ここ2年あまり行われている、統合型地域包括支援センターへの一部議員(実質一人)の中傷事案を中心として、和光市政で現在起きていることについて、公益の観点から背景を説明します。
このセンターがオープンしたのは平成30年5月1日です。
(先般逮捕された和光市元部長に、今でいう地域包括ケアの重層的支援体制整備を私が指示したのが平成29年の春から夏ごろのことでした。)
元部長が在職中に事業化は進みましたが、平成30年4月から元部長は教育委員会へ異動という人事を実施しました。これは、職員から元部長のパワハラを受けている、という申告があり、調査を行ったものの、具体的な事実関係の認定ができなかったためです。事実認定ができなかった理由は、被害を申告した職員が全員、具体的な証言を固辞したことによります。
訴訟リスクの観点から、いきなり懲戒処分とはせず、まず人事異動を行い、経過観察を行うことにしたものです(これを市議会の百条委員会は顧問弁護士に事実関係のヒアリングを行わないまま「パワハラを放置した」と断定しました。調査を十分に行わない非常識さに驚きました。放置などなかったのですが、被害を訴えた職員は、自分たちが一切リスクを負わずに、市の100%リスク負担で処理することを望んでいたために、上記の処理を不満に思ったようです。このような無責任体質が一部の職員にはあります)。
市の統合型センター担当はその後、平成31年4月に課長などの体制を一新しました。
同年(=令和元年)5月、課長ら担当者はセンター側に「統合型地域包括センターが機能をはたしていない」という指摘をしたそうです(市長としては、当時その指摘をした事実は当該職員当人からの報告もなく不知)。
また、後(令和3年5月ヒアリングで保健師が説明。このヒアリング以前はこの説明は不知)に担当保健師からは統合型センターの法人側の書類の不備などが多く非常に迷惑していた、という説明がありました。なお、このヒアリングを当該保健師はパワハラであると議会に説明したが、当該保健師に後で述べる職務命令違反事案とその後の問題に関して実施したものです。
6月7日にはセンター側から「統合型の継続は困難」との意思表明があったそうです(市長にはしばらく報告されず)。
6月14日には元部長が逮捕されました。
この後、統合型センターの市の担当管理職・担当者から、統合型センターはうまく行っておらず、撤退したがっている、という説明が私にありました(夏ごろだったとは記憶しています)。元部長の逮捕で市としては混迷を極めていた時期です。
7月には運営法人から書面で撤退の意思表明が行われました。この頃から、センターの運営法人は市の担当者の事業への理解のなさを踏まえて事業継続は困難と考え、統合型を引き継ぎうる法人を探す作業を行ったものの、適切な法人が見つからなかった、と後に法人側から知らされました。
12月には、運営法人から撤退の意思表明が撤回されました(職員から私へは撤退撤回の意思表明があったとの報告なし)。
令和2年1月、統合型センターの高齢者事案のケアプラン作成件数が他地区と比較して少なく、ケアプランの改善率が悪い、という市の担当課長の指摘があり、センターの職員を名指ししてセンター長の人事に具体的に介入する発言をした、と法人側は指摘しています。
一方で、私にはこの点の報告は職員からはありませんでした。
2月20日、私には無断で市の担当職員が統合型センターの終了に関する打診を法人側にしました。具体的には高齢部門、生活困窮部門を切り離し、別の法人に委ねたい、というものです。
その後、私には「統合型の運営法人が撤退するので、あとの体制を考えている。統合型センターは連携型の運営に移行して重層支援に取り組みたい」という説明がありました。
私としては運営できないものは仕方がないので、事業としてはいわゆる先祖返りだが、仕方がないだろう、と考え、その説明を追認しました。
この時点で、私は法人の撤退の意思は自発的なものであり、その意思は固いと受け止めていました。当時、当該職員は「運営法人は統合型の運営がうまく行かず撤退したがっている。施設は市(役所)に寄付して撤退する」と私に報告していました。
また、この間、統合型地域包括支援センターは重要政策であることから、私は現地視察をしたいと何度もリクエストしましたが、担当は言を左右にして日程調整を行わず、結果的に一度も視察は実現しませんでした。
4月1日付の市の定例人事異動内示(3月の議会終了後)の後に、統合型の運営法人の理事長が市役所に来所された際に市長室に立ち寄り、市長(私)と面会し、統合型の運営状況(苦戦しているも、成果が出ていないわけではないこと、私が受けている報告は現場の実態を反映していない、ということ)と職員による追い出し工作について知らされました。
この事実関係を踏まえて、統合型の運営法人が市に施設を寄付して撤退、という状況になった場合、統合型の運営法人からの訴訟リスク(市職員による不当な行為に関するもの)が当然のことながら発生すること、また、勝手に行われた理不尽な追い出し工作に結果的に加担することになる、ということを踏まえ、対応を検討しました。
事実関係を知っていない状況であれば、そのまま運営法人の移管を行うことになったと思われますが、事の真相を知ってしまった以上、職員の職責を無視した行為を是認し、不当な事業者への行為に加担するわけにはいかず、運営法人の移管は中止するとともに、当該職員を一般的な人事異動内示期の後ではあるが、やむなく異動させることにしました。
その後、同年の6月定例会で市役所職員出身の富沢勝広議員がこの人事異動を指して、市長はパワハラをしていると言われても仕方がない、という趣旨の一般質問を行いました(議事録に載っています)。富沢勝広議員が職員に言われて質問を行ったのか、あるいは自らの意思で質問を行ったのかは不明です。
その後、出所は不明ですが、元部長が起こした事件の関連情報が市内部の調査に報告されるのではなく富沢勝広議員の知るところとなり、富沢勝広議員が、私たち執行部が事実関係を知る前に市議会の一般質問で追及する、ということが同じ6月議会で行われました。
また、安保議員は、統合型は成果が出ておらず、統合型センターの失策でこれまで助かった人が助からなくなっている(人が死んでいる)、という趣旨の一般質問を同じ6月定例会で行いました(議事録に載っています)。
統合型の運営法人は、死者の件はこの法人の関与前のことである、という認識であり、この一般質問を侮辱行為あるいは名誉棄損行為である、と問題視し、抗議文を作成しました(詳細は運営法人ウェブサイト参照)。
抗議文が市役所に迷惑をかけぬように、法人側はある職員に念のため送付し、その職員は市として表現をやわらかいものにする提案を行い、念のため担当部長に共有しました。
経緯は不明ですが、ある職員が(何らかのタイミングで)部長のいない隙に、部長の机上を漁り、ファイルしてあった上記の書類(表現を柔らかくする提案)を発見しコピー、安保議員にコピーを手渡しました。
安保議員は不正に入手されたそのコピーを持って市長室に乗り込んできました。そして、市職員が安保批判をやらせている、という趣旨の抗議を行いました。
実際には市職員がやらせているのではなく、法人として安保議員の的外れな批判に抗議を行う意図のものでした。これは運営法人のウェブサイトをご覧いただければ多くの方にはご理解いただけるはずです。
では、なぜ安保議員は、運営法人に取材してことの事実を公平に把握する、という基本的な行為を怠ったのでしょうか。その理由は私にはわかりません。
その後も、安保議員と統合型地域包括支援センター運営法人とのコミュニケーションはなく、安保議員は市議会で批判的な発言を繰り返しました。なぜ、安保議員は一方的な話だけをうのみにして、双方にヒアリングを行うなどの常識的な調査を怠るのかは不明です。議員の行為としては大変軽率かつ不当です。
また、公平なヒアリングを行わない安保議員がその後、市議会の百条委員会の委員長として元部長の事件の調査を行ったことも特筆すべきことです。
ちなみに、百条委員会は市の内部調査を担当し市の動きを逐一把握している立場にある市の顧問弁護士へのヒアリングすら行っていません(内部調査以前から、市として顧問弁護士に法律相談)。ましてや、関連事件が行われた時期に元部長が在籍していた厚生労働省への問い合わせも行っていませんし、警察にも問い合わせをしていません。要するにまともな調査すら行っていないのが百条委員会であり、一方的な調査の結果が委員会の報告書です。
この事実は市民の皆様に知っていただきたいところです。
百条委員会が始まった後も、安保議員は市議会一般質問で、市職員が盗み出した書類を踏まえて、市職員が安保議員批判を法人にやらせている、という趣旨の「批判」を展開しました。
なお、この批判は私の退任後も続いています。
さて、冒頭に申し上げた、この自ら職務を適切に行わないだけでなく、上司に適切な報告を怠った職員の人事異動はパワハラではなく、必要な事務です。
業務上の契約の相手方に迷惑をかけないために必要な行為です。
また、当然のことながら、この職員は人事異動で反省するものと考えていました。
しかしながら、その逆で今もこの職員は市政を混乱させています。そもそも、職員の政治行為は禁止されていますので、当該職員の行為は違法行為あるいは少なくともグレーゾーンであると言えます。
また、その職員となんらかの関係を結び、職員の政治行為や書類の窃盗行為を容認するばかりでなく、それを利用して運営法人や私への攻撃を続けている安保議員の姿勢に当初は驚くばかりでしたが、市政の正常化のためには問題の本質を市民の皆様につまびらかにする必要があると考えるに至りました。
また、統合型地域包括支援センターは、実務を逮捕された元部長が担当しましたが、その事実とは関係なく、これからの超高齢社会においては非常に重要な政策であると考えています。現在、市議会では、安保議員とせいぜいもう一人の議員が統合型地域包括支援センターを批判しています。しかし、継続的にごく一部ではあっても、議員が適切な理由なく徹底的に攻撃をするということによる、センター職員への精神的な被害は計り知れません。
併せて、必要な人事上の措置をあたかもパワハラであるように一般質問で発言した富沢勝広議員の行為は不見識です。
今回の一連の事件に関する論点整理を公表した背景にあるのは、これまでの捻じ曲げられてきた議論では明らかにならなかった事実を明確にすることが公益に資するためです。
また、この一連の職員の行為について、明らかにすることにより、再発防止の一助となることも申し添えます。
市民各位のご理解をお願い申し上げます。
*お詫び 下記の部分について記憶違いの部分がありました。「2月17日に、それまでに職員から受けていた範囲の報告を踏まえた決裁文書の内容で決裁した。それを踏まえて職員が2月20日に法人側に打診した」と読み替えていただきたく存じます。お詫びして訂正します。
「一方で、私にはこの点の報告は職員からはありませんでした。
2月20日、私には無断で市の担当職員が統合型センターの終了に関する打診を法人側にしました。具体的には高齢部門、生活困窮部門を切り離し、別の法人に委ねたい、というものです。
その後、私には「統合型の運営法人が撤退するので、あとの体制を考えている。統合型センターは連携型の運営に移行して重層支援に取り組みたい」という説明がありました。
私としては運営できないものは仕方がないので、事業としてはいわゆる先祖返りだが、仕方がないだろう、と考え、その説明を追認しました。」
**資料として、当該社会福祉法人から令和2年に市議会に提出された抗議文をリンクします。