Requiem et Reminiscence~鎮魂と再生~(後編) | 空白の瞬間

Requiem et Reminiscence~鎮魂と再生~(後編)

LAST VISUALIVEに向けてのおさらい記事その6いきます。
まだの方は先にこちらに目を通して下さいね。

【1】ソロ始動に繋がるマリスのストーリーおさらい
http://ameblo.jp/xxxxasukaxxxx/entry-12098655456.html

【2】MARS~空からの訪問者~(前編)
http://ameblo.jp/xxxxasukaxxxx/entry-12104129073.html

【3】MARS~空からの訪問者~(後編)
http://ameblo.jp/xxxxasukaxxxx/entry-12115674521.html

【4】Requiem et Reminiscence~鎮魂と再生~(前編)
http://ameblo.jp/xxxxasukaxxxx/entry-12117518897.html

【5】Requiem et Reminiscence~鎮魂と再生~(中編)
http://ameblo.jp/xxxxasukaxxxx/entry-12123315630.html



marmalade

『絵夢』の「突然の出会いへの心からの喜び」をイメージした曲だと思います。

物語上は亡きエレナと過ごした日々の思い出
Gacktさんにとってはマリス加入当時の思い出。
ママレードが甘くて少し苦いことから
「胸を締め付ける苦しさは伴うけど、とても幸せな日々だった」というタイトル。

マリスの初代ボーカル脱退後
Mana様は知人からGacktさんの当時のバンドのデモテープを渡されて
「この声は…!」と興味を持って電話をかけたのが始まり。
実際会ってみようよって話になって、Gacktさんはこの為に大阪から上京します。

現れたGacktさんは真っ赤のスポーツカーで、紫のスーツにオールバック姿。
Mana様はそのセンスにひいたそうです(笑)。
一緒にラーメンを食べたけど、あまり美味しくなかったそう。
でもGacktさんは店主の目を見て「ご馳走様、美味しかったよ…」と甘い声で告げ
Mana様はそれに魅せられて「この人しかいない!」と即決したとのこと。

「ご馳走様、美味しかったよ…」は他のメンバーたちにも衝撃を与え
「今まで周りにいない新手の人種だwww」と皆でツボにハマっていました。
このGacktさんの物真似はメジャーデビュー後もマリス内で流行り続け、皆の笑いのネタでした。
「もーやめてよー(笑)」なんて言って皆の冷やかしを恥ずかしがってたGacktさん。

前ボーカルはステージでの演劇要素に難色を示して
もっとシンプルなロックバンドがやりたいと脱退していったので
次のボーカルもそれを嫌がる人だったらどうしようと不安に思っていたマリス。
対するGacktさんは何の抵抗も示さず
「僕ならステージを飛びたい」と期待以上の答えをくれて、大歓迎されたというわけです。

Gacktさんは元々ドラマーでしたが
負けず嫌い根性を煽られてマリス前のバンドでボーカリストに転身したものの
高音が流行していた当時は自分の低い声がコンプレックスだったそうです。
しかしマリスメンバーたちは最初からずっと絶賛していました。
求めていたのはこの声だ!と。
そりゃあGacktさんも嬉しいに決まってますよね(笑)。

そんな歓迎にシンクロする「手招きをされている」かのような虹の景色。
「坂道をワクワクしてスピードを上げた」も
楽しみながら飛躍していくバンド活動の比喩だろうなと思います。

それは「カラフルに過ぎる(色鮮やかな)毎日」でした。

そんな景色の中で見つけた「貴方」=ファンに
出会ったあの日から今日までずっと
あふれる想いを曲に乗せて届けてきたし、これからも届けたい。
『ma cherie』はメジャーデビューするにあたってファンへの感謝の想いを形にしたそうで
『Dears』に匹敵する「愛しいファンへ」という曲です。

「無重力な関係」になってしまった今は心を動かすようなことは「何も言えないけど」
「今はこのまま(触れ合わないまま)で」も我慢するから
せめて側で「見つめていたくて」。

「たった一度だけの出逢い」に対して一度別れて全て「終わらないように」
「また出逢えるかな…」
『Sayonara』を告げられたGacktさんは、言わばミゼラーへの「片思い」状態。

「どんなにさがしても貴方は」動いているMALICE MIZERの僕を「みつけられなくて」
本当の楽園が「みつからなくて」満たされないうちは
きっと君も旅を続けるんだろう。

