■部門間連携 全社目線のビジネス展開
--変革の時代のかじ取りは
「商社を取り巻くビジネスモデルが変わる中で、
部門間連携や全社目線のビジネスがますます重要になっている。
既に自動車やIoT(モノのインターネット)&AI(人工知能)、
エネルギー周辺などのワーキンググループがあるが、もう少し柔軟に対応できる組織も検討している。
例えばコネクテッドカー(つながる車)は自動車と通信技術が融合する分野で、
自動車の部品産業も自動車部門からと素材の部門からの2つのアプローチがある。
ただ、組織変更は納得感も重要で、こうした方がいいという声を現場からどんどん上げてほしい」
--情報技術でどうビジネスを変えるのか
「さまざまなデータを集められるプラットフォーム(基盤)をどう生かして、
そこに何を乗せていけるか、もっと工夫できると思う。
例えば、ケーブルテレビのジュピターテレコムは約530万戸の契約を持ち、
このネットワークを活用して電力も販売しているが、
これに何の新サービスを載せるかを世界で探したい。
住友三井オートサービスは法人向けに約75万台を保有管理し、
膨大な蓄積データがある。これを使って事前の部品交換で修理時間の短縮につなげている。
新技術やサービスはインサイダーにならないと情報を入手できない。
シリコンバレーは現地の裁量で数億円規模の新技術に投資できるようスピードを重視している。
欧州も同様の形とし、イスラエルでも投資案件を探りたい」
--ミャンマーに続く新市場開拓は
「ミャンマーでは工業団地に加え、鉄道や通信インフラを手掛けてきた。
今後期待しているのは、豊富な若い労働力や市場が期待できるバングラデシュだ。昨年、
バングラ政府から高効率石炭火力と港湾の一体開発を受注した。
これを機に通信インフラなどにも広げたい。
1人当たりGDP(国内総生産)の伸びで消費もバイクから
車へと急速に変化すると期待している」
--2018年3月期は中期経営計画の最終年度だが、
次の世代に何を期待するか
「50年、100年さらに永遠に成長し続ける企業であってほしい。
稼ぐ力である基礎収益は一定程度積み上がり、次の飛躍につなげたい。資産は、
収益の範囲内で引き続き積み上げていきたい。成長投資と株主への配当など
バランスを重視したい。配当は業界に先駆けて最低限を保証する
下限配当を導入しており、毎年着実に実施することが重要だ」
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【プロフィル】中村邦晴
なかむら・くにはる 阪大経卒。
1974年住友商事入社。2005年執行役員。
常務、専務、副社長を経て12年6月から現職。