ギザのピラミッドが冠雪するなど中東でも記録破りとなっているこの冬ですが、私もこの週末、２晩で積雪が81センチに達した長野県飯田市内に閉じ込められていました。
岐阜から飯田市に向かっては、中央自動車道の恵那山トンネルを抜けるのが最もポピュラー。中津川ICから飯田ICまで37km、25分の道のりです。ここ以外だと国道19号を北上して一旦木曽路に入り、妻籠宿を通る国道256号「清内路越え」が最も近道なのですが距離は62kmと倍近くとなり、道幅も狭くつづら折れが続く峠道。所要時間は夏場でも1時間30分はかかり、よほどのことがないと通りたくありません。さて、大雪予報が出ていた14日金曜日昼、岐阜側は朝から雪が降っていたものの、先週土曜日とは違い中央道はまだ閉鎖されておりませんでした。中津川ICからの登坂も暖気だったこともあるのでしょう、路面には雪がなく、多少ウエットかなという程度。恵那山トンネルを抜けた長野県側も周囲の山々に雪が積もっているものの、路面は出ていました。ちなみに、右の写真はさっき、恵那市内から恵那山を撮影したもの。積雪もたいしたことはないですよね。
昼過ぎに着いた飯田市内は積雪１０センチ弱といった程度で、これなら大丈夫かと思って仕事をしていましたら、夕方から降る降る！ 午後１０時に仕事が終了すると中央道閉鎖とのこと。翌土曜日も午後から仕事が入っていましたので、おとなしくホテルで一泊することに。車の上に積もった雪は１０センチ程度。北海道生まれの人間にとっては、どうということもないレベルですが、これが予兆だったとは。
飯田市は伊那谷南部の中心都市。よそへ遊びに行きにくい地形ですので飲み屋を含めて夜の街が充実しています。ホテルのすぐそばに朝４時まで営業という地場の居酒屋を発見。地元住まいの上司に付き合ってもらって痛飲し、それでも２時にはホテルに引き上げました。
翌朝、ホテルの窓から外を見てびっくり！ 裏手の駐車場では車がすっぽりと雪に包まれ、家々の屋根に載った雪も５０センチは優に超えています。２日前までは積雪ゼロ、昨日昼までは10センチしかなかった街の様子が一変しています。こんなこともあろうかと、着替えとともにカメラも持ってきていましたので、早速街へ。
その前に自分の車の雪下ろしです。わりと軽めの雪質なので、車に載せていたT字の水切りワイパーで押すと面白いように落ちて行きます。大掃除の時の窓ふき用に買いましたが、凍結がたいしたことのないこの辺りでは北海道でポピュラーの包丁形のスノーブラシよりずっと使い勝手がよいですね。ホテルの人が駐車場の雪はねをしておいていただいたおかげですっと出れたのですが...
まず駅に行ってみました。特産のりんご色に塗られた駅舎はいつもなら高校生などでそれなりのにぎわいを見せているのですが...
まず駅前広場の駐車場に入れません。駐車スペースもなく、駅前広場の本線上に車を置いて駅舎内を見に行きます。それでも後続の車は来る気配もありません。
駅舎内には数人がベンチに座っていましたが電車を待っている風ではありませんでした。改札の出発案内掲示は電気が消え、午後３時をめどに除雪作業をしており運休中との掲示が。ホームを見通すと屋根に大量の雪を載せた電車が滞泊中です。きっぷ売り場には駅員の気配さえしません。
午前１０時を過ぎた市内はあちこちで雪はねをしており、まるで市民総出の雪はね大会の形相を呈しております。
ははは、やってるやってる などと”人ごとのように”見ていた私ですが、自分の仕事場に行って現実を知ります。北海道の豪雪地帯生まれの私にとって、駐車場の雪はねは、季節契約した業者が重機でやるもの、家の周りの雪はねも雪かき機やらトラクターなんかの機械でやるものといった意識がどこかに残っていたのでしょう。しかしここは飯田市。そんな契約をしている会社があるはずがない。そこにホテルの人曰く「長年飯田に住んでいるけどこんなの見たことない」大雪です。市街地のスピーカーは「ただいま市内の積雪深は８０センチ。市役所に災害警戒本部設立」と繰り返し放送。そう、この雪はもはや災害レベルだったのです。仕事場の前の道路はようやく車がすれ違うことができる程度の道幅しか除雪されておらず（それでも市道としては広め）、除雪しなければ自分の車さえ置くところがありません。というわけで、昼飯もとらずに車４台分、５０センチ程度まで積もった雪をどけたら昨晩の酒はすっきり抜け、いいデトックスになりました。