2014.8 三陸海岸北上 いまをみる 2日目 その2 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

さながら極楽浄土のごとし、とも謳われた宮古の海辺、浄土ヶ浜。

*その1~青の洞窟~はこちら


流紋岩でできた綺麗な白の流線。それが造り出す岩のオブジェ。

入り江の奥深くへ、奥浄土ヶ浜まで歩いてみる。


内海はとても穏やかに、規則正しくさざ波が寄せる。




ウミネコの目線。







浜はごつごつとした大きめの丸石でできていて、

バランスを取りながら水辺へと近づいていく。

海の水は8月にも関わらずこのお天気、少し冷たい。

厚い雲を押し上げ突き破るように、浄土ヶ浜の岩たちは研ぎ澄まされている。


ここにもウミネコたちは親子供かまわずたくさん舞い降りてきて、

浜辺にいた人の子たちと遊ぶ。

恐る恐るえびせんを差し出すと、器用なくちばしでぱくりと掴んで

誰にも取られまいと去っていく。

君たち、自由だなぁ。



見つめる。






浄土ヶ浜の奥には薄い霧の一本線のようなものがかかっていて、

それを目を細めながら興味深そうに、感慨深そうに見つめる一羽。

霧の向こうには何が見えるのか、前なのか先なのか。

そうこうしてる間にも波は静かに寄せる。


晴天のときはこの浜自体が透き通った海の象徴たるエメラルドブルーに

包まれるのですが、曇天は曇天で、岩の勇壮さが際立って良いです。


次に、少し山道を登って、ホテルの近くにある水産科学館へよりみち。

一体どんな展示が…と思っていたのですが、中に入ってみるとすごく楽しめた。

この地、岩手で行われてきた養殖業や漁の仕方の紹介、漁具や舟の展示、

近海に暮らす生き物たちの水槽展示。

特に漁関係の道具、銛とか網とかは、そういえば実物はよく知らないものだったので

壁一面にずらりと掲げられた道具たちをまじまじと見てしまいました。




漁師道具。







自分の身一つで大海に躍り出て、魚を釣り上げてくる漁師さん、かっこよすぎます。

特に三陸は漁業とは切っても切り離せない土地。

自然の摂理に抗うのではなく、寄り添いながら、自分たちが生きるために

必要な分をいただいていくという思想は、大事にしなければ。


そして、宮古といえば、山道の途中にひっそりと佇むこの碑。




宮古海戦。







徳川幕府が政権を天皇に還したあと、明治二年。

旧幕府軍は北上を続け、箱館(今の函館)に拠点を構えます。

これを掃討するため、新政府軍は船団を宮古に置く。

そこに奇襲をかけ、新政府軍の船を奪取しようという作戦が行われたのが、

宮古港海戦。

旧幕府軍には参謀のような立ち位置で、新撰組副長・土方歳三もいました。

土方さんの面影がこんなところにも…彼の生き様は本当にかっこいいです。


さて、ここからは浄土ヶ浜のもうひとつのメインイベント、

みやこ浄土ヶ浜遊覧船に乗り込みます!

入り江の外海に出て、太平洋を少し北へ巡る40分の航路。

つまり、浄土ヶ浜の外側が見られるわけです。


早速船に乗り込んで、外の甲板の一角に張り付き。

船からはウミネコたちに餌やりもできます。

遊覧船って聞くだけでテンション上がる。

いざ出航!!




並走。







徐々にスピードを上げていく船についていくように、

たくさんのウミネコたちが翼を広げて並走していく。

空を華麗に舞う姿は美しく、隣の人が差し出したパンを

指先から器用に掬ってさらっていく様は鳶のようです。

背景には浄土ヶ浜の岩場、様々な形をしていて

外海の荒れた波がざぱんとぶつかって砕ける音が聴こえる。

進むほどに、断崖絶壁、地層がくっきりと見えるようになっていき

地球の太古からの脈動を感じることができます。


こちらは見せ場のひとつ、ローソク岩




火を灯せ。







断崖の合間に、一本だけすっくと立った細長い岩。

どうやってできたのか不思議。

上の方にだけちょこんと緑が乗っていて、なるほど確かにローソクっぽい。


続いて仲良しなつがい岩。




視線合わせて。







夫婦岩と呼ばれている一対の岩です。

横から見ると、なんだか二頭の犬が向かい合って

お互いを見つめているように見えます。

わんわん物語思い出す…

仲睦まじきは良きことかな。


北へ進むにつれて、波の勢いも増していきます。

尖った岩は波に当たられ、攫われ、さらに研ぎ澄まされていく。

遊覧船の先に、波が侵食してできた姉ヶ崎という岩場が見えてくると、折り返しです。




侵食。







海面付近に、丸い穴がいくつか開いている。

波の触手が徐々に徐々に彼らを削って、ここまで追い込んでいるわけです。

水がこの硬い岩を削るというのはにわかに信じがたいですが、そういうこと。

自然には想像を超える凄さがある。


あっという間の遊覧でした。

再びウミネコたちに迎えられながら、元の浄土ヶ浜の入り江に帰ってくる。

ビジターセンターに寄ると、最初のおじさんが「どうだった?」と聞いてくれたので

とても楽しかったしすごかった、と月並みの答えになってしまいましたが

素直な感想を述べると、また来てねと言ってくれました。

こういうのが、実はすごく思い出に残る…

ありがとうございました。


バスの時間まで少しあったので、宮古市街へ向かって山道を足で降りてみることに。

中腹から見えた宮古の港。




いとなみ。







たくさんの漁船が行儀よく並ぶ港。

3年間で、ここまで建て直してきた人の力というものが伝わってくるような。

元通り、というわけにはいかないかもしれないけれど、

当たり前のような日々を少しずつ取り戻そうとする推進力が、ここまで来ているのだと。

もっと色々な場所を見に行きたい、と思いました。


さて、一度宮古駅に戻って、午後はあの三陸鉄道に少し乗ってみます。

*その3~田老・現在地~はこちら