新しく社会人になる人たちへ | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

新しく社会人になる人たちへ

前回は、ビジネスマンとしての身なりについて 、書いたが。

今回は、心構えを、思いつくままに書いた。


偉そうなことを言うつもりはなくて。

自分が新人の時に、分かっていなくて、今になって分かったことも含めて書いている。

それも、試行錯誤の上、精神的に疲労困憊してようやく分かったこと、など。

生意気だったからなあ。


円周率、みんな3.14だって、知っているじゃない?

それは所与のものとして、みんな計算しているよね?

全員が全員、円周率はいくつか一から考えていたら。

世の中、なかなか進歩しない。


世の中の悩みに対する答えは、一つではないけれど。

円周率のように、答えは所与のものではないけれど。


最初から間違った方向に向かうより。

「どちらかというと」正しい方向から進んでもらえれば、ということで。

ビジネス書的に言うと、ベストプラクティス(かも知れないもの)から学ぶ、ってやつね。


壁にぶつかって、自分なりに見いだしたことを、参考にしていただければ。

新社会人はこうあるべき、なんて書くのは、自分も年をとった証拠なのだが。



<仕事は教えてもらえて当たり前、と思うな>


たとえばプロ野球で。

ベテランのレギュラーの選手がいたとして。

高卒ドラフト1位の、将来が嘱望されるルーキーが。

全く同じポジションで入団してきたら。


手取り足取り、ルーキーの指導をするか?

近い将来、自分の地位が脅かされるかも、しれないのに。


学生さんが、会社に入ってきて。

いきなり、ベテランを蹴落として、クリーンナップを打つレギュラーになる、ということは基本的にないので。

ベテラン選手vs新卒ルーキーの対立、ということは、すぐにはあり得ないのだが。


新卒ルーキーが、同じポジションのベテランのレギュラー選手に、ものを教わる、ということが。

どんなに貴重な機会か、何となく分かる?

