2014.8 三陸海岸北上 いまをみる 2日目 その1 | あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

*1日目~区界箱石~はこちら


夜が明けて、2日目。また曇天。

気温もなかなか上がってこないけど、雨がないのは

この東北の地が、旅人を迎え入れようとしてくれているのかも。


三陸海岸の旅は、岩手県宮古市より。

宮古で一番訪れたかった場所に行きます。


宮古駅からバスに揺られて15分ほど。本当に近い。

その合間の道、まだ工事中を示す柵が張られているのを見ながら…

港を過ぎ、次第に山道を登って、たどり着いたのは浄土ヶ浜




極楽浄土。







5千年以上も前から、流紋岩という火山岩から形成された自然の彫刻が

我も我もと競い共生する、さながら美術館のような景勝地。

白い肌と、青く透き通る海。

「さながら極楽浄土のごとし」とたとえられたことからこの名がついたと言います。

自然にできた湾内は波もなくとても穏やかで、

耳を澄ましても微かな水音が聴こえてくるだけ。

なるほど確かに、優しく包み込んでくれるようなこの感覚は、極楽かもしれない。




海鳥と戯れ。







舘ヶ崎展望台より、眼下の内海を望む。

小型船に乗った人々のまわりに海鳥が集まり、

船の移動に合わせて翼の動きを器用に変える。

こんな姿もまた美しいです。


バスで到着したのは浄土ヶ浜の入口にあったビジターセンター。

センター内にもたくさんの展示物があります。

浄土ヶ浜の自然、形成の歴史、それから震災のあったときの記録。

復興を願う千羽鶴が、入口の壁に何気なく飾られていて、

そこに込められた千の想いを少しでも読み取れたら。


そんなビジターセンターのボランティアのおじさんが、気さくに話しかけてくれて、

東京からよく来てくれた、と言ってくれました。

浄土ヶ浜はこういうルートで回ると良いということも教えてくれたり。

また、震災のときに、もちろんこの地も大きな打撃を受けて

当時あった観光のための歩道や建物はほとんど流され、

浄土ヶ浜自体も瓦礫に埋もれてしまったと。

そこから3年、人の手によって再び美しい浜の姿が戻り、遊歩道や建物も整備された。

3年って、とてもあっという間な気がする。

その間に、どれだけの人が、ここをまた綺麗な土地に戻したいという想いをひとつにして

がんばってきたんだろうか。


だからと言って、「そういうことをかみしめて歩け」ということではなくて、

センターのおじさんも「せっかく来たんだからいろいろ見て、歩いて、楽しんでください」

と言ってくれた。

もちろん、この素晴らしい景観を、存分に堪能したいと思います。


さて、まずは午前中に行っておきたいさっぱ船クルーズ

さっぱ船という小型の船に乗って、湾内を巡ったあと

青の洞窟」と呼ばれる場所へ…

イタリアや沖縄だけじゃない、こんな北の地にもあるのですね!

青好きとしては行かないわけには。。


ということで早速息巻いて船に乗り込み。

ヘルメットをかぶり、鳥のエサだと言ってかっぱえびせんを一袋渡されると

理解しているのか、あれよあれよとウミネコたちが寄ってくる。

別に襲いかかってはこないんですが、待ってることがすごく伝わる(笑)


ちょいちょいえびせん撒きながら、出航!





風見鳥。






こんな風に普通に我が物顔でさっぱ船に乗り込んできますウミネコたち。

ちなみに黒い身体を持つのは子供。怖いもの知らずです。


さっぱ船で海上に切り立つ岩の近くまで連れて行ってくれます。

波で削られたのか、もともとの地層がそうなのか、老獪の皺のように細かく刻まれた

岩の模様は芸術で、荘厳。




松風薫る。







白い岩と緑の松は絵に描いたように緻密で美しい。

近くに来てよく目をこらしてみると、いろいろな形があるのが分かって、

それがともするとある一定の自然の規則に沿っているのかもしれないということが

なんとなく感じられる。


夢中で見ていると、船頭のウミネコたちは飛び立ち、また舞い降りてを繰り返し。




つばさ。







いろんな子が遊びに来てくれます。


さて、岩場を見て回ったあとは、いよいよ引き返して

洞窟のなかへと船は進んでいきます。

入口と言いつつ岩の裂け目の隙間を縫うように、水面を滑るように船は行く。




青への入口。







目線と同じ高さのところまでごつごつした岩が降りてきて、

身をかがめながら洞窟の中に入っていく。

少し風が出てきて、波が立つ。


洞窟内は暗いけど、入口から光が射し込んで、

七色のうちどの色を反射させようかと海が悩んでいる。

この光が射し込むのが、午前中のうちだったわけです。


この日は曇りがちの空だったためか、自分には緑色に近く見えました。




色溜まり。







洞窟内に反響して、色が同じ個所に溜まっているのが分かる。

溜まれば濃く澄んだ色になる。

その凝縮されたエメラルド色が波で揺らぐのを、いつまでも見ていたくなるような。

この色は日や時間帯によって変わるそうです。

違う青を見に、何度でも訪れたい場所。


洞窟から出て、外の世界の眩しさに思わず目を細めると、

油断していたのかなんなのか、頭の上にざくんという衝撃と重みが。

びっくりして声を上げてしまいましたが、どうやらウミネコの一羽が止まっているようだ…。

黄色いヘルメットは狙われやすいようです。気を付けてください笑


だいたいこういういたずら好きは子供ウミネコのようですが、

大人ウミネコは物静かな貫禄というものがある。




啼く。







くちばしを大きく開けて高い声を空に向け放つ。

何を呼んでいるのだろう。

生きることに貪欲な彼らとは、今後もしばらく付き合います。


まだ浄土ヶ浜の楽しみは入口地点。

しばし続く。

*その2~遊覧~はこちら