「ずっと上をむいてた」=「貴方は宇宙を見上げたまま」

お互いに「独りきり」の、マリスへの還り道。
今は別の道を歩いていても、向かう先が一緒ならば
僕を求めてくれる可能性がまだある気がして「少しうれしくて」。



君のためにできること

この曲をRRの世界にあてはめるとしたら、エレナ目線の曲。
自分が亡き後、悲しむ恋人の側で風になって「そばにいる」のかなと。

ただ、一人称が「僕」だったりPVでの配役を考えると
裏の意味を全面に押し出している印象を受けます。
雑誌でもこの曲は自分の感情が表れていると発言していました。

うたばんに出た時「どんな曲ですか?」という質問に「ラブソングですね」と即答しましたが
世間一般がイメージする恋模様ではなく、ファンへの想い。
『mamalade』でも「片思い」という単語が出てきますが
Gacktさんはファンとの関係を「遠距離恋愛のようだ」と言っていました。


「皆のために僕ができること」

これは『Mizerable』制作前後の発言で
その時の想いを、MARSツアーを経た上で改めて曲にしたものだと思われます。
当時の発言を文脈が変わらない程度にまとめてみました。

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ずっと謝らなきゃと思ってた
これからの俺は(マリスメンバーと)道が別れてしまって…
メンバーの間のトラブルに皆を巻き込んでしまって…
傷つけてしまってごめんね
皆と連絡を取りたかったけど、中途半端な発言で皆を混乱させたくなくて…
心配かけてごめんね

(失踪と脱退について報じた)週刊誌の内容に関しては、否定も肯定もしません
今まで語らなかった想いは
全て作品の中に詰め込んで皆に届けたいと思います

俺が出来るのは、出来事を言葉で説明するんじゃなくて
作品やステージの中で世界を作って皆を待つことだと思ってる

だからステージの上で待ってる
ライヴで待ってる
「おかえり」って、皆の帰る場所を用意して待ってる

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私がソロ曲にマリスの想いを感じるのはこの時の発言があったからでした。
自分の想いとリンクさせた物語を作って表現しているんだろうって。

歌詞の中では「そばにいる」ことが「君のためにできること」として挙げられていますが
アーティストとファンである関係上の「そばにいる」は
ライヴ活動を続けて会える場所を作ってくれることになるんですね。


『Rebirth』というアルバムは
離れていくファンをを強く意識した作品でした。
そんな背景を踏まえて、この曲が作られた意味とは。

「このまま消えるのは許さない」と「僕のつかんだ手を振りほどいて」
「別れもすませたはず」の君がまだ「哀しみに」泣いているのを
「塞がれた雲の隙間から」見ていた。

「あどけない笑顔(だったの)に」曇った表情を見せた「君に涙の理由を聞けなくて」
「小さくふるえてる君に」「そっと背中越しに(こっちを向いてくれないまま)声をかけた」

"もう大丈夫だよ"
「痛みなどないから」「怖くはないから」「望み通りに叶えてあげるから」

「涙の理由を聞けなくて」と言うのは会話が成立していない描写。
『uncertain memory』には「交わした言葉の数だけ罪が消える」とあり
その1歩が『Illness Illusion』の「今想いのままに」「語り続ける」という
Gacktさんからの想いの発信でした。

「君」が前を向いて言葉を発するようになったら
「異なる追憶」を作らず、絆を確かめ合っていけるのかな。
それが罪が消えることになるのかな。

この「望み通り」はマリス復帰の確約という意味ではなく
路頭に迷ったファンの「魂の回収」をして
皆が帰る場所を用意して待ってることです。

手にした笑顔の数(今の活動を楽しんでくれているファンの数)より
涙(傷付けた人の数)は多いかもしれないけど
帰りたくなったらいつでも受けとめてあげるから
その涙が消えるように僕は君を笑顔にするために頑張るから
「ツイテオイデ…」=ライヴにおいで、と。

つまり、残ってくれたファンに対しては勿論のこと
離れていったファンにも「ここで待ってるよ」と帰る場所を提示してる気がします。
それがGacktさんにとっての「ラブソング」=愛を込めた歌です。


