秋が深まると、やっぱり山に行きたくなります。
涼しくて新鮮な空気を求めに、あるいは木々が冬支度を終える前の
最後の色鮮やかな輝きを目に焼き付けるために。
秋の山はいつも優しく映ります。
ということで、全国でも有数のぶどう・ワインの名産地
山梨県甲州勝沼のぶどう郷を訪れました。
おまけに名前が秀逸な「ほったらかし温泉」つき。
まずは、JR中央線にずっと揺られながら
「勝沼ぶどう郷駅」で下車。
駅からの眺めもとても素晴らしい。
盆地で起伏のあるこの町は、秋になると一面のぶどう畑が
金色に輝きます。
線路に沿って桜の木が植わっていて、
春には花を、秋には赤い葉を届けてくれます。
赤の小道。
運んできてくれた電車がゴトゴトと去ると、
時折下の道を走る車以外には音が聞こえなくなり、静けさが訪れる。
頭上まで赤のカーテンに覆われて、とても心地いい。
残したもの。
落葉もひとつひとつが綺麗に懸命に色づいていて
どれも見逃せません。
駅から少し坂道を下ると、住宅街の中に出ます。
家々の隙間を埋めるように広がるぶどう畑。
下から覗けば、きらきら星が降るような世界。
昼の宇宙。
葉と葉の隙間からこぼれ落ちる太陽の光が星に見えて
まるでひとつの宇宙空間のようです。
ぶどうの実は少し前に収穫されていたようで。
そんなぶどう畑の合間を抜けて、目指すは「ぶどうの丘」。
その名の通り、少し高台に作られた、ワインショップや温泉、レストランなどが揃う
勝沼の心臓です。
駅からいったん下って、また上って。
徒歩20分ほどでぶどうの丘に到着。
木々の紅葉がとても綺麗な場所です。
まず訪れたのは、山梨のあちこちのワイナリーで愛情を注ぎ込まれて造られた
甲州名物のワインを試飲できる、ワイン・カーヴです。
薄暗い地下への階段を降りていくと、ありましたよ
ワインの洞窟が!
Wine Cave.
ワインは直射日光を避けて、室温もそれほど高くならない場所で
保存する必要があるため、このように地下に貯蔵庫が造られることが
多いです。
壁にずらりと並んだ甲州の銘柄。
赤・白・ロゼでコーナーが分かれています。
タートヴァンと呼ばれる専用の試飲容器を購入すれば
ここに保管されているすべてのワインの試飲が自由にできます!
かなり迷ったのですが、これから温泉にも入るし
へべれけになるわけにはいかない…と思い自主規制しました(笑)
写真だけ撮らせてもらいに地下へ。
ワインの王室。
ワイン樽の上に載せられたボトルが
試飲可能なワインです。
壁には種類ごとにたくさんのボトルが規則正しく並び、
ラベルの模様、ボトルの形、栓のマークなどそれぞれに個性があって
それだけでもお気に入りを見つける楽しさがあります。
温かみのある照明の効果もあってか、居並ぶワインは堂々としていて、
とても高貴な王家の一族みたいに見えました。
さらにワインカーヴの中には、ワインの種類や作り方の解説、歴史年表もあって
お酒を飲めない人でも楽しめる、ワインの博物館のような感じです。
宝珠の果実。
光に反射する透明感のあるボトル。
そしてその中に納められた、輝く淡いカラーの液体。
隙間なく積まれたボトルの底は、ぶどうの実がなっているみたいにも見えて。
誘惑に負けてあとでロゼワインを買いました(笑)
口どけがとてもまろやかで飲みやすくて美味しかった!
いったん建物の外へ出て、丘に吹く風を浴びながら
遊歩道を歩いて「星降り岬」へ向かいます。
ここには「希望の鐘」と呼ばれる小さな鐘があって
鳴らすとカランカランと明るい音がします。
そのそばにはこんな像も。
お酒の神様。
ギリシャ神話に出てくるお酒の神様、バッカスです。
何か聞いたことある名前だなと思ったら、
某RPGに「バッカスの酒」という名のアイテムがあったことを思い出し
「これか!」と納得しました(笑)
背景も相まって、なかなかいい表情です。
ここは岬というだけあって、見晴らしも良くとても気持ちがいい場所です。
山に囲まれたこの土地の風土が感じ取れる。
こがねいろの町。
埋め尽くされたぶどう畑は一面の黄金色で、
駅の周りに一直線に咲く赤いラインは桜の木です。
穏やかな秋の午後、穏やかな風景。
ここでのびのび育ったぶどうがあの美味しくてまろやかな
ワインを作り出すのも納得です。
秋の山の景色はやっぱり素晴らしいです、特に色合いが。
次はぶどうの丘に咲く花たちと、
いよいよほったらかし温泉へ。
*その2~ほったらかし~はこちら 。