のどかな牧場に流れる穏やかな時間が、
秋の入口を陽光に包む。
那須・千本松牧場、今回は動物たちから視点を移して
のんびりした景色を。
*その1~動物たち~はこちら 。
千本松牧場は森に囲まれた場所にあります。
動物たちとのふれあい広場を抜けると、
深い木立の中の道に出ます。
優しい木漏れ日。
この日はとてもよく晴れて暖かい一日。
木の幹に透ける木漏れ日が直線的に降り注ぐのが
本当に綺麗でした。
そよ風が木々のあいだを通り抜けてきて、それ以外は静か。
自然に包まれて癒されます。
この森の中の道をまっすぐに進むと、
突然視界が開けて、遥か空の風景に那須岳が。
広い牧場に出ました。
草原。
草はどこか秋色を帯びていて、
風と同じ方向に揺れています。
本当はこのだだっ広い敷地でゆったり過ごす、白黒の牛が見たかった
のですが、ちょうどこの時期口蹄疫?のあれこれがあって
牛を外に放牧できなかったらしく、草原の上には誰もいませんでした。
寂しくもあり、でもそれと同時に素晴らしい景色です。
秋の訪れを感じる、自然のおくりものも。
おとしもの。
ふと下を向けば、まつぼっくりやどんぐり、セミの抜け殻なんかも落ちていて。
地球が回って、季節が前へ進んでいくしるしです。
上だけじゃなく、下を向いても新しい発見ってあるものですね。
そういうのもきっとあると思います。
牧場を一通り眺めて、また森の中の道を歩いていると、
うしろからぱかっぱかっと軽快な蹄の足音が聞こえてきます。
振り向くと、馬の行列がこちらにやってきました。
兵隊さんのように。
馬はとてもゆっくりと、一歩ずつ着実に踏み出していきます。
乗馬している人たちは少し高いところから秋の風を受けて、
みなさん気持ちよさそうでした。
先頭の、おそらく乗馬体験の係員のお兄さんが「こんにちは」と
挨拶をしてくれて、爽やかに去っていきました。かっこいい。
さて、馬の歩にはかないませんが、自分の足でさらにてくてくと
森の中を歩いていきます。
千本松牧場には歴史を感じられる見どころもあって、
そのひとつがこの「松方別邸」。
穏やかに暮らす。
ここの牧場の開設者が、あの松方正義公だそうです。
明治時代に日本の総理大臣も務められた方ですね。
今は別邸内は私有地のため入れませんが、
薄く水色がかった別邸はミニチュアのようにかわいらしくて
内装も見てみたくなりました。
敷地内にはモミジの木があって、
まだ少し時期は早かったのですが、てっぺんの方がほんのり紅に
染まっていました。
秋が来ています。
ほかにも秋が来ているサインが、花です。
アザミの花に、オレンジ色が美しい蝶がとまっていました。
ひらり、ふわり。
この蝶…昔図鑑とかで見たような気がするんですが
名前が分からない…。
タテハ蝶の仲間だと思うんですが。。
それにしても、蝶の飛び方ってとても不安定ですよね。
ふらふらっと風に流されながら飛んでいく、あの軽さ。
やがて一つの花のもとに行きつき、束の間羽根を休ませる姿は
美しいものですね。
松方別邸の向かい側には、昭和天皇が自ら植えたという
大きな松の木がそよいでいます。
百年。
大正12年にお植えになったそうなので
もうすぐ百年?一世紀?…くらい。
一本気で、とても立派な松の木です。
この辺りの森は、広葉樹も多くて
もう少し秋が深まると、紅葉がとても綺麗に楽しめます。
そんな森の中を抜けていく道をたどると、広い草原の上に、
いちごやブルーベリーを育てているビニールハウスが。
そしてその脇には、「足湯」と書かれています。
この草原の真ん中に、足湯があるのも千本松牧場の特徴のひとつ。
だいぶ歩いたので、お湯につかってほっと一息。
床は石が埋まってごつごつしていて、足裏をいい感じに刺激してくれます。
そばには、初秋を彩るコスモスの花が。
空に舞う。
秋空に映える花と、その上を飛んでいく蜂たち。
やはり植物は太陽に向けて伸びる姿がとても好きです。
さて、歩いたらお腹もすいてきたので
ここで千本松牧場の食べ物紹介。
まずは牧場の定番!
牧場の主役。
ソフトクリームですね。定番。
そして牧場のソフトクリームは間違いない。
ミルクの味が濃くて、またこの爽やかな風と緑の中で食べると格別。
甘い幸せが口の中いっぱいに広がります。
さらに、帰りのバスが来るまでの待ち時間のあいだに、
牧場ならではのスイーツも味わってしまいました。
アフタヌーン・ティー。
ミルクレープに紅茶のセットで優雅なティータイムです。幸せ。
ケーキも美味しかったのですが、何より紅茶のミルクが!
濃くて、自然の甘さが滲み出るミルクは紅茶独特の香りと渋みに
よく合います。
美味しくて、大事に大事に飲んでいたらあっという間に時が過ぎました。
たった一日で、さまざまな表情を見せてくれた千本松牧場。
動物たちの笑顔に癒されて、森の中の緑に癒されて、
秋の到来を告げる風景たちが心をそっと包み込んでくれました。
光がとても綺麗に射し込む、いいところです。
見上げれば、東京では見られない広い空。
雲を刷いて、目を奪われる不思議な模様を作り出していました。
天上の模様。
秋の空は一年で一番美しいですね。