この曲のPVのメイン撮影場所はソファと窓が映っていますが
『au revoir』PVのGacktさんのシーンと似てるというのが第一印象でした。



『au revoir』は大切な人との別れから少し時間が経過して
「優しい記憶に変わった(怒りや嘆きなどの激情が落ち着いた)今も」
やはり恋しくて側にいて欲しいと感じている曲です。

窓から外を眺め、いなくなった彼女に想いを馳せていたであろうシーンも
この曲ではGacktさんと女性が同じように窓の外を眺めていて
『Sayonara』した後、互いに抱いている損失感を表現しています。
『au revoir』の主人公がGacktさんとミゼラーにそれぞれ置き換えられたんですね。



「やはり恋しくて側にいて欲しい」という想いに対する
「そばにいる それが僕の君のためにできること」に繋がります。


Gacktさんの体が透明化するので『Secret Garden』の幽霊の設定が続いているよう。



階段ですれ違い、触れ合いはしないものの女性が振り向くシーン。
視線を感じたGacktさんも振り返りますが言葉は交わしません。
近くにいるのに「無重力な関係」。
「僕の姿が見えますか」という『Cube』の歌詞に沿ったもので
「閉ざされたこの世界」を意味する1つ屋根の下というロケーションだと思います。




この曲のジャケットは『Secret Garden』の顔部分をズームしたような構図。



そっと守りたかった秘密の楽園の鍵を解放して
現実を見た上で頭に浮かんだことが
『君のためにできること』をしよう、という決意のように思えます。
哀しさと孤独の上にある「僕が君を守ってみせる」という発言。

「亡くなった人のために出来ることは、忘れないこと」
「彼のやりたかった夢を叶えること」

Kamiくんへのそんな想いも含まれていると思います。
カラコンと背景と花束、全て紫色です。



「いつまでも変わらないで側にいて」という想いは
肉体を失ったKamiくんに向けて「見守っていて欲しい」という意味もあると思います。



再会~Story~

再会を願い、これまでのStory=走馬灯を見ているというタイトル。

この曲だけLast Missionとして区切られているので
どんなStoryだったのか、ここまでの流れをおさらい。

■1st(サイボーグ)
『4th...』 サイボーグ覚醒
『NINE SPIRAL』 エレナが殺された記憶が蘇る
『Maria』 教会で懺悔
『seven』 エレナの気持ちを考え、忘れてはいけないと思い直す
『uncontrol』 軍からの脱走
『Sayonara』 現世への別れを決意

■2nd(魂が離脱)
『Secret Garden』 背中にナイフを刺す
『Kalmia』 空へ舞い上がる
『Cube』 爆破
『鶺鴒~sekirey~』 体が土に還る

■3rd(人間時代)
『U+K』 私の死に悲しまないでというエレナの願い
『Mirror』 側にいて欲しい人がいないことへの嘆き
『Papa lapped a pap lopped』 抱いていた時の思い出
『mamalade』 出会った頃のトキメキの回想
『君のためにできること』 いつも側にいるわというエレナの想い

表の意味と裏の意味を分けて書くのが難しいので
以下混ぜながらの解説。

この曲は元々ソロ始動1作品目の『Mizerable』にインスト曲として収録されたもので
最初は『Story』というタイトルでした。
何を歌詞にしたらいいのか明確に見えなくて、音だけにしたそうです。
表も裏も同様にStory=走馬灯、マリス時代の思い出を意味するとして
その走馬灯を胸にこれからどうしたいのか、その頃は見えてなかったんだと思います。
「wa ta si ni a su wa a ru no」なんて言ってたくらい今でいっぱいいっぱいだった頃。

このシングルリリースの9ヵ月前に
3期MALICE MIZERが始動し『再会の血と薔薇』という曲をリリースしました。
偶然かもしれませんが、リンクさせてきたようにも思えるタイミング。
どちらも好きなファンの間では
「マリスの再会」「Gacktの再会」と呼ばないと区別出来ない同じ名前でした。

マリスが提示した再会の意味は
メンバーとファンの再会、Kamiくんとの再会
死者を蘇らせる物語上では死者との再会という「3つの再会」だと説明されました。
その中にGacktさんは含まれません。

疎外感を感じなかったわけがないと思うんですよね。
自業自得かもしれないし、こうなって当然かもしれないけど
Gacktさんだってその再会に参加したかった筈。
勿論元々Gacktさんにもその発想があったとは思いますが
私には、これに触発されてつけたタイトルのように思えました。


