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三橋TV第73回【カテゴライズと革命、そして伝統】
平成政治からの決別を! 反・緊縮財政、反・グローバリズム、反・構造改革を基本方針とし、政策の「ピボット(転換)」を目指す国民プロジェクト「令和の政策ピボット」が始動致しました。
「賛同者」の人数が、今後の展開に大きく影響致します。皆様、是非とも賛同者としての宣言をお願いいたします。
令和ピボットのWEBは、今後、呼びかけ人の追加はもちろんのこと、「資料室」「コミットメントボード」の設置を予定しています。クライテリオン関係や三橋TV、日本の未来を考える勉強会などのリンクバナーも貼り、連携していくことになります(先方に了承頂けるなら、薔薇マーク・キャンペーンなどとも)。
本日は12:30~ ラジオ日本「マット安川のずばり勝負」に出演します。
令和ピボットシリーズのとりあえずのトリということで、食料安全保障。
グローバリズムあるいは「大資本」が荒れ狂い、自らの利益最大化のための「政治」を推進する状況は、別に人類にとってみれば今回が初めてというわけではありません。国民の政治力が弱まれば、「カネ」の力が強い政商などのレント・シーカーの政治力が高まり、人々から所得を吸い上げる政策が推進される。これは人類の宿痾です。
国民の方は、何しろ民主主義の国であっても一人一人の政治力が小さすぎ、対抗しようがない。しかも、レント・シーカー側はマスコミを抑え、「国民ではなく俺のカネを最大化」の政治を政治家に要求する。
例えば、「小売りサービス」一つとっても、消費者一人一人の購買力は極小です。それに対し、大資本の小売りサービスの販売力は極大。
何しろ、消費者側は「買わなければ死ぬ」という状況ですので、選択肢が事実上なく、一個人の力では大資本側に対抗のしようがなかったのです。
結果、人類が生み出した知恵を、「協同組合」と呼びます。
1844年12月21日、イギリスはランカシャーのロッチデールに「個別の労働者の購買力」を統合することで購買力を強化し、大手小売商に対抗することを可能にする「生活協同組合」の店舗が開かれました。協同組合運動の先駆的存在となった「ロッチデール先駆者協同組合」の誕生です。
ロッチデールは「生活協同組合」ですが、農業協同組合の元祖はドイツのライファイゼン信用組合になります。
ライファイゼンとは、19世紀にドイツのライン州の農村で官選尊重を務めていた人物。当時のドイツの農村は、資本主義経済や市場原理主義の影響で窮乏化が進み、農民の没落が著しかったのです。
ドイツの農村で農民を苦しめていたのは「高利貸」でした。高利貸は農民を新事業(酪農など)に誘い、おカネを貸し付け、返済できなくなると容赦なく財産を取り上げ、私腹を肥やしていきます。
ライファイゼンは窮乏する農民を救うため、協会の教区ごとに貯蓄組合を創設。組合から低利融資を行うことで、農民の高利貸依存を断ち切ろうとしました。
「市場原理」ではなく、互いに負担を分かち合い、助け合う「相互扶助」により、豊かな生活を目指す。ライファイゼン型の農村信用組合はドイツ全土に普及し、やがては穀物の販売や肥料の共同購入などを目的とした協同組合も作られるようになっていきます。農民の生産力と購買力を束ねることで、大資本に対抗するという発想の「農業協同組合」が世に出たわけです。
もっとも、日本の農協の場合、単なる農民の相互扶助組織ではありません。バイエル(モンサント)やカーギルといったメジャー(大資本)が猛威を振るう世界において、日本国民に、
「安全な食料を、必要な量だけ供給する」
という食料安全保障の根幹を担う組織でもあるのです。
『全中の一社化を正式決定 食料安保で特別決議も-JA全中総会 JA全中は3月8日、東京都内で第65回通常総会を開き、30年度決算と31年度の事業計画を承認するとともに、これまで地区別の組合長会議や正副会長のJA訪問などで議論を重ねてきたJA全中の一般社団法人化についても正式に承認された。また、総会では「食料安全保障を柱とする基本政策の確立に向けた特別決議」も採択した。
総会での承認により、改正農協法の規定により今年9月30日をもってJA全中は特別法人から一般社団法人に移行することが正式に組織決定された。
中家会長は「組織形態が変わっても、本来の中央会の機能である代表機能や総合調整機能、相談機能は引き続き全中に必要とされる機能だと考えている。JAグループの代表として会員から求められる役割を果たし、従来にも増して存在価値のある組織になっていきたい」と語った。(後略)』
総会での承認により、改正農協法の規定により今年9月30日をもってJA全中は特別法人から一般社団法人に移行することが正式に組織決定された。
中家会長は「組織形態が変わっても、本来の中央会の機能である代表機能や総合調整機能、相談機能は引き続き全中に必要とされる機能だと考えている。JAグループの代表として会員から求められる役割を果たし、従来にも増して存在価値のある組織になっていきたい」と語った。(後略)』
JA全中は、4月4日、2015年の農協改革に従い、一般社団法人になりました(事実上)。全中をJAから切り離し、農協の政治力を削ぎ落すという政府(というかレント・シーカー)の方針に従ったものです。
興味深いのですが、昨日、全中は、
「会員の意思に基づく自律的な組織となり、地域、事業の枠を越えて連帯するJAグループの結集軸としてリーダーシップを発揮、組合員・JAの共通の意思の結集と実現をはかる」
と宣言。
JAグループの結集を目的とした「ピボット」というわけでございますね。
一般社団法人と化した全中に対し、JAからの切り離し工作が今後は激化することでしょう。そんな中、これまで通り結集「軸」であり続けることができるのか、未知数です。
それはともかく、わたくしは別に農協の"熱狂的なファン"とかではないので(そもそも准組合員ですらない)、日本の食料安全保障が守れるならば、農協が「解体」されても構いませんよ、
でも、絶対に違うよね。農協なしで食料安全保障を守ることは、現在の日本には「不可能」です。個人に過ぎない消費者が、一人でモンサントやカーギルに勝てる?
だからこそ、令和の政策ピボットには、
『4.食料安全保障
(1) 農協・漁協を守る:
日本の食料安全保障の根幹を担う全国農業協同組合連合会(全農)の株式会社化は認めません。また、農協の正組合員、准組合員の割合については各農協が地方の事情を踏まえた上で、決定するものとし、農林中金、JA共済という農協の金融事業については、代理店化を禁止し、総合農協の制度を維持するものとします。』
(1) 農協・漁協を守る:
日本の食料安全保障の根幹を担う全国農業協同組合連合会(全農)の株式会社化は認めません。また、農協の正組合員、准組合員の割合については各農協が地方の事情を踏まえた上で、決定するものとし、農林中金、JA共済という農協の金融事業については、代理店化を禁止し、総合農協の制度を維持するものとします。』
と、堂々と「農協を守る」と書いたわけです。
ルサンチマン丸出しで、この文言に反発する人は少なくないでしょうが、ならば「農協なしで日本国民の食料安全保障を守る」方法を提示してもらわなければなりません。
ルサンチマン・プロパガンダを得意とする構造改革主義者、グローバリストの「既得権益!」といった煽りに乗せられ、農協を攻撃する人は、自分や家族、自分の子孫に「まともな食料を食べさせることができない」社会を残そうとしているのです。この「現実」だけは、せめて理解して欲しいと思います。
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