∋育個体数(持帰り数の制限)

8月以降の採集メインシーズンとなりますと、ナミチョウ・トゲチョウ・フウライの3種を主体に多くのチョウチョウウオが採集出来るようになりますが、採れるだけ採って、その全てを持ち帰る場面を見掛けます。
受入れ態勢が整っている水槽でも、同一種を何匹も持ち帰ったとしても生存率を維持する飼育をおこなうことはできません。同一種同士は相手を激しく牽制し合い、弱者は虐めによってストレスが蓄積し、やがて死んでしまうのが現状ですので、たとえ沢山の固体が採集できたとしても、責任をもって飼育できる数だけを持ち帰ることが採集家の基本行為です。
次に持ち帰った後の飼育についてキャパシティ(濾過能力)の不充分な水槽に複数の隔離ケースをぶら下げて餌付けをおこなっている場面を見掛けますが、この飼育行為は適切ではなく、ベテラン採集家の大半は餌付け専用の別水槽を完備し、隔離ケースというものは使用していません。(ただ単に経験が長いだけの採集家を除く)
但し、餌付け専用水槽と称しても、単層型の水槽に同一種を何匹も投入しているケースを見掛けますが、これも正しい飼育ではありません。
採集直後は平穏に馴染んでいる様に見えますが、日時の経過と共に優劣がハッキリし、虐めによって弱者が死に至り、最終的には1種1匹が形成されてしまいます。
私の経験上では、固体採集時期が1年異なる固体の大きさに差がある固体同士の同居であったとしても、同居開始後約2年を経過した頃の体型に差が生じなくなった段階で激しく喧嘩が始まります。
また、単層型水槽が餌付け行為に不適切である理由として、異種複数の餌付けを同時に行なったとしても、固体毎に餌付けの進捗度が異なる為、必ず餌付けの進捗に差が生じてしまいます。
餌付け行為を進捗度の早い固体に合わせて次のステップに進めてしまっても、次点の段階に到達していない固体は採餌できずに痩せ細り死に至ります。
これとは逆に餌付けの進捗度が遅い固体に合わせてしまうと、食感が固定化され次のステップに移行できない場面が生じてしまいます。
その為、餌付けに最適な水槽とは、複数に区分けされたスペースを完備し、常時固体毎の餌付け進捗度に見合った餌付けをおこなえる形状が必需なのです。