87初恋
中学生になった純が、れいちゃんと恋に落ちる話。
ふたりで東京の定時制高校へ通うことを夢見るが、結局、れいちゃんの家は借金を抱え夜逃げをすることになり、純はひとりで東京へ。
純は、よくはしごを外されるな。ハードボイルドすぎるぜ。
東京へ向かう長距離トラックの中で泥の付いた1万円札を古尾谷雅人演じる運転手に突き返されるシーンは「北の国から」の忘れられない名場面のひとつ。
ラストの本のちょい役で、ほぼ持ってゆく古尾谷正人、恐るべし。
あと、やはり「古本新之輔」につきる。
ここにも出てるかって感じで。ホッとする。
角田英介も加えてほしかったな。
矢野泰二は1989 帰郷に出ていた。
チンタ役の子は「ざわざわ下北沢」に出てましたね。」
卒業式が終わったら、札幌の天窓のある喫茶店にふたりで行こうと、純と雪道を並んで歩きながら提案するツーショットシーン。最強の美しさだ。
「天窓のある喫茶店」はこの後、再会を果たした純とれいちゃんのシーンにおいて重要なアイテムと相成る。
その他、すごい演出がある。約束のクリスマスイブの夜、純が見た雪に残った彼女の足跡のシーンだ。
「その足跡は一回止まり、あきらかに納屋の方を振り向いていたと思われ・・・」
足跡が感動的な演技をしている。
涙が止まらない。
そしてこの回での五郎と純のすれちがい、というか、かみ合わないもどかしさ。
例えば、純は良かれと思って父の誕生日に風力発電を作る。しかしだ、五郎は東京行きを自分に隠された事にまず腹を立ててしまい、空気も読まずに親子喧嘩を仕掛ける。
そして純にぶっ飛ばされてしまう。
風力発電をプレゼントなんて、最強だぜ。
なんでそんな日に、怒っちゃうんだ。
次の日でもよかろう。
尺の関係か。
純は純なりに親父に喜んでほしかっただけなのにと涙ながらに訴える。
痛々しい。そして悲しすぎる。
純は、五郎が困るからと遠慮して東京行きの事を隠していた。
そしてまた近頃、五郎が自分に対してなにかと遠慮する事について、傷ついてもいた。
しかし一方の五郎の方もまた、純に対してどことなく遠慮していた。
思春期の難しさだ。
「いまの純が何考えるかよくわからない」と相談するシーンもある。冒頭で、「ノーマン」鶴田忍の先生に、そういう悩みを打ち明けている。
お互いの事をわかりたいけど、うまくやりたいけど、見えるものや考えが異なるが故に、結局必然的にすれ違ってしまう。
「すれちがい」「かけちがい」「かみあわない」。
この回の大きなテーマなのではなかろうか。
尾崎の歌も、そういうすれ違いを、やさしく癒すように歌っているものだったりする。
89帰郷
大事な泥の付いた1万円札を取り戻すために傷害事件を起こしてしまう純。そして、せっかく手に入れたバイクは盗難車だった。
東京で何もかもがうまくいかなくなり、思わず富良野に帰省した。
五郎の風呂を沸かしていると、突然、蛍が「れいちゃんから純君へと言うメッセージとともに、ラジオで尾崎の曲がかかっている」ことを大急ぎで純に告げに来る。
あのシーンは一番印象深い。
また、純が五郎に、東京で職を3回も変えたことを告白しても、「俺は職を七へん変えた、家系だ、気にするな」なんて、とても暖かく純を肯定。
大きな人だ。
ちなみに自分も何べんも職を変えたんだ、純、五郎さん。
うちも家系であると思われ。
円山公園の東側にある喫茶店「可否茶館(かひさかん)・円山店」。
正確には「あった」。
札幌市内を始め、小樽や千歳などにも店舗があったそうだ。
今はもうないそうだ。
消息の分からなかった大里れいが、かって語っていた「天窓のある喫茶店」である。
れいと再会した純は、2階の天窓のあるスペースでお茶する。
夜のそのシーンは、かなりロマンチックなシーンだったが、実際は隣がお寺で、昼間は天窓からはお寺のお墓群が見えたとのことwww。
2階はその後、閉店まで、事務所になっていたそう。
蛍が勇次君と出会い、ファーストキスをする。
蛍の彼氏を一目見ようと先回りなんかして隠れる純と五郎。
悪友に近い顔になってて観ていてほっこりとさせられる。
しかも五郎さんが毎晩隠れて勇次君を見ていたことを、とっくに蛍のほうは気づいていたというオチまである。
ただ、その日は蛍と勇次君の別れの晩だった。
酸っぱいしょっぱい。
後、純に暴行される水谷役の水上功治さん。いつも嫌味なチンピラ役でいい味を出します。
「ふぞろいの林檎たち」でも嫌味な御曹司・佐竹を演じていた。
元ミスタースリムカンパニー。
レコードも出している。
ほんまに嫌味だぜ。
「ふぞろい...」では打ち上げにて「今回はつまらなかったすね」と言い放ち、山田太一の怒りを買い、以降降板。