蛇民の兵団 (ハヤカワ文庫 FT エ 1-51 ドラル国戦史 2)/デイヴィッド・エディングス
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【<ドラル国戦史2>
侵略に抗する力を求める弟神ヴェルタンは、氷海を越えた南の地で凋落した軍団と出会う。

無限に襲いくるヴラーの家来たちに対抗すべく、ドラル国の兄弟姉妹神はそれぞれに、辺境から腕に覚えのある荒くれ者を呼び集めた。
西の妹神ゼラーナは金目当てのマーグの海賊団を、そして南の弟神ヴェルタンは落魄したトログ帝国軍を……そのころ静かな海岸の村ラタッシュの上流では、ヴラーの軍勢が峡谷を下って進軍しつつあった! 毒液を放つおびだただしい数の異形の敵を、奇妙な混成軍は巧妙な布陣を敷き迎えうつが!?】


■登場人物 神さま多し
ドラル国西部を治める妹神 ゼラーナ 夢見人エレリア
ドラル国南部を治める弟神 ヴェルタン 夢見人ヤルター
ドラル国東部を治める姉姫 アラシア 夢見人リラベス
ドラル国北部を治める兄神 ダレイネ 夢見人アシャド

ゼラーナが集めたのはソーガン率いる船団とヴラーなるものに妻を殺された長弓。
ヴェルタンが集めたのはトログ国の軍人。ナラサン。



■話の要約と夢見人の力
ヴラーさん(悪者)は人間を捕食生物と思っていてそんなことされたら大変なので、みんな頑張ってやっつけましょーという戦争のお話。

ただ、神さん達が介入できる範囲にも限りがあって、恣意的な進化や、行き過ぎたことは出来ないので、次の周期の引継ぎ手である「夢見人」の過去を消して新たに育て、一緒にヴラーさんを倒そうと頑張ってるのかな。
エレリア、リラベスは天候を、ヤルターとアシャドは――ヤルターに限っていえば今回地震を起こしたり火山を噴火させていますが、こういうのをなんと言うんだろう。



■途中経過
ウサギがソーガン達の仲間になった経緯、長弓の慎重さと疑り深さ、エレリアの人の動かし方、ゼラーナの逃亡。
ひとつひとつの戦略知略、或いは行動が丁寧なので、
ストーリー展開としてはそんなに動いてないのかもしれませんが、中身はぎっしりと詰まっていました。
愚か者だと思っていたヴラーなるものの家来達。山に幾つもあいている“穴”、故郷を失った長弓の友赤ひげの部族、春の洪水、鉄で作った矢じり。
人の動かし方や、慣習と悪習、意識の違い、男と女の仕事あたりは、心理作用的に凄く面白かったです。
結果的に同じことであっても、行動と命令の理由が違うのであれば、あんなに変わる。



■神さまのひきこもり
ゼラーナがエレリアを引き連れて家に帰っちゃったときはビックリしましたが、天性キス魔のお嬢さんはひやりとさせられるほど強かったですね。
解っているのかいないのか、それとも事の重大さを理解していないのか、もし理解をしていて尚、民に望まれているから戦場に戻ると答えなのなら、それを義務と割り切るのなら、―――どれだけこの子は器が大きいのか。
長弓だけは納得していました。彼の人を見る目は確かだってことかな?


慣れればすらすら読めました。4時間くらいかな。



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