文句のつけようのないスピードと旋回がやはり印象的でした。個人的には歴代のフライトの中で最も見応えのある、素晴らしいフライトだったと感じています。
そして、ディスタンス部門。今年は延長された折り返し地点までは到達しなかったですが、プラットホームが見えなくなるところまで飛んでしまう事実に驚嘆し、二宮翔会のユニークな機体やTBTのパイロットが本当に楽しそうに、メンバーに感謝しながら飛んでいるのが印象的でした。
この様に、大満足の内容だったのですが…
今週に入って視聴率の情報が流れると鳥人間チーム、鳥人間ファンには衝撃が走ったようです。
私はやや遅れて3日前に知ったのですが、確かに衝撃でした。
2年ぶりの開催なので、どんなに悪くても2008年を下回ることは無いと思っていたのですが…
まさか1ケタ台になっているとは…
確かに、鳥人間に一度でも関ったことのある人と、一般の視聴者では鳥人間コンテストに対する捉え方に大きな隔たりがあることは十二分に承知しています。
しかし、それを考慮したとしても、今回の鳥人間コンテストは2年のブランクを乗り越え、鳥人間を看板番組として復権させようという作り手の努力や工夫が十分に伝わってくるのが感じられました。
そのうち主要なものを挙げてみると
1.特別協賛スポンサー
岩谷産業さんが80周年記念事業として名乗りを挙げたわけですが、これにより鳥人間がメジャースポーツ中継のような形態(企業名を冠にして開催)になりうることを照明したと思います。また、会場ではエコカー試乗やミネラルウォーター試飲のコーナーが設けられ番組と企業の相乗効果も期待できます。
2.公式テーマソング
今まではイメージソングという位置付けでしたが、GIRL NEXT DOORさんが鳥人間のために曲を作るという試みが採用されました。当然、飛行機が曲の中に直接登場するわけではありませんが、湖上を駆ける人力飛行機の「疾走感」や若い人が何かに打ち込む「清々しさ」を見事に表現した曲だと思います。
3.海外チームの参戦
これは鳥人間が「国際的競技」になり得る可能性を提示し、今までは「自国の中で大会なりフライトなりを行う」という閉鎖的な人力飛行機の世界に一石を投じたと思います。
4.タイムトライアル部門の距離短縮
実はこの変更点が最も良かったと思うのですが、完走チームが増えて「競争」として本来の楽しみが生まれたと言っていいでしょう。チームによって大きく異なる旋回方法も、テレビとして非常に面白い題材だったと感じられ、まさに鳥人間がエンターテイメント性とスポーツ性を兼ね備えた競技になったと思いました。
5.メディアミックス
ytvが協力し、実在の鳥人間チームを取材して描かれたマンガがコミック誌に連載され、単行本も順次発売されています。コミック誌や単行本の帯には鳥人間コンテストの告知も書かれていて、ストーリー内での時期もややシンクロするなど、今までに無かったメディア展開が行われています。
私が本当に残念なのは、これほどの革新的な要素があったのに、視聴率が1ケタ台に落ちてしまったことです。
ここに、最近10年の視聴率の推移をまとめてみましたが
大会の内容によって上下を繰り返しながら長期的には緩やかに減少という感が否めません。
第1回から第32回までの鳥人間コンテストの視聴率が平均で関東15.5%、関西17.7%ということからも、1ケタ台がいかにマズいかが判ります。
番組制作サイドの方々がいかに鳥人間コンテストに情熱を傾けているかは、ここ数年で私もよく理解するに至りました。ytv社長も「鳥人間ファン」と公言されています。しかし、企業やテレビ番組が慈善事業ではないことは当然のことです。
2009年中止の際の説明会で、制作サイドの方が「2年の猶予がある以上、参加者にもそれを感じさせるものを出してほしい」という旨のことをおっしゃっていたと記憶しています。
確かに、今年は良い記録も、ユニークな機体も出ました。ダイダロス型の飛行機であっても、フェアリングのカラーリングが美しいものが多かったような気がします。
しかし、その効果は残念ながら数字には出ませんでした。
悲しいことに、テレビは数字ひとつで番組も出演者もリストラされてしまう世界です。
今後、どういう動きがあるのでしょうか?
もちろん、今はそれを知る由がありません。
しかし、誰であれ最初に襲ってくる不安は「来年開催」の可否でしょう。
今回、2年のブランクが空いてレベルの上がったチームや、じっくり飛行機と向き合えたチームもあるでしょう。ところが、その裏でメンバー数が大幅に減ってしまったチームもあるのが現状です。
それが、鳥人間界では憧れの存在ともいえる大阪府立大チームも例外ではなかったことはとても衝撃的でした。
テレビ局側も「堺・風車の会にまさかのアクシデント発生!」なんて番組内で言ってる場合ではないのです。この部員減少というアクシデントがどうして生じてしまったのか? もちろん、複合的な要因もあるかもしれませんが、真っ先に思い浮かぶのは2009年中止の余波です。
このような背景があるからこそ、毎年開催してほしい。
少なくとも、「学生が多い」「1年ごとに機体製作・技術継承」といった今の鳥人間チームの形態やプロジェクト構造が続く限りは、毎年開催のリズムが崩れた時に参加者側の規模も縮小、最悪の場合、教育機関等で研究目的も兼ねて制作しているチーム以外は消滅という事態も考えられます。
そうなれば「人力飛行機文化」そのものが危機を迎えてしまうでしょう。