それも、自分の直接の利益にならないのに。

わざわざ時間を割いて教えてくれたことの有り難さを、きちんと考えよう。


勘違いするなよ、人にものを聞いちゃいけない、とは言ってはいない。

いい質問をすることは、とてもいいこと。

でも、聞くのはかまわないが、教えてもらったことに、まず感謝しよう。


その感謝の気持ちがあれば。

一度聞いたことは、絶対忘れないようにしよう、と思うだろう。


教えてもらえて当たり前、と思っていれば。

緊張感なくて、同じこと何度も聞いてもいい、と勘違いしてしまう。

また、自分の頭で考えないままに、先輩に質問してしまったりもするだろう。

悪い質問を平気でするのは、とても悪いこと。


教えてもらえるということは、当然の権利ではないのだよ。



<同期は大切にしろ、でも群れるな>


一度先輩に聞いた質問の答え、忘れてしまった時とか。

一人では解決できない悩みに、直面した時とか。

新入社員のあなたが腹を割って相談できるのは、同期しかいない。


私は転職2回して、今3社目だが。

最初の会社で同期だった連中とは、今でもつきあいあるし。

違う会社に入ったけど同期入社の友達、結構いる。


同じ時期に、似たような苦労をしたので。

いろいろ説明しなくても、すぐに分かってくれて。

とても、ありがたい友人に、なるよ。

大事に、しないと。


でも、新人君たちだけで群れるな。

矛盾するようだが。


自立できていないから、すぐに群れたがって。

それも、物理的に邪魔な、群れ方をしたりして。

集団行動は、スマートじゃないよ。


新人同士でレベル低く、傷口舐めあうのに慣れるのではなく。

大人の中に、飛び込んでゆけ。


あなたたちがどんな人達なのか、先輩達も興味があるのだし。

何も、恐れることはなく。


周りの人たちは、新人君が自分からチームに溶け込もうと努力していることぐらい、すぐに分かるのだから。

その努力に対して、報いてあげよう、という気持ちになるはず。


そして、大人とのつきあいで、何か教わったら。

「ありがとうございました。勉強になりました」と、必ず言え。


そしたら、また教えてもらえるから。



<努力しろ、何をすべきか全力で考え、ひたすら努力しろ>


新人君は、By Definition、先輩と比べて経験もなく、知識もない。

努力しなければ、経験の差も、知識の差も、絶対に埋められない。


その差を埋めるためには、何をしなければならないか。

常に、考えろ。


ずっと、先輩がしているのと同じぐらいの努力しかしなければ。

ずっと差が開いたままで。

自分に打順が回ってくるのは、すごく先のことに。


自分の昔話をするのは照れるが。


2年目の頃に外債の営業をやっていた頃は。

毎朝、4時50分に起きて。

夜の続きの人たちが、カラオケを歌っている横を通って地下鉄に乗り。

新聞来る前に、家を出て。

地下鉄の売店のおばちゃんに無理言って、新聞売ってもらって。

6時過ぎには、会社に入って。


Bloombergや、WSJ Online、社内のコメンタリーなど、めぼしい記事はすべて目を通し。

プリントアウトして、チームメンバーの机に配り。

引けたばかりのNY市場での出来事を、トレーダーなどに情報収集し。

毎朝7時から、お客さんにマーケットコメント、していたよ。


冬時間ともなると。

Retail Sales出るのが、夜12時半だから。

お客さんと一緒に数字見て、家帰ると2時とかで。

NYデスクに回してもいいのだが。

やっぱり一緒に数字見た方が、つながりも強くなるというもので。

そして、言い訳なしで、朝6時にはまた会社に。

お客さんの中には、朝番・夜番でシフトになっている人もいたが。

こっちは、一人でやってました。


何でそこまでしていたかというと。


経験では、絶対お客さんには勝てない。

だってその頃、2年目だったし。

銀行のポートフォリオを運用しているおじさん達は、10年選手だよ。

そんな人たちに、青二才でポジションも取っていない自分の話聞いてもらおうと思ったら。

生半可な努力じゃ、言うこと聞いてもらえないじゃん。


そう分かってたから、死ぬ気で頑張った。

まあ自分も相場、好きだったし。


先方のシニアなファンドマネージャーから、ある日突然。

自分に電話がかかってくるようになった時に。

自分の努力が実ったことが、分かったよ。

嬉しかったな。



<自分が役立てることは何か、常に考えろ>


非常に酷な言い方をすると。

新人君は、一円もカネ稼がないのに、給料だけもらって。

働いてる人を邪魔して、あれやこれや聞いて。

入社してしばらくは、会社に収益を与えることは、まずない。

というか、はっきり言って赤字。


でも。


卑屈になることはない。

高くジャンプする前の、しゃがみこみみたいなものだから。

より高く飛ぼうとする、気持ちがあれば、すべては許される。


さはさりながら。

何か自分が周りの人たちの役に立てることはないか、常に考えろ。


今すぐ自分でお金稼げなくても。

お金稼いでいる人の手伝いをすることぐらいは、出来る。

間接的に会社に貢献することは、出来る。


たとえば。

ランチ食べられないほど忙しい先輩に向かって。

「何か弁当買ってきましょうか」と聞く、とか。

ミーティングに出られなかった先輩に、要旨をまとめてメールする、とか。

(滑らない程度に)努めて明るく振る舞って、チームの雰囲気を盛り上げる、とか。


個人的には、チームの雰囲気を盛り立てること、というのが新人君が出来る最大の貢献だと、思う。


一生懸命な姿を、周りが見ると。

自分も初心に返って頑張らなきゃ、と思わされるし。


明るくはきはき振舞って、チームが明るくなれば。

コミュニケーションだって、良くなるはず。


これは、お金で買えない貢献だよ。新人君にしか、出来ないかもしれないし。


自分が、何か役に立てることはないか、常に考え、実行しよう。



続く。




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