『Kalmia』の「螺旋」も、ツアータイトルの「終焉」も
マリス時代のツアータイトルに使われた単語でした。
物語や歌詞の意味が分からなくてもミゼラーならハッとさせられるワード。
『Mizerable』のsをzに変えたタイトル然り
マリスとの繋がりを感じさせる意図的な戦略だと思います。

「マリス時代と同じことをやるなら脱退した意味がない」
という価値観を持つ人が多かった当時。
「ソロはマリスとは別物」であり、区切ろうとする価値観が溢れていました。
そんな中でのマリスを感じさせるワードは認識を覆す威力があります。

マリス時代のツアーを軽く説明しますね。

全国TOUR '97「Pays de merveilles ~空白の瞬間の中で~」
フランス語の意味は不思議の国。
アリスの物語をモチーフに死後の世界に踏み込みます。

東名阪TOUR '97「Ville de merveilles 透明の螺旋」
Villeは都市という意味で、国よりも詳細に迫った印象。
螺旋は生命が繰り返されるという意味で輪廻の象徴とされます。

TOUR '98「merveilles ~終焉と帰趨~」
終焉=命の終わり、帰趨=最終的に行き着くところ。
生まれ変わる必要がなくなって輪廻転生を終えた魂の消滅を意味します。

でも、帰趨する筈だった魂が再び転生しちゃって
ソロ活動での「空からの訪問者」に繋がる流れ。

『Mizerable』のライヴバージョンでは音源化されていない歌詞があります。

「光の合図、微かな声、遠い音…
 誰に囁いているの?私…?私の順番はもう少し後だよ…」

光は魂の消滅=帰趨を意味すると解釈します。
微かな声と遠い音は現世から聞こえてくるもの。
現世に思い残すことがあるから
まだ光に包まれて消えるわけにはいかないという意味だと思います。

「微かな光に呼び覚まされて 儚い夢の記憶と消えそうな声」

『再会~story~』と『Mizerable』の歌いだしは同じこと。
光の中へ行くか、微かに残る現世の記憶をたぐり寄せるか選択に迫れられます。

つまりこの曲は命を引きとる直前に見る走馬灯ではなくて
生まれ変わるか生まれ変わらないかを決める為に
「生前の思い出」を回想しているんだと思います。
魂が生まれ変わるか否かはまさに『Le ciel~空白の彼方へ~』の世界。

そのリンクはパッケージでも表現されていました。
『Mizerable』のシングルボックスを開いたところに広がる景色の写真は
『Le ciel~空白の彼方へ~』の初回版を広げた絵に似ています。



『Story』に歌が乗ったバージョンの初披露は
MARSツアーのファイナル横浜アリーナ。
ライヴのエンドロールのBGMとして無人のステージに流されました。



迷路のような道を進む映像で、最後に上から映され
「Gackt」の文字の中を彷徨っていたという種明かし。
あなたが探してるGacktは、今あなたのいる場所ですよというメッセージだと思いました。



『Mizerable』のシングルボックスの裏面も少し模様は違うものの青緑色の石。
やはり繋がりを主張している気がします。



更にRRの中では全貌が明らかになり、墓石と分かりました。
ここまでの流れが全て繋がります。



そしてPVの映像は『エーゲ~過ぎ去りし風と共に~』の歌詞そのもの。

「部屋に響く映写機の回る音 古いフィルムの中だけで微笑ってる君」

この歌詞を知ってる人が見たらピンとくる映像だと思います。
マリスでやってた物語の続きを今も紡いでいるんだって。
Gacktさんは「彼の果たせなかった夢を叶える」という意味も含めて作ったでしょうね。
そんなたくさんのマリスからのリンクを表現したのも
これがStory=走馬灯だからだと思います。


それらを踏まえた上で歌詞の続きを見ていきます。

「遠ざかる過去」には「今では見えない」「側で微笑う…君が」いた。
消えてしまったファンがかつては笑顔で自分の応援をしてくれていた描写。

「誰よりも深く僕に触れたその眼差し」というのは
『NINE SPIRAL』で「気まぐれ少女の模様替え」に翻弄されていたことを考えると
「あなたのことが大好きです」とか「一生ついていきます」というファンの言葉だと思います。
一生を捧げる言葉って深いし重いですよね。

