島本理生 『真綿荘の住人たち』 | 映画な日々。読書な日々。

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真綿荘の住人たち/島本 理生
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レトロな下宿、真綿荘に集う人々の恋はどこかいびつで滑稽で切ない……。不器用な恋人達、不道徳な純愛など様々なかたちを描く


かなり久しぶりの島本さん作品。

真綿荘という下宿で暮す5人の人物の連続短編集。


大学進学で北海道から東京へ上京した空気が読めない、ちょっとずれてるけれども純粋無垢な大和君。

そんな大和君に恋する鯨ちゃん。

女子高生の恋人を持つクールな椿さん。

大家の綿貫さんのと、その内縁の夫だという晴雨との理解しがたい関係。


それぞれに悩みを抱えながらも下宿生活を続ける彼ら。

そしてそれぞれの恋。


大学で知り合った美女に振り回される大和君。

大和君への想いを抱えながらも、先輩に言いよられる鯨ちゃん。

この二人が一番現実的だったような気がします。

鯨ちゃんは本当いい子なんだな。


そして椿と八重子の関係も悪くはない。

私にはよくわからない関係だけど、八重子の真っ直ぐな想いはとても可愛いと思うし、

椿の戸惑いや複雑な気持ちもとてもよくわかる。


物語の2/3、全6章あるうちの4章までは結構面白く読んでいたんです。


わからなくなってきたのが、5章の傍観者から。

真綿荘以外のある人物が語り手となり、過去の出来事を話します。

すぐに誰のことを話しているのかはわかるのだけれども、

同時にますますわからなくなる綿貫さんと晴雨さんの関係・・・。

というよりも、わからないのは綿貫さんと晴雨さんの考えてることか。


なんだか理解できないなぁと思ってたら、最後の最後、さらに理解不能な結末が。

やっぱり理解できない二人の関係。


大和君は北海道にいる頃も上京したての頃もイマイチな青年だったけど、

きっとこれからは人の気持ちがわかる、そして空気の読める男になりそうな予感。

そして鯨ちゃんには幸せになって欲しいな~と思いました。


★★☆