2014.11 新江ノ島水族館 ナイトアクアリウム その1 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

決して交わることのできないと思える、巨大で分厚いガラスの向こう側に、

一面蒼の世界が広がっている。

そこでは光が歪み、みな宙に浮くように漂って、

ひと掻きだけの運動で音もなく滑るように進むことができる。

地に足の付いた自分には、それがひどく羨ましく感じられる。


水の中で、人間は呼吸をすることができない。

だから行ったことのない別世界を、少しだけ覗いてみようとする。

青色に包まれようとする。

水族館って、異種間交流の場だよなぁ、とすごく感じます。


新江ノ島水族館、通称「えのすい」で、2014年から始まったナイトアクアリウム。

真っ暗な夜に、幻想的な光で灯された魚たちを見ると

自分すら、海の中にいてふわふわ漂っているような、そんな気分。

でもまずは、お昼のショーから楽しまなくちゃ。


えのすいのメインショーは2つあって、お昼頃にそのうちのひとつ、

きずな/kizuna」が始まります。

その名の通り、トレーナーさんとイルカ・クジラ・アシカたちが言葉を越えた心を通わせて

素晴らしいチームワークを見せてくれる、楽しいショーです。




スタンバイ。







5人のトレーナーさんと、5匹のイルカ・クジラたち。

しっかりを目を見てコミュニケーションを取るそうで、それは人であろうが同じですね。

何よりトレーナーさんの笑顔が本当に楽しそうで、この子たちが好きなんだなぁと

見ているこちらも微笑ましくなるような、優しい雰囲気に包まれます。


3頭はバンドウイルカ。紛れもなくこういうショーのスターたちです。

左から2頭目、少し大き目の真っ黒な子はオキゴンドウというクジラの仲間。

この巨体で力も強いので、ものすごい飛びます…

対して右から2頭目、ひときわ白い頭の子はハナゴンドウ

こちらは本当はイルカですが、見た目が似ているので「ゴンドウ」の名が付いたとか。

この白い模様は、よく見ると体中にできた傷だそうですが

痛い目にあったとかそういうことではなく、もともと「傷が模様になる」ことを想定した

生き物だそうで、仲間とじゃれて遊んでも傷がつくそうです。

白い花が体いっぱいに咲いているみたい。目つきはすごく穏やか。


この子たちがどんなパフォーマンスを繰り広げてくれるのか…。

その前に、3頭のアシカたちが遊びに来てくれます。


トレーナーさんの膝に頭を乗っけてぼけーっとしてみたり、

片手をあげて手を振ってくれたり、巨体をえいと持ち上げて逆立ちしてみたり。

何よりトレーナーさんの後をついて、ぼよんと揺れながら地上をとたとた走る姿に

癒される…(´Д`*)

「きずな」もばっちりです。




親愛のあかし。







最後はトレーナーさんにキッス!

大好きなんですね~可愛い。。

心がほっこりした。


さて、いよいよお待ちかねのイルカ&クジラショーです。

久々に見ると、やはり迫力満点。

トレーナーさんが頭をトンと手のひらで押し、イルカたちはプール深く潜っていく。

尾ひれを上下に動かし、水の中を切り裂くようなスピードで泳いでいく。

そのタイミングを待ちながら…。

やがて、トレーナーさんが片手を振り上げると。




Jump!!







水面から真上に向かって一直線に飛び上がり、

その巨体を器用にくるりと翻らせてまた水の下へと沈んでいく。

その一瞬の輝き。水しぶきが舞って、瞬間の内に瞳にはりつく。

しかし気付くと、水面を割るような白い大波が立ち、黒い姿は消えている。

高く飛び上がれるその筋力、そしてしなやかな流線型の身体。かっこいいです。


と思ったら、一息つくかのようにトレーナーさんの前に律儀に帰ってきて、

ご褒美に餌の魚をもらったあと嬉しそうに手を振る姿も。




僕と握手!







