「戦略」が間違っていたら、
どんなに「戦術」を変えてみても、
うまくいかないのです。
わかりやすい例をあげてみましょう。
あるところにラーメン屋さんがありました。
そのラーメン屋さんは、初めて自分の店を出すことで、
張り切っていました。
普通のラーメン店とは違う、
おしゃれな内装や外観にしようとしました。
厨房の什器やラーメンの器（うつわ）などにも
お金を たっぷりと かけたために、
資金不足になってしまい、
人通りの多い駅前や商店街には
出店することができませんでした
繁華街からはずれた、
郊外の賃料の安い場所に
出店せざるをえなくなってしまったというわけです。
案の定、お客さんがなかなか来ない
場所選びを間違ってしまったのです。
これは 明らかな 「戦略ミス」 です。
「戦略」とは 「全体的で長期的な方針」のことです。
そこで、お店のスタッフと よく話し合った結果、
内装をいじって、かわいい飾りつけなどをし、
メニューも新しく工夫することにしました。
これは「戦術」、
つまり 「短期的な細かい箇所」 です。
でも、場所選びという「戦略ミス」をしてしまったあとでは、
店の音楽を変えようが、壁紙の色を変えようが、
いくら小細工をしても焼け石に水。
このラーメン屋さんは、翌年 閉店しました
つまり、それほど 「戦略」 は重要だということです。
そもそも、見当違いの会社に就職してしまったり、
同じビジョンを共有できないパ ートナーとつきあってしまったり、
住む場所や友人を間違ってしまったりするのは、
人生の「戦略ミス」 です。
現状を打破しようと、その中で「戦術」をあちこちいじってみても、
大きな変化を起こすことができず、
イライラして悶々と毎日を過ごすことになるというわけです。
※用語解説
戦略 （strategy：ストラテジー）
全体的な方針 変更は困難
戦術 （tactics：タクティクス）
戦略に基づいて細かい個所を決める
戦略に基づいていることが必須
変更は可能
大きな行動を起こすときは、
「これは、戦術ではなく戦略にあたるのではないだろうか？」
とちょっと立ち止まって、静かに熟考してみる習慣が必要です。
そして、「戦略」だと思ったら、
大胆に行きましょう！
ラーメン屋さんを出すのなら、
客が来ないような辺鄙（へんぴ）なところじゃなくて、
繁華街のど真ん中に出す、すごく繁盛している店の前に出す。
こわがらず「えー、そんなところに！」って場所に、
出しちゃっていいんです。
だけど、「戦術」だと思ったら、
細かく気をつけることです。
メニューの紙の素材にこだわってみたり、
テーブルクロスを毎回替えてみたり。
組織なら、リーダーが、大胆な戦略を考案し、提案する。
参謀は、細心の注意を払って戦術を練り、
プロジェクトを強力にサポートする。
個人の場合は、自分という１人の人間の中に、
リーダーと参謀が必要です。
この自分の中のリーダーと参謀を統合するのは、
もちろんあなた自身です。
第３２条 【 戦略的には大胆に、戦術的には細心に 】まとめ
わたしたちは自分という人間の中に、
リーダーと参謀（さんぼう）が必要です。
リーダーは、大胆な戦略を考案し提案し、
それを補佐する参謀は、細心の戦術を練って、
プロジェクトを強力にサポートする。
この自分の中のふたりを統合するのは、
もちろんあなた自身です。
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