恩田陸 『ネクロポリス』 | 映画な日々。読書な日々。

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恩田 陸
ネクロポリス 上      ネクロポリス 下

死者が現われる土地――V.ファーで起こる連続殺人、そして「ヒガン」という不可思議な儀式。東洋と西洋、過去と現在、生と死、あらゆる境界線が揺らぐ世界観を、いまだかつてないスケールで描き、ミステリーとファンタジーの融合を果たした恩田陸の最高傑作! 本屋大賞&吉川英治新人文学賞W受賞『夜のピクニック』、直木賞候補作『ユージニア』につづき、さらなる新境地に挑んだ渾身の1600枚!


ともかく長かったです。上下巻になっていると知らずに図書館で予約してしまったので、貸し出し期間中に読むのがかなり大変でした。こんな長編を読んだのは久しぶりです。


ミステリーとファンタジーを融合させた感じの作品です。

毎年「ヒガン」に死者が生前のままの姿で”お客さん”として現れる、アナザーヒルという不思議な場所。本来、死者と懐かしい再会を待ち望むはずだったその場所で起こる殺人事件や不思議な出来事。


1日の描写がとても長いんです。読んでいて、あれ?まだこれしか日にちが経っていないの?と思うぐらい1日にいろんな出来事が起きます。

死者と生者の不思議な交流、アナザーヒルで起こる怪奇現象。描写が細かく丁寧なので、一瞬、自分もアナザーヒルにいるようなそんな錯覚に陥りそうになりました。


前半部分は、謎、謎、謎です。上巻はその謎を中心に結構盛り上がっているのですが、下巻にいくとやや失速気味。え?そんなオチなの?という感じもあり、ラストは結構あっけなかったです。


設定自体はとても面白かったと思うので、後半部分がちょっと残念な感じですね。

死者が幽霊として現れるのではなく、「お客さん」として自然に現れる。そしてそのお客さんに会いたい人たちが恐怖感などを持つことなく集まる。

アナザーヒルのように死んでしまった人たちにまた会える、そんな不思議な場所が本当にあったらちょっと素敵だな、と思いました。


★★☆