あの葵トリオ〔小川響子(VI)伊東裕(cell)秋元孝介(P)〕が東北初の演奏会に選んだのは盛岡。会場は盛岡駅西口すぐの盛岡市民文化会館小ホール。(小川さんと伊東さんの藝大同期の人の母が呼んでくれたらしい。)
東北に来てくれた。嬉しい。
シューボックス型のホールで音響も良かった。
葵トリオのピアニストである秋元孝介さんは京都のカフェ・モンタージュで1度聴いたことがある。
去年、葵トリオはミュンヘン国際音楽コンクールピアノ・トリオ部門で第1位になった。日本人団体では史上初。
ショスタコーヴィチの学生時代の作品。シャープな斬れ味と皮肉さが既に見え隠れしてる。第1楽章の主題の再現部から観客を虜にした。ヒリヒリするようなショスタコの緊張感が演奏から伝わってくる。
▽シューマン:ピアノ三重奏曲 第3番 op.110ト短調
シューマン晩年の曲。躁鬱が曲中に靄っとした霧が出てたり晴れたり。最終楽章で希望を見出している。ショスタコのシャープな印象とは対照的に、グレーの霧が出ている音色。
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」op.97 変ロ長調
品格のある曲だけと、葵トリオは充分に品格のある演奏だった。特にピアノの秋元孝介さんがスケールの大きな演奏で、彼のベートーヴェンピアノソナタを聴きたくなった。
▽アンコール
ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番から第3楽章。軽やかできびきびした演奏。
ショスタコとシューマンは内省的に、ベートーヴェンは華やかにと曲により演奏を弾き分けていて若手常設ピアノトリオとして、これからもっと日本の人々に知られるようになるだろう。既に一級品かな。葵トリオ初東北の演奏会に立ち会えて嬉しい。
7日は奈良大和郡山で。
【追記】来年の1月13日には地元の秋田アトリオンに葵トリオが来てくれる。行かねばなるまい。