【2018 希望への展望】住友商事社長・中村邦晴さん(67) | 人生の水先案内人

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■部門間連携 全社目線のビジネス展開

 

 

-変革の時代のかじ取りは

 「商社を取り巻くビジネスモデルが変わる中で、

部門間連携や全社目線のビジネスがますます重要になっている。

既に自動車やIoT(モノのインターネット)&AI(人工知能)、

エネルギー周辺などのワーキンググループがあるが、もう少し柔軟に対応できる組織も検討している。

例えばコネクテッドカー(つながる車)は自動車と通信技術が融合する分野で、

自動車の部品産業も自動車部門からと素材の部門からの2つのアプローチがある。

ただ、組織変更は納得感も重要で、こうした方がいいという声を現場からどんどん上げてほしい」

 

 

--情報技術でどうビジネスを変えるのか

 「さまざまなデータを集められるプラットフォーム(基盤)をどう生かして、

そこに何を乗せていけるか、もっと工夫できると思う。

例えば、ケーブルテレビのジュピターテレコムは約530万戸の契約を持ち、

このネットワークを活用して電力も販売しているが、

これに何の新サービスを載せるかを世界で探したい。

住友三井オートサービスは法人向けに約75万台を保有管理し、

膨大な蓄積データがある。これを使って事前の部品交換で修理時間の短縮につなげている。

新技術やサービスはインサイダーにならないと情報を入手できない。

シリコンバレーは現地の裁量で数億円規模の新技術に投資できるようスピードを重視している。

欧州も同様の形とし、イスラエルでも投資案件を探りたい」

 

 

--ミャンマーに続く新市場開拓は

 「ミャンマーでは工業団地に加え、鉄道や通信インフラを手掛けてきた。

今後期待しているのは、豊富な若い労働力や市場が期待できるバングラデシュだ。昨年、

バングラ政府から高効率石炭火力と港湾の一体開発を受注した。

これを機に通信インフラなどにも広げたい。

1人当たりGDP(国内総生産)の伸びで消費もバイクから

車へと急速に変化すると期待している」

 

 

--2018年3月期は中期経営計画の最終年度だが、

次の世代に何を期待するか

 

 「50年、100年さらに永遠に成長し続ける企業であってほしい。

稼ぐ力である基礎収益は一定程度積み上がり、次の飛躍につなげたい。資産は、

収益の範囲内で引き続き積み上げていきたい。成長投資と株主への配当など

バランスを重視したい。配当は業界に先駆けて最低限を保証する

下限配当を導入しており、毎年着実に実施することが重要だ」

                   ◇

【プロフィル】中村邦晴

 なかむら・くにはる 阪大経卒。

1974年住友商事入社。2005年執行役員。

常務、専務、副社長を経て12年6月から現職。

大阪府出身。