混合列車で行くディヴリィとユーフラテス川沿いの旅 | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」


世界遺産ウル・ジャーミィUlu Camiiを擁する静かな山あいの村ディヴリィDivriği。先日はスィワスからの列車にレールバスが導入され2時間16分に短縮されたニュースをお伝えしましたが、実は鉄道は東側にも延びており、アンカラとカルスを結ぶドゥExp以外にも、ディヴリィとエルズィンジャンErzincanの間に1日1本だけ列車があります。時刻表はTCDDのこちらのページにありますが、今のところ上記のスィワス~ディヴリィ列車が旧時刻のままなので、いつ更新されてリンクが切れるかわかりません。ですので右に時刻表を掲載しておきます。

さて、この時刻表のタイトル、エルズィンジャン~ディヴリィの後ろに、KARMA YOLCU TRENiとありますね。Yolcu=乗客ですので、YOLCU TRENiは旅客列車という意味なのですが、Karma=混成ってなんでしょう?
実はこれ、「混合列車」の意味なんですね。日本でも消えて久しいので意味がわからない人も多いでしょう。客車だけではなく、貨車も一緒につないで1本の列車に仕立てたもので、日本でもかつては閑散線区などでよく走っていました。ここトルコでは少なくなってきたものの、まだまだ各所で見ることができます。特に東部は混合列車だらけ。件のスィワス~ディヴリィ間の列車もこれまでは混合列車だったのです。気になる方はTCDDの普通列車のページを片っ端から調べてみましょう。

2011年春にディヴリィを訪れた私たちも、ベレディーエ(村営)・ホテルに1泊したあと、東のエルズィンジャンに向けて、この混合列車42822レに乗ってみました。
まずはまだ真っ暗な中、ホテルから徒歩10分ほどのディヴリィ駅に向かいます。スィワス行きも同じ頃に発車しますので、乗り間違えないように注意しながら線路をまたぎ、奥側に停まっている列車に乗り込みますが、まだ室内灯が点いていません。ディヴリィ駅には架線が張られていますが、これは駅の北側にある鉱山から鉄鉱石を地中海沿岸のイスカンダルン駅まで運ぶ貨物列車のためのもの。ディヴリィより東は非電化ですので、ディーゼル機関車がカラカラとエンジンの音を響かせて待機しています。

ディヴリィ駅を定刻に発車して約30分。ようやく薄明るくなった頃にÇALTIチャルトゥと表記された駅に到着。ここで釣り竿を持った男3人組が降りました。リール付きだったので、こんな山深いところのどこで使うのかなと訝しんでいると、車窓に大きな川が見えてきました。どうやらFıratフラート川(ユーフラテス川)のようです。ダムを作っている現場もありました。完成の際には、この路線もトンネルなどになってしまうのでしょうか。

川の上流へと向かっているはずですが谷はしだいに広がっていきます。İliçイリチではかなりの数の人々が乗ってきます。中学生から高校生に見える子どもたちや若い女性も多く、そういえば今日は土曜日だなと気がつきました。トルコはイスラム圏では珍しく、金曜日ではなく、日本と同じように土・日曜日が休みです。みんな、エルズィンジャンに買い物に出かけるのでしょう。車内も座席はほぼ埋まってしまい、エルズィンジャンの一つ前の村Alpアルプを出た後は立ち客も出るほど。ちなみにこの列車の車両は、アンカラ~ポラットルの区間列車などに使われている2+2列のしょぼい座席ではなく、かつて1等車に使われていたであろう、2+1列のリクライニングシート。乗り心地も上々です。

雲に隠れていた太陽もしっかりと出るようになり、あおあおとした緑が窓を通して目に入るようになりました。河川敷には馬が放牧されていたり、実に牧歌的な風景が広がります。列車は機関車の次に3両の客車、その後ろにさまざまな貨車を相当数つないでいます。
ディヴリィを出てから3時間半、定刻にエルズィンジャン駅1番ホームに到着し、156kmに及ぶ混合列車の旅は終了です。