口がぱっかり開いているのが、笑っているように見えて、

少しぎこちない動きも、また可愛らしい。

これがギャップ萌えというやつか。


クライマックスは花火でいうところのスターマインのように、

ジャンプオンパレード。

クジラが跳び、イルカが宙を舞い、プールのどこを見たらよいやら分からない。

プールのへりに沿って、観客に一番近いぎりぎりのところを跳んだり、

3頭一斉にタイミングを合わせて跳びあがり、サマーソルトを決めたりと、

水しぶきをかぶりながらも、前に乗り出すのを止められない。




空中乱舞。







空を飛ぶイルカやクジラたちの姿はとても美しく。

そのまま雲まで飛んでいきそうだなと感じられるほどに。

最後のジャンプが決まって、会場は拍手喝采。

これもすべて、トレーナーさんと彼らのきずなが成せる業。

人だけじゃなくて、クジラやイルカたちも、人の想いや伝えたいことを感じ取って

いるんだろうな、と直感的に思いました。

つながりの深さをすごく感じるショー。


これだけでもえのすい、すごいんですが、

この後に始まるもうひとつのショー「ドルフェリア」も必見。

こちらは、シルク・ド・ソレイユを見ているような、物語的なプログラムです。


このショーに登場するのは、先ほどのイルカたちと

彼らの言葉を理解し、交流することができる「アクアン」という種族の人たち。

彼らは約束の日に、約束の入江でイルカたちと遊ぶ。


優しい幻想的な音楽に乗せて、アクアンたちがやってくる。

さながら妖精のような、蛍光色の服とスカートを着た女性たち。

岩場を越えて約束の入江にふわりと降り立つと、どこからともなく

友達のイルカたちがやってきて、アクアンたちを迎える。




歓迎の舞。







このショーのすごいところは、イルカたちが音楽に合わせて舞を披露するところと、

何より、笛もなければご褒美の餌もない。

ただ、アクアンたちの目と腕の振りだけを頼りに、彼らは泳ぎ飛び跳ねる。

これってすごいことだなと、信頼関係がないとできないと思う。

アクアンたちを見やるイルカの瞳は真剣そのものです。


歓迎の舞を見せたあと、もう一頭のイルカが

仲間のアクアンを送り届けてくれます。




ともだち。







泡に包まれたアクアンとイルカの関係は友達そのもの。

鼻先で器用に泡を水面に滑らせて、陸地までご案内。

このあとイルカの背につかまって一緒に泳いだりもして、

まさに彼らは異種であり同種であるかのような。

心を通わせていく。


スカートの輪っかのなかをくぐり抜けてジャンプをしたり、




水の遊戯。







途中でアクアンたちがプールの手前まで降りてきて、

お客さんのほうを向きながらイルカたちに指示を与えてみたり、

イルカショーというよりは、ファンタジーの世界に入り込んでしまったかのような

夢のあるパフォーマンス。

アクアンたちとイルカは楽しそうに遊んでいる、一緒にいられるこの時を

どちらも愛おしく思っている、そんな風に見えた。


途中、ご褒美の魚を一度も与えられないまま、イルカたちは

クライマックスで最高のジャンプを見せてくれました。

くるりと宙返り!




あそびましょう。







水しぶきの轟音が止む一瞬の隙間があって、

そのあとには拍手が辺りを包む。

ここまでの関係性を築くのに、どれくらいの時間をかけて

どんなことをしてきたんだろう…ととても興味が湧きました。

紛れもない、イルカのともだち。

このショーでもきずなを感じて、すごく温かい気持ちになれます。


ショーが終わったあとも、イルカたちの常設プールを覗くことができます。

たくさんのトレーナーさんが、それぞれのケアをしたり餌をやったりと

忙しそうに動き回っていて。

そんな中、ショーには登場していなかったカマイルカがトレーナーさんのひとりと

コミュニケーションを取っていました。

餌をもらって美味しそうに飲み下したあと、立ち上がって、トレーナーさんと

手を取り合う。

その姿がまた可愛らしく…しっかりと見つめ合う目と目が素敵。




手をつなごう。







こうやってちょっとずつ、自分の気持ちを相手に伝えたり

逆に受け取ったりするんだろうなぁ。

言葉にならないだけであって、心というものは存在しているわけで。


ジャンプのすごさもそうだけど、それ以上に

人とイルカたちの信頼関係を肌で感じることのできる、そういう意味で

震えるショーでした。素晴らしい!


まだまだ見どころ満載の、新江ノ島水族館。

次回は水族館のなかにいる生き物たちを紹介できればと。

*その2~蒼の宇宙~はこちら