新しく社会人になる人たちへ その3(完)
気が向いたので、その3を書いてみた。
これで、おしまい。
はじめてこれを読む方は、その1 からお願いします。
<全体像(ビッグピクチャー)を常に見よう>
新人君は。
一人で大きな仕事は、まだ当然出来ないから。
任せられたとしても、仕事のほんの一部だけ。
でも。
周りの人たちが、成し遂げようとしていることは何なのか。
自分が任された仕事が、全体にとってどんな意味を持つのか。
そしてそれが、自分の将来にとって、どんな意味を持つのか。
常に、考えよう。
そうしないと。
自分は何て詰まらない仕事をしているんだろう、と思えてくる、時が来る。
本当はチームにとって、すごく意味のあることを任されているかも知れないのに。
本当は自分のキャリアにとって、すごく大事な仕事を任されているのかも知れないのに。
任されたことは、文句言わずにすぐに取りかかって、結果を出すべき。
でも、自分のやっていることが、どんな意味を持っているのか、自分の頭で考え。
それが正しいかどうか、機会を見つけて質問しよう。
「サービスが伝説になるとき」という本に書かれている、エピソード。
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三人の男が働いているところに、ある男がやってきた。
「何をしているの」、男は最初の男に尋ねた。
「石を切っているんだ。みじめな仕事だ」と最初の男が答えた。
男は二番目の男にも同じことをたずねた。
「家族のために働いているんだ。面白くはないけれど、これで食っていける」
男は三番目の男に同じ質問をすると、彼は鼻歌混じりにこう答えた。
「僕は大聖堂を建てているんだ。
神の栄光をたたえる証として、人間の善の象徴として、それはここに永遠に建ち続けるんだ。
この仕事は本当に楽しいし、報酬も計り知れないほど多いんだ」
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解説するまでもないが。
一番目の男は、「人に仕事をやらされている」人で。
二番目の男は、「誰か他の人のために、仕方なく働いている」人。
三番目の男は。「人のためだけでなく、自分のために、はっきりとした目標を見据えながら働いている」人。
どの男が、一番高いモチベーションを持って仕事を出来るかは、言うまでもない。
同じ仕事を任されていても。
一番目の男や、二番目の男になっては、いけない。
しっかりビッグピクチャーを見据える訓練をしないと。
難しい課題にぶつかったときに。
一番目や二番目の男のように、物事を考えてしまい。
詰まらない仕事をさせられている気がして。
会社、辞めたくなってしまうかも。
常にビッグピクチャーを捉える努力をすることによって。
三番目の男のように、高いモチベーションを保てるようにしよう。
<自分は常にバッターボックスに立っていると意識しよう>
仕事を頼まれて。
「急ぎじゃないから」と言われても。
他の仕事がなければ、すぐ頼まれごとに取りかかって。
出来るだけ早く、結果を返そう。
「そんなに急いでなかったのに」、と言われるかも知れないが。
早くできて、困ることはない。遅くしかできずに、困ることはあるけれど。
(勿論、早くてもクオリティが低い、というのは論外だが)
すると。
次にまた、仕事を任されて。
その期待にちゃんと応えていると。
また、打順が回ってくる。
最初に、「急ぎじゃないから」というのを真に受けて、ゆっくり仕事をしていたら。
打順が回ってくるのが、遅くなる。
「面白い仕事を任せてもらえない」、なんて愚痴をこぼす若者は。
大抵、自分がバッターボックスに立っていることすら気づかず。
何度も見逃し三球三振しているのに。
自分では気づいていなくて。
「うちの会社では、打席に立たせて貰えない」、と、文句を言ったりする。
どんな小さな仕事でも。
それが、コンビニに買い物に行かされるようなしょうもないことであっても。
コピーとってきて、ホチキス留めして、みたいな仕事でも。
周りは、あなたの仕事ぶりを、しっかり見てますから。
適当におにぎり買ってきて、と言われて、ちゃんと何がいいか考えるのか、そうでないか。
二度目の買い物の時、その人の好きなおにぎりをちゃんと覚えているのか。
コピーは、ちゃんとオリジナルとコピーをしっかり分けて手渡せるのか。
間違っても、印刷が曲がったりしていないか。
ホチキスは、ちゃんと読みやすい角に留めているか。
綺麗に、どれも同じように留められているのか。
すべての仕事を、早く、正確に出来ているのか。
そんなしょうもないこと、どうでもいいじゃん、と思うかも知れないが。
しょうもないことも出来ない人間に、大事な仕事は任せられない。
自分のアウトプットが。
依頼者の期待しているクオリティに達しているかどうか、必ず自分で考えよう。
そして。
依頼者に、期待しているクオリティに達していたかどうか、必ず確かめよう。
クオリティに達していれば。
すぐ次の、打順が回ってくる。
出来なければ。
「こいつにはまだ任せられない」と思われて。
打順が回ってくるのが、随分先になり。
学習する機会が、失われることに。
自分が常にバッターボックスに立っている、ということを強く意識しよう。
<すべては想像力>
社会人になって、何をすべきか、右も左も分からないかも知れないが。
すべては、あなたがどれだけ想像力を働かせられるかに、かかっている。
自分が逆の立場にいたら、どう思うか。どう感じるか。
将来、どんな自分に、なりたいのか。
それを想像することが出来れば、自ずとやるべきことは、明らかに。
自分が、新人にものを教える立場だったとしたら。
自分が、新人にカバーされる、お客様の立場だったとしたら。
自分が、新人が入ったチームの、チームメンバーだったとしたら。
自分が、3年後に、どんなビジネスマンになっていたいか。
自分が、新人君を叱る立場だったとしたら。
自分が、新人に挨拶されたら/されなかったら。
自分が、新人に仕事を任せる立場だったとしたら。
何をすればいいのか。
いつまでにすればいいのか。
どのようにすればいいのか。
自ずと、分かるはず。
上に書いたことは、全部これまで書いてきたこと。
自分の想像力を働かせれば。
これまで私がうだうだ書いてきたことなんか、言わなくても分かるはず。
答えは、探さなくても、自分の中にある。
自分を信じて、人を信じて。
答えは自分の中にあるのだから。
誰にでもきっと、見つかるはず。
だから、心配することはない。
頑張って。
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