管見 プロメテウスの罠 38-1 (続) | 夢破窓在のブログ

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管見 プロメテウスの罠 38-1 (続)

<SCRAP>
P63
4号機の使用済み燃料プールの温度が上昇。(2011.3.15 AM)
あのプールにはチェルノブイリ原発の数倍に達する燃料が入っている筈だ。
細井は思った。最低でもチェルノブイリ級だ。南東北はだめになる。
燃料プールの水位が下がり、大量の燃料棒がむき出しになっているところで爆発が起きたら。
医療調査本部は急遽対策を話し合った。
4号機が爆発したら100人を超える死者が出る事もありうる。

コメント:
使用済み燃料プールの1400トンの水は地震の揺れで溢れて1200トンになっていたとしても熱交換器を通して冷ましています。
電源喪失でポンプが止まれば温度は上昇します。100℃になれば気化します。
4号機に保管された燃料棒の3分の1は他の号機と違って炉から取り出してからの経過時間が少ないので半減期の短い物質が出す熱の影響がありますが、1200トンの水を蒸発させるのは容易ではありません。電源が回復すれば冷却は継続されるのですから水位は下がりません。

チェルノブイリの燃料棒が何本か知りませんが、核反応中の事故です。事故直後は半減期が3日のテルル132も娘の沃素132も崩壊中です。沃素131もストロンチウム89もジルコニウム95も盛んに崩壊中です。
4号機の1533本の燃料棒集合体の内の985本は炉が停止してから1年以上経っています。上に挙げた核種は崩壊が終わって姿はありません。
残る548本について炉の停止後4ヶ月ほど経過しています。半減期が5~60日のSr89やZr95は炉の停止直後に比べて4分の1程が崩壊を続けていますが、半減期が3日のテルル132や8日の沃素131は殆ど残っていません。
4号機の燃料棒集合体の本数はチェルノブイリの数倍あるのかも知れませんが、1533本の燃料棒集合体が発する放射線の総線量は、チェルノブイリの事故から三日たった燃料棒に比べたら数百分の1だと思います。
3ヶ月くらい経てばチェルノブイリの放射線量も4号機並になったのかもしれません。
何を計算して「最低でもチェルノブイリ級」だと思ったのでしょうか?

爆発なんて考えられません。
燃料が熔けたと仮定しても、熔けて液化した金属が底のコンクリートに接触する事による水蒸気爆発ですが、プールの中でパチンパチンどころではなくなってドカーンと言ったとしても影響を受けるのは原発構内の原子炉周辺だけです。
燃料棒が破損しても、水が無いのですからセシウムが原発の外まで飛散することはないでしょう。

<SCRAP>
P65
(3月12日午後)死の灰を皆が浴びている。
井戸川は地獄絵図を見ているような気分になった。

コメント:
皆さんが何を浴びたのか知りませんが、今回の事故で原発の外で放射線の被害に遭った人はいません。
皆さんが「死の灰」を浴びたのだとしたら、その「死の灰」なるものには何の危険もないことを今回の事故は示しました。
地獄絵図など何処にも登場しませんでした。
「気分になった」というだけで何も起きませんでした。

<SCRAP>
「え、ヨウ素が出ている」ジャンパーからはヨウ素131やセシウム137が検出されていた。

コメント:
沃素は検出された筈がありません。空中には放出されていません。
サーベイメーターの扱いに不慣れな人が測定したものと思われます。
NaIの蛍光は浴びる放射線の周波数によって色が変わります。測る核種によって、センサーの示す数字が違ってきます。
通常のサーベイメーターではデフォルトで核種は沃素131である前提で測定値を表示します。
測る核種がセシウム137の場合は補正が必要です。
この辺の理解をしていない人が操作をすると、存在しない沃素131が登場することになります。

cpmで測る機械では核種は判別できません。ベータ線量が測れるだけです。
他の機械で測ったのでしょうがCs134は観測されなかったのですかね?
I131とCs137はそれぞれ何ベクレル観測されたのでしょうか?
沃素が存在したと仮定して、沃素は沃化セシウムとして放出された筈ですからセシウムと同量です。
3月12日の話なら半減期からしてI131がCs137の1373倍崩壊している筈なのです。Cs133と組んでやってくる沃素を考えるとI131の比率はさらに増えます。
水酸化セシウムとして付着しているCs137も相当量ありそうですが、Cs137の崩壊量は沃素と並べて書かれる量ではないと思います。

<SCRAP>
P69
目的は4号機が破綻した際の大量被曝者の受け入れ態勢作り。

コメント:
4号機はシュラウドの交換という大補修作業中で停止していました。破綻する事など考えられません。
通常は圧力容器の中に置いたままの燃料棒が、この交換作業では全て抜き出されて使用済み燃料プールに保管されていました。プールには普段より約一年分多い燃料棒集合体が存在しました。
余震でプールにひび割れが出来て水が流れ去って冷却できなくなったとしても、水が無ければセシウムが大量に空中に上ることが考えられません。
使用済み燃料プールの周囲にどれだけの人々がいたのか知れませんが大量被曝者なんて発生することが考えられません。

<SCRAP>
P72
雪だまりの前では年199.9ミリシーベルトまで測れる線量計が測定限界(22.8マイクロシーベルト)を振り切った。
松田はインドケララ州で測定した経験もある。
高線量を見慣れたはずの松田が驚くほど病院内の放射線量は高かった。
松田は思った。「これは地獄や」

コメント:
「地獄」で何人の犠牲者が出たと言うのでしょうか?日焼けした人が何人いるのでしょうか?
第7巻に記載された記事ですから、1年以上経ってから書いているものと思います。被害者が出てもいないのに、当時はそう感じたのだとしても、「これは地獄や」などと書いて良いものでしょうか?
松田さんは私に「これは地獄だと思った」と告げた、しかし今現在犠牲者は出ていないのだから「そう思った」というのは明かに間違えであったことがわかる、そこは地獄ではなかったのだ、とでも記載すべき話でしょう。

測定限界が22.8マイクロSvの線量計が振り切れた?
今回の事故で、こんな微量放射線用の測定器を持ち出す感覚が理解できません。
インドのケララの放射線量は約2マイクロSv/hrですから22.8マイクロSvで驚いたのかも知れませんが、イランのラムサールでは平常値が28マイクロSv/hrですから驚く値ではありません。こんな測定器ではイランでも振り切れます。
この人、高線量を見慣れていなかったのではないでしょうか?

<SCRAP>
P73
皮膚が焼け爛れ、嘔吐し、血便がでる。そんな被曝者が来るだろうと想像した。

コメント:
原発事故を原爆と勘違いしています。
嘔吐をする、渇きを訴える、血便が出る、下痢をする、これらは超大量の中性子線被曝で消化管の幹細胞をやられた人に出る症状です。
今回の事故でどうすれば大量の中性子線被曝が想定できたのでしょうか?
こんな低レベルの人が「緊急被爆医療の専門家」で通用していたなんて怖い話ですね。