Mizerableインストで「ファンに恋したことはありますか?」と聞いたら
「ライブ中にステージから皆を見ていたらすごく目が魅力的な女の子がいて
 会場にはたくさんの人がいるのに惹きつけられてその子だけはすぐに見つけ出せた」
なんて話を聞かせてくれたので、Gacktさんの中にはその「眼差し」のイメージもあるかと。

『mamalade』に描かれた「奇跡のようなあの出会いも」
「喜劇のように」心から笑ってしまう程楽しかったマリスの活動を「分かち合うことの喜びも」
「消えてゆく」

先日『異端審問』を読み返していたら
「コメディは心から笑うこと」という定義が語られていて
自分にはそれが出来ないのだと言っていました。
でも失ったものとして振り返ると、本当は心から楽しかったんだって実感した
そんな描写なんじゃないかと思います。

「まるで昨日のことのように覚えているよ」のところで
PVでは彼女と手を重ねてピアノを弾く光景が映ります。



ジャケットもピアノがモチーフになっていますが
マリスのメンバーと一緒に音を出していた思い出に重ねているんだと思います。
女の子がいなくなった写真は「もう一緒に演奏が出来なくなった」
「側でその音を聴くことは出来なくなった」という構図。



「二人の面影さえも置き去りにして消えてゆく」は
『Asrun Dream』にも出てきました。
「側にいたかもしれないという影だけを残して」
「その影も少しずつ音も立てず静かに消えてゆく」

つまり「記憶が消えたら、関わった事実もなくなってしまう気がする」ということ。

そんな「薄れてゆく記憶の中で」
側にいたことを何かに残したくて、消えてしまうのはあまりに寂しく感じたGacktさんは
「声がなくなるまで」「君の名を」「叫び続ける」ことで抵抗します。

これも『Bois de merveilles』の歌詞にリンクしています。
死んだ少女の意向を無視して
独断で転生させた空に宿る主(ルシエルPVのGacktさん)が
空の掟にそむいた罪を描いた曲です。

「許してもらえるまで私は歌い続ける この声がなくなるまで」

皮肉にも物語の中に吸い込まれたかのような現実世界のGacktさんの立場。
当時はそんな意図なかった筈なのに、見事に歌詞と一致しています。

「人はいったい何処からきて何処へゆくのだろう」は
誰でも1度は考えたことのある魂の理論が表の意味ですが
裏の意味は「目の前に現れては消え」のことを指すと思います。
言い換えるなら「皆は僕の何が気に入って側に来て、何が嫌で離れていくんだろう」。

そうして痛みを知ったGacktさんには守りたいものが出来ました。
自分のせいで泣かせてしまった「うつむいて震える君」を
「夢の中」からこの「腕の中」に取り戻すことで「守りたい」のだと強く自覚します。

「もう少しで僕は消えるけど」は
表の意味は「生まれ変わったら今の記憶も人格も消えてしまうけど」
この記憶も関わったことも手放したくないという意思。

裏の意味は『Secret Garden』の「もう君の中で消えてしまうけど」のことで
「自分と一緒にいることを楽しいと感じる感覚」がなくなって
離れてしまうファンの心境を意味します。
歌い出しの「儚い夢の記憶と消えそうな声」の「消えそうな声」も
「僕を応援してくれる声が消えそう」という意味だと思います。

この流れのままだったら全てが消えてしまうと感じた中で
「離したくはない」「僕は忘れない」と確信して強く意思を持つところで
この物語は終わります。

ハッピーエンドの「再会」が訪れたわけではなく、その前の段階で終了し
結末は聴いた人の想像に委ねます方式。

このRR物語に描かれた「Gacktとエレナ」という恋人たちは
『ヴェル・エール』の無声映画の「ヒーローとヒロイン」の生まれ変わりであり
更には『月下の夜想曲』の「ピエロの人形とフランス人形」の生まれ変わりでした。



月下との繋がりは歌詞には描いてないのに
こんなに分かりやすいビジュアルアピールをするなんて
マリスで描いてたお話の続きだって分かって欲しかったんだろうなぁと思います。
深く考察をしない人にも届くように。



ミゼラーが愛した世界はここにあるよって。

見たかった世界の続きを作って待ってるから
「望み通りに叶えてあげるからそばにおいで」って。