散歩に出た。
目黒駅西口から、権之助坂を進み目黒通りを等々力方面へともくもくと進む。
蒸し暑さが絡みつく。
すえた匂いの目黒川の橋を渡り、山手通りを過ぎ、大鳥神社の向こう、目黒高校との間に目黒寄生虫館がある。
大好きなスポットだ。
現在オンラインで事前予約が必要とのこと。
がっかりしながら後にする。
いつかまた。
学芸大学駅まで行こうか。
五本木のあのラーメン屋は空いているのかな?
昔「カムイ外伝」を読んでいて、その中のエピソードの一つ「五ツ」に非常に心を揺さぶられた。
これは間接的に差別全般に対するアンチテーゼを示唆した内容で、その冒頭部分に手足が合計5本あるカエルが出てくる。
明らかに異質なので、面白がられて、そのカエルは子供たちにとらわれていじめられる。
それを抜け人がお金を子供たちに与えて解放させる。
「普通とされるものでなくても、出る杭であったとしても、叩かれても、強く生きろ」と、いうメッセージが胸を打つ。
その理由は最後に明かされる...。
そういうエピソードだった。
1980年代頃から、あちこちで足が通常よりも多い、カエルやサンショウウオが沢山見つかり始めて、現在、手足が多くあるカエルは、実は割とたくさん存在している。
1995年にはミネソタ州ヘンダーソンの池で、後ろ足の全くないカエル、胃から大量の足が生えているカエル、そして目が見えなくなっているカエル等々が大量に発見されもした。
一か所に何匹もの奇形が存在している光景は、今までにはあまり報告されてこなかったようで、全米で話題になったが、当初、この原因と考えられていたのが大量の農薬だった。
しかし、のちに大量奇形の原因は、実は寄生虫・リベイロイアではないかとの説が浮上したという。
現在も原因ははっきりとはわかっていないそうだが、リベイロイアの可能性はゼロではないということだけはいえるという。
では、リベイロイアとは何者?
扁形動物の一種で、循環器官や特別な呼吸器官を持っていない。血管やエラなどはなく、体に栄養や酸素を運ぶのは拡散に頼っている。
脳や触覚器などの機能は退化。無性生殖、有性生殖のどちらも行うことができ、増殖力や再生能力も高い。
この生き物は3種類の生物の体を転々とする。
まず一番最初はカタツムリの体内で無性生殖で数を爆発的に増やす。
次にウシガエルのオタマジャクシの皮膚を食いちぎり、体内に侵入し、ウシガエルが変態していく過程で、ウシガエルの足に被のうと言われる組織を作り出す。
このことによって、ウシガエルの後ろ足は4本だったり、6本だったり、もしくは生えてこない奇形が生まれる。
奇形になったウシガエルはもちろん上手に動くことが出来ず、虚弱で、当然、捕食されやすくなってしまう。
そう、捕食されやすくなるようにプログラムを改ざんして奇形を作り出すのである。
見慣れたもの、普通といわれるものと違うこと、は目立つのだ。
目立つから攻撃を受けやすくなる。
捕食されやすくなる。
そういう摂理をうまく利用しているのだ。
最後にカエルの捕食者であるサギでの体内で今度は有性生殖を行い、卵は糞として水に帰り、再びカタツムリの体内に寄生するという循環を繰り返すのである。