- ロカ/中島 らも
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『ロカ』 中島らも
『裸のランチ』的な作品にみえるが私はバロウズにくわしくないので、もしかしたら中島らもは、別な作品を意識していたかもしれない。それでも『裸のランチ』的な雰囲気を感じる。
往年のベストセラー作家の奇妙な日常生活。
19歳の少女との欲望のない恋愛。
ギターを弾いて作曲に明け暮れる日々。
主人公が浮浪者に間違われてしまう場面も登場する。
中島らも急逝のため未完ですが、それでも面白い。
中島らもが過去に使用していた、表現の使い回しが目立ちますが問題になるほどのこともなく、これは『今夜すべてのバーで』ででてきたなと、思い出して感慨にふけれもするので、否定的に評価する必要もない。
レトリックや表現もスター・システムの登場人物だと考たい。小説なのだから文章表現自体が登場人物になってもかまわないはず。
未完ですが、カットアップでもするつもりだったのだろうか。カットアップをしようがしまいが面白さは変わらない。
中島らもはエリートにばかり囲まれて生きてきたがゆえに文学やロックへの執着も普通の庶民とは違うのかもしれない。親が歯科医で妻の中島美代子の家系も並ではないし。そういう環境だと反骨心から文学やロックにはいりたくもなるかもね。
中島らもは文章を書く仕事に限っても、コピーライター、放送作家、小説家、劇作家、であるし、エッセイストでもある。さらにTVにも出ていたしラジオにも出演していた。
それでいながら大学で非常勤講師などにはなっていなかった。中島らもならどこかの大学で講師などをすることも可能だったと思うが、それをしない。筆一本のみで生きていた。今の時代では珍しいかもね。
最期まで反抗する若者だった。
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