新堂冬樹 『女王蘭』 | 映画な日々。読書な日々。

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女王蘭/新堂冬樹
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お前の中の天使を封印しろ。そして、夜の世界に咲き誇る女王蘭になれ――自分を裏切り、父親を死に追い込んだ「風俗王」藤堂への復讐を誓った優姫は、敵の主戦場である水商売に身を投じた。日本一のキャバクラ・キャストを目指して、藤堂と敵対する立花の新宿フェニックスに入店。しかしそこには伝説のカリスマキャスト冬海がいた。風俗業界の覇権をめぐり熱い火花を散らす二人の男、そして美しい毒牙を磨きあう二人の女……。一瞬もとどまることのない闘いの中で魔性の魅力を身につけてゆく優姫に、いつしか立花は自らの野望を賭けようとしていた。キャストの引き抜き、出店合戦と抗争が激化する中、冬海が突如引退を宣言した! 連続テレビドラマ化されたベストセラー『黒い太陽』の世界に、妖しくも華麗なヒロインが登場! エンターテインメント界の鬼才・新堂冬樹が、風俗産業の闇に挑んだ傑作サスペンス最新作!


新堂さんの作品は最近何を読んでもハズレだったので、そろそろ読むのをやめようかと思っていたのですが、黒い太陽 の続編だったので読んでみました。評判あまり良くないようですが、私は結構楽しく読みました。新堂さんはこういう作品の方が上手いですね。


藤堂に利用され、裏切られた優姫は、藤堂を見返す為に夜の道へと足を踏み入れる。そして入店1ヶ月でキャバクラ・ビップレディのトップになった優姫は、日本一のキャストになる為、ビップレディを辞め、伝説のカリスマキャスト・冬海のいる新宿フェニックスに入店する。


一度もトップの座を譲ったことがない冬海を追い越すために必死になる優姫。


またフェニックスを経営する立花は、風俗王・藤堂と風像業界トップの座を賭け、怒涛の戦いが繰り広げられていた。


夜の世界は知らないので、この話の内容がリアルかどうかはわかりませんが、正直ラーメン屋の娘だった優姫がいきなり入店直後にトップになれてしまうというのは、ちょっと出来すぎかなぁと思いました。でもまぁ冬海をおびやかす存在だったということでしょうかね。


それでも冬海の力はすごかった。冬海の力をまざまざと見せ付けられた感じがしました。優姫が太刀打ちできないほどに。


それにしても、やっぱり夜の世界って異次元ですよね~。1日で何百万というお金を使うなんて考えられません。1本200万のワインって、いったい・・・。


ただ最初は優姫がトップキャストになるまで、みたいな感じで進んでいたはずが、途中から優姫はどうでもいいような感じの扱いになって、立花が主役に変わってしまった感じがします。藤堂との戦いも、最後は女優出してくるし。優姫は冬海を脅かす逸材じゃなかったの?冬海の引退もあっさりしすぎていて、なんかちょっと拍子抜けでした。


黒い太陽 の時は立花が少しずつ少しずつ力をつけて藤堂に近づいていく様が面白かったのですが、今回優姫はあっさりトップを争うようなキャストになれちゃったり、また立花も姑息な手を使って藤堂を陥れようとしたりと、なんだかなぁという感じだったんですよね。立花にはもっと全うなやり方で藤堂に立ち向かっていって欲しかったなぁ。藤堂は相変わらず小汚い手を使ってましたが、立花が自分で言った約束を守らなかったり、藤堂並かそれ以上の小汚い手を使ったりしていたのが残念でしたね。


それはそうと、よくよく考えると優姫は冬海を追い越して、日本一のキャストになって、どうしたかったんだろう?日本一のキャストになることが藤堂への復讐にはならないよね?という素朴な疑問に陥ってしまいました。

物語が進むにつれて、黒い太陽 で登場したキャストたちが沢山でてきたのですが、正直黒い太陽 の内容をそんなに細かく覚えていなかったので、立花が誰とどうしたとか、誰を裏切ったとか、そういうのにちょっと着いていけない部分もあって、これは黒い太陽 を読み返してから読めばよかったかなぁと思いました。そしたら多分もっと楽しめたかな。優姫の話かと思いきや、結局は立花の話でしたから。


出来は黒い太陽 の方が断然上ですが、まぁその後の立花と藤堂の戦いが見れるという分ではよかったと思います。どうせなら長瀬がもう少し出てきてくれたらもっと面白かったかな。


★★★