『スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー』試写会鑑賞 | 映画な日々。読書な日々。

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スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー

近代建築家の巨匠、フランク・ゲーリー。ビルバオのグッゲンハイム美術館をはじめロスのディズニーシンフォニーホール、パリのシネマテーク、近年はティファニーのジュエリーデザインに進出するなど、その独創的なフォルムの美しさは見るもののすべての心を捉えて離さない。万人を魅了する彼のアイデアは、一体どこから生まれるのか――? アトリエで極めてラフに描かれた膨大なスケッチを元に、ランダムに紙を切り貼りしてフォルムを極めていく独自の創作過程を追ったドキュメンタリー。デニス・ホッパーなど交遊のある著名人から寄せられたコメントを通してゲーリーの魅力が伝えられる。[上映時間:84分]


フランク・ゲーリーという方はこの映画で初めて知りましたが、とても有名な方なんですね。せっかくなので彼の手がけた有名な作品をいくつか紹介します。


スペイン、ビルバオのグッゲンハイム美術館

グッゲンハイム美術館


グッゲンハイム美術館2

グッゲンハイム美術館

アメリカ、ロサンゼルスのディズニー・コンサートホール
ディズニーホール


マサチューセッツ工科大学のステイタ・センター
ステイタ・センター


ドイツ、ベルリンのDG銀行
DG


写真だと立体的な構造がわからないので想像しづらいかもしれませんが、実際に映画の中でいろんな角度から見るとかなり斬新なつくりになっていました。


また近年はティファニーのジュエリーデザイン も手がけているらしいです。


批評家からの評判も高く、一般大衆からも人気のある稀有な建築家のひとりであるフランク・ゲーリーの創作過程を追います。そして彼が手がけた有名な建築物をいくつも訪れ、その建築物の依頼主や友人達のインタビューを通して、彼がどれだけすごいのか、というのを伝えるドキュメンタリー作品になっています。監督は彼の数年来の友人であるシドニー・ポラック。ポラックはドキュメンタリー作品を撮ったことがなく、建築も全く知らなかった。フランク・ゲーリーは、だからこそ君が適任なんだと、彼を監督に指名したそうです。


フランク・ゲーリーの創作過程はなかなか面白かったです。


落書きみたいなスケッチ

スケッチ


そして紙で作る模型。


この紙の模型でアイディアを練ってるところは、こうやって考えていくのか、と興味深く観ていました。模型を眺めながら、なんかしっくりこないと感じるフランク・ゲーリー。そして波形にしたらいいかもしれない!と思いつくとすぐさま事務所のスタッフに模型を直させる。事務所のスタッフは、フランク・ゲーリーの少ない言葉で彼の意図を即座に理解し、紙を切ったり折ったりしながら模型を作り直していく。そして波の数を調整して、ほら、いいだろ、みたいな感じ。この模型でアイディアを練っているときのフランク・ゲーリーはとても楽しそうです。工作の好きな小学生が工作してるみたいな雰囲気。


フランク・ゲーリーの作るものはどれもがとても個性的で奇抜ですが、その構造はあまりにも複雑な為、昔は平面的な設計図だけでは施工者にうまく伝わらずに、彼が思っていたのとは違うデザインの建物ができてしまったこともあったそうです。それでコンピュータ技術を取り入れざるを得なくなったとか。今は3次元CADソフト「CATIA」を使って複雑な形態を構造的に解決していて、CATIAで作った図面を施工業者に渡して、フランク・ゲーリーが思っている曲線や立体構造をきちんと表現できるようになったそうです。確かに立体的な図面がなかったら、彼の作品を作るのは難しいですね。


素人目ですが、この映画を観て、フランク・ゲーリーは曲線を重要視していて、それをうまく作品に反映させているように思いました。

でもフランク・ゲーリーみたいな奇抜な作品を作る人の場合、結構当たりはずれがあると思うんですよねぇ。依頼した建物が”はずれ”だった時、もしくは他の人はいいと言っていても、自分は気に入らなかった場合、それでもこれだけ賞賛されている彼には文句は言えないような気がする。


ノートン邸。この家はどうなんだろう??鳥の巣っぽいけど。
ノートン邸

彼が注目されるきっかけになったサンタモニカの自宅「ゲーリー自邸」
ゲーリー自邸


また彼の場合は、デザインだけでなくて例えばディズニーのコンサートホールだったら、最高水準の音響が出せるようにとか、建物の曲線で光の反射を上手く取り入れたりとか、いろいろ考えて作っているので大丈夫なんだろうとは思いますが、それでもデザイン重視だと使いにくかったりしないのかな、と思ったりもしました。


私は建築も美術も疎いですが、実際に彼が手がけた建築物を見せてくれるので専門的なことは何も分からなくても十分に楽しめました。これも、監督のポラックが建築を詳しく知らない人だったからこそなのかな。個人的にはディズニー・コンサートホールが素敵だな、と思いました。また84分の上映時間中に、世界各国にあるゲーリーの手がけた建築物を沢山見ることができるので、彼の作品が好きな方や建築に興味がある方にはとてもお勧めできる映画だと思います。


プレスをいただきました。
プレス

ブロガー試写会(@copon norp)にて鑑